4 嬉しさの犠牲
ウルキオラは織姫を抱き寄せた。それは強引ではなく包み込むように。
「別にあの男が帰ってきても俺はあいつと戦うつもりはない。親しくはなれないだろうがな。」
「うん...ウルキオラは黒崎君のことを憎んでる?」
アランカルを。ウルキオラを一度倒した男。
「...いや。あいつと戦って俺は心がわかってお前を愛する事ができる。その点は感謝している。それにお前はあいつと戦ったら泣くだろう?」
織姫はためらったようにうなずいた。
「俺はお前を泣かせたくない。でも、あいつがもしも、お前を傷つけたら....。」
「わかってる。ありがとう。でもね、心配なのはシン。」
「心?」
「黒崎君の子供はシンと同じクラスみたいなの。シンは自分がなになのかわかってるから..。」
「そうだな。今夜、俺が話す。」
鐘が鳴った。授業は終わりだ。
「帰ろうぜ!シン!」
後ろから雪花が声をかける。
「黙れ。一人で帰れ。」
「ええ~~??冷て~~!!」
「俺は、心春と帰るんだ。誰が貴様などと。」
そういうとシンは心春の元へ行く。
「心春。一緒に帰ろう。」
「あっ、シン。ごめん。今日は美緒と寄り道して帰るから。お母さんにも言っといて。」
シンは硬直した。それを遠目で見ていた雪花は吹き出した。
「そういうことだ。一人で帰れ。行こう。心春。」
「う、うん。」
美緒はシンに一睨みするとさっさと行ってしまった。
雪花はプルプル震えているシンの肩を叩いた。
「はい。フラれたぁ~。帰ろうぜ。」
「クソッ!何なんだ、あの女は!!ゴミの分際で心春にくっついて!!心春の友達でなかったらとっくに息の根を止めてやっていたものをっ....!!」
シンは憤慨した。雪花は口笛を吹き、二人は歩く。学校をでたところで否定をした。
「でも、相原はお前が対処できないところでずっと心春ちゃんを守ってきたんだぜ?それにシンにあんな態度できる女は相原しかいねぇし。」
確かに彼女は小学校の時から心春と一緒にいて守ってくれている。
「今日は最悪な気分だ。」
「な。シン。」
「......。」
「あの転校生って何者?」
シンは足を止めた。
「雪花。」
「ん?」
「お前....霊力があるんだな。」
「はぁ?どして?」
「ずっと空ばかり見ている。」
空には黒いデカブツの虚がいた。それと闘っている死神もいた。
「.....見えるっちゃぁ見える。これがレイリョクってヤツなの?」
「いつからだ。」
「ずっーーと昔から。お前が人間じゃないのも知ってるよ。なんか変なの感じるもん。転校生も人間じゃない。」
「知っててどうして俺といた?俺は独りでよかったのにお前は離れなかった。」
雪花は困ったように笑った。
「そっだなぁ~。俺はシンのこと怖いともなんとも思わねぇし。ほかのレイリョクがないやつは押し潰されそうなんだよ。あの女子どもは馬鹿だから気付かないだけ。俺はさ。シンといたかったんだと思うよ。」
シンは目を見開いた。嬉しいのか、よくわからない感覚だ。
「シンは見ててあきないし。楽しいしな。」
「雪花.....。」
「だからさ、レイリョクがあってもなくてもきっと俺はシンの友達でいたかったんだよ。」
「気持ち悪い。奴隷が調子に乗るな。」
そういうと先にいってしまう。雪花は笑って追いかけた。雪花にはわかっていたのだ。シンの顔が赤く染められていたことに。
「ただいま。」
「あ、おかえり~シン。心春は?」
「....友達と寄り道だそうです。お母さん。父さんは?」
「父さんはリビングで休んでるわ。」
「そうですか。」
シンはリビングに向かった。
「父さん。」
ウルキオラは目を細めて反応した。
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