2 決闘
「はい。終わり。いつものお薬出しときますから。」
「ほいほい。ありがとうね~井上先生!」
目の前の老人は悪戯に礼を言う。
「いいなぁ~やっぱり井上先生の奥さんは可愛いな~ナース萌えだね~。」
横にいた織姫はいつものからかいに戸惑った。こういうのはやはり苦手だ。
「無駄口ばっかりたたいてたら、その頭に乗せてる鬘、燃やして海に捨てますよ。さっさと帰れスケベジジイ。」
ウルキオラは冷たく一喝する。この会話もいつものことだが織姫は
「ちょっと!患者さんになんてこと言うの!?」
と怒る。
「へへ。優しいな~奥さんは。じゃ、また来週な。先生。」
「二度と来るな。」
老人は笑って帰っていく。
「もう!ウルキオラ!そんなんじゃ患者さん減っちゃうよ!」
「別に。そんなのどうでもいい。だがお前にセクハラ発言するクソジジイはクソジジイで十分なだけだ。」
白衣を着て、眼鏡をかけたウルキオラは名医で有名だった。もう十何年も前のことだ。二人が結ばれたのは。彼は人間になりえた。それはまたのべるとして。彼は仕事に医者を選んだ。それは人を救うからだとウルキオラは言う。そして勉強してあっという間に医者になった。今は個人のクリニックを経営している。織姫も夫の助けになればと看護婦になった。
「本当に不器用なんだから。」
微笑んで織姫はウルキオラを見る。
「悪かったな。お前も俺をわかっているだろう?」
「わかってる。そんなとこも全部好きよ。」
「なら、いい。」
ウルキオラは仕事だといって椅子に座り直す。ウルキオラは顔が赤くなっていた。それは喜びの現われだろう。
「雪花。」
「ああ?」
「お前はゴミだがマシなゴミだ。俺の友として認めてやろう。」
「......お前。マジ大丈夫か?」
「何がだ。俺がお前を使ってやると言っている。あの男を調べろ。」
「なんでだよ。俺は情報屋でも探偵でもねぇえぞ?転校生初日で心春ちゃんに手出さないだろ....って!!」
雪花が驚いて立ち上がるとその指先には黒崎 一が心春と話していた。
シンの冷気が熱気と変わる。
「雪花。」
「は、ひゃい!」
「あいつを抹殺したい気分だ....。俺の言ってる意味がわかるな?」
「駄目だって!犯罪だって!喧嘩ぐらいにしとけって!」
シンは黒崎を睨んだ。殺気をこめて。しかし黒崎は何も感じないような素振り。本当に厄介だ。
休み時間。シンの元に女子がわいた。
「ねぇ~シン君。今日カラオケ行かない~??」
「黙れ。失せろ。気色の悪いゴミめ。」
シンはひと睨みすると立ち上がる。後ろで見ていた雪花は背筋が凍った。
(ったく~こいつら~~!!何でシンが今日一番機嫌悪いときに来んだよ!)
シンは真っ先に心春の元へ行く。
「心春。」
「何~?シン。」
心春は明るく言った。
「あの男と何を話した?」
「えっ?ああ、黒崎君?私が消しゴム落としたの拾ってくれて....これからよろしくって言ってくれたから私もよろしくって....ってシン?」
うつむくシンに心春は神妙に訊いた。
(クソ。俺が心春の落ちた消しゴムにも気付かないだと...?最悪だ!!全てあの男の....。)
いつも心春を観察しているシンは心春がペンを落としたなら誰よりも早く拾いにいってやる。それが兄の掟だ。
「黒崎 一!」
「何?」
めずらしくシンは声を荒げる。
「ちょっと来い。」
二人はしばらく睨み合う。
「いいぜ。」
二人はぞろぞろと教室を出る。
(やっ....やっべ!!)
雪花はそれを必死に追いかけたのだった。
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