19 使命
「親父...。」
一は家に入り込んだ父親を呼んだ。たった今帰ってきたのだ。ソウルソサエティから。
「どうした?一。」
「さっき、千石隊長が来た。」
「龍沙が?」
「ああ。」
「なんて?」
「早くしろと...。」
一護は台所に行ってお茶を飲んだ。
「で?お前は?命令に従わねぇのか?」
「...わからねぇんだ。どうしたらいいか....。」
「はっきりしろ。俺がお前を派遣した。できねぇなら他の奴にやらせる。」
「親父...本当に本当に殺すのか!?シンの...母親は親父の友達だろ!?なのに....。」
「一。」
一護は一に向き合った。そして胸倉を掴んで顔を向かす。
「忘れたか?俺達は死神だ。虚を倒す。それが使命だ。なのに情に流されてアランカルを殺せないなんてことはあっちゃいけねぇんだ。」
「・・・・・・。それでも俺は....あいつらを殺したくない!!」
一護は目を細めてから一を離した。
「なら。自分で上に伝えるんだな。俺は何もしない。」
「あんたはっ...!!」
一は叫んだ。
「あんたは仲間を傷つけられないんだ!!口でそんなこと言ってても怖いんだ!仲間に憎まれるのが!!あんたはそれでも英雄の黒崎一護かよ!!」
死神としてとてつもない力の持ち主。あの藍染惣右介を殺した死神。
「子供に自分ができねぇことを押し付けて...何なんだよ!!」
一護は何も言わず聞いていたが何も言わず去っていった。
「クソッ...。俺は...どうしたらいいんだ...。」
『お前は黒崎一護の息子や。それ以上でもそれ以下でもない。』
一は拳を床に叩きつけたのだった。
はじめは殺せると思っていた。なんて簡単な仕事なんだろうと。
でも..。
あの笑顔を。
あの少年から奪うなんてできやしないんだ。
あの母親から家族を奪うことなんてできないんだ...。
12月27日。
朝。
「おはようございます。織姫さん。あれ?ウルさんは?」
「あ。おはよう。雪花君。」
雪花は結局冬休みずっと家に泊まることになった。二人も雪花を可愛がってくれてよくしてくれている。
織姫は朝から元気で微笑んで、雪花をテーブルの席にうながした。
「お父さんはさっき行ったわ。」
「どこへ?」
「大学。医学部なんだけどね。医学部卒で病院で先生やってる人は集まらなきゃいけないの。ま。ちょっと遅い同窓会みたいなものね。まぁ一年の反省会みたいなのもあるらしいけど。」
「へ~。でもウルさんならさぼりそうですけど。」
「あら。雪花君にはそんなふうに見えてたの?」
「あ。いや失礼でしたね。すいません。」
「ううん。いいの。私もそんなふうに見えてるから。でも私が行ってって頼むんだけど、あんまり嫌な顔しないでいつも行くから安心してる。」
「へー。まぁ織姫さんが言うんならウルさんも断れないですよねー。」
織姫は微笑んだだけで何も言わなかった。
ウルキオラは医学部に来ていた。この東京でも一番の大学。ここにこれるのは相当頭がよくないといけない。今日は午前はこの冬休みなのに来ている熱心な生徒に向けてのお言葉会。午後からは医者の反省会。夜からは飲み会というなんとも不愉快なプログラムだ。
ウルキオラは目をつむって織姫の言葉を思い出す。
『ちゃんと行ってね。年に一度だけだし。遊んできて。』
(遊びではないのだが....。)
ウルキオラは少し笑いながら大学に入った。
「やっぱり君も来ていたんだね。」
後ろから声がした。振り向くとやはりこの顔。
「石田雨竜か。また俺に話しかけるとはな。」
「変わってないね。一年前と。」
毎年行われるこの会。またこの男と出会ってしまう。石田は大病院を継ぎ、地位的には石田のほうが上だが石田はウルキオラを医者としても認めているので何も言わない。石田とはあの戦いからの付き合いだ。同じ医学部卒業。織姫と三人でよく授業をうけていた。
「井上さんとちゃんとうまくやってるのか?」
「貴様に心配されなくとも俺達はいつでもラブラブだ。...貴様こそ。もう三十も過ぎたくせにまだ結婚もしていないのか?」
「君には関係ないだろう。だいたい君達が結婚するの早すぎなんだ。井上さんは16歳だっただろ。」
「だからなんだ。法律には何の問題もない。」
「そういうことじゃ.....。」
「貴様も早く女を見つけろ。」
「むかつくな。君は。井上さんがもし僕の元に泣きついてきたら君なんかにもう返さないからね。」
「何をぬかす。織姫が貴様の元に泣きつく訳あるまい。ま。俺が地獄の果てまで追いかけて奪い返すがな。」
何を言っても顔色を変えないウルキオラ。石田は結構この会話は好きだった。
「早く行こう。遅れるよ。」
「別に遅れてもいいだろう。織姫のために毎年来ているがこんな会どうでもいいんだ。早く帰って心春にも会いたいものだ。」
「そういえば君の子供にまだ会ったことないな。会わせてくれよ。」
「誰が貴様などに。心春にくっつくに決まっている。絶対に会わせん。貴様の病院にもいかせんからな。」
(よっぽど大事にしてるんだな。)
今まで子供の話はしたことなかったが石田にはウルキオラという人間がわかっている。
ウルキオラはさっさといく。織姫に言われてきているのは本当だが実は石田の顔も見たかったなどと死んでもウルキオラは言わないだろう。
「本当に懐かしいね。ここ数年は大学にも入らなかったし...。だいたい10年ぶりか。」
中の階段を上っているときに石田は少し嬉しそうに言った。
「まさか井上さんが僕と同じ医学部に入るなんて思いもしなかったな。」
「貴様と同じじゃない。俺と同じだ。」
「はいはい。わかってるよ。でも井上さんがあんなに勉強頑張ったなんて少し信じられなかったんだよ。」
織姫は看護婦になるために必死に勉強していた。ウルキオラは別に無理をするなと言ったが織姫は決してやめなかった。
「織姫は...強いからな。」
自分を恐くないといった女。ウルキオラに心をくれた女。
ウルキオラは少し笑って先に行った。石田は彼の背中を追いかけこう思った。
(井上さんは幸せになれたんだな。)
ある教室で生徒達が集まっていた。
「なぁ知ってるか?今日、卒業生の石田雨竜が来るんだぜ。」
「石田雨竜って..あの大病院の?」
「そうそう。かなり優秀な成績だったし医者として尊敬するべき人だ。」
男子は雨竜派(?)だった。
「あとさ~注目はやっぱり井上時雨でしょ?」
「ああ。あの下町のクリニックの!ていうかあれ本当に日本人?外人に見えない?」
「私さ~風邪ひいた時にあそこに行ったんだけどめちゃくちゃかっこよかった~!!!うっかり熱があがったもん!」
「石田さんもかっこいいけど井上さんは異常だよね~!一番の成績で卒業したっていうし!」
きゃーきゃーと女子は騒いでいたが男子は女子を睨んでいた。
その時おっさんの教師がはいってきて卒業生。今回集まった20数人の人を呼んだ。シーンとあたりは静まり返る。
ウルキオラは熱心に集まった生徒を見た。
(今年は生徒が多いな。よほど暇なんだな。)
(・・・・そうなのかな。)
やがて前の卒業生の話が終わりウルキオラの番になった。
「では井上時雨さんよろしくお願いします。」
ウルキオラは前に進みでた。
今日のジャンプの一護かっこよすぎました!!惚れました!!
もう少し雨竜とウルのターンが続きます。実は医学部で三人は仲が良かった設定。クインシーはまだやってるよ。一護とはかかわってないみたいですけど。
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