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闇の眼 光の手
作:碧檎



序章


 それは、僕の15歳の誕生日のことだった。

 季節は晩夏。山に囲まれたこの地では、昼間の暑さはまだまだ厳しいが、夜になるとずいぶん気温が下がってくる。ひんやりとした空気が外から流れ込み、肌の出ている部分をそっとなでていく。

 僕はいつもより派手に着飾り、広間の中央の席に腰掛けて黙ってその苦痛な時間を過ごしていた。

 こんなこともう来年は絶対にしない。父が泣いて頼もうと絶対に。

 そう力強く考えているときに、母がワインを片手に傍にやってきた。

「今日は絶対に口を利いては駄目よ」

 母は美しい。まだ若く、僕と10歳ほどしか離れていないので、姉のような存在だ。

 美しいプラチナの髪をしており、目は海のような青。肌は陶器のように白く、滑らかだ。血色がなく、一見弱弱しく見えるものの、意外な情熱家で、皆に隠してはいるが、僕への愛情は親子のものというより男女のものということを、僕は知っている。

 渡されたワインを受け取ったときに、微かな異臭を嗅ぎ取った。同じビンから注がれたワインを母が普通に飲み干すのを見て、気のせいかと思い、ワインを一口飲んだ。次の瞬間、呼吸の仕方を忘れた。舌がしびれ、視界がゆがんだ。

 ――来年の心配は無用だったかな……

 そう思ったのが最後、僕は闇の中に沈んでいった。


暗殺など暗い設定もありますが、基本的には明るく軽くいこうと思っています。
漫画のように先の展開が気になる話を目指しています。
童話「白雪姫」を元としていますので、あまり難しく考えずにさらりと読んでいただけると嬉しいです。






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