挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
嘘斬り姫と不死の怪物 作者:Hiro

強欲の王

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

38/50

第三章 一話b

「あいたた、何があったんだ」
「何やら罠にかかったようだな。先程と場所が違うようだ。天井が高い」
 スミが手にしたたいまつを掲げ、あたりを照らし確認する。一方には大きな壁、もう一方には終わりがわからないほどの空間が広がっている。
「おい、チビっこ。ここはどこだ?」
 尋ねるトールに返事はなかった。
「どうやらピキは罠を回避できたようだな」
 ピキがいないことを確認すると、スミがそういう。
「ちっ、役に立たねー」
「通常の空間ではないようだが……調べてみるか」
 トールにたいまつを渡すと、スミは一角獣ユニコーンへと戻る。トールもどうせ見る者はいないのだと、陰気なおっさんの姿から岩鬼人トロールへと戻った。
 スミは壁のない方向へ魔力を波動として打ち出す。魔力がぶつかったさいの反響で広さを測ろうとしたのだ。しかし、反響はいつまでたっても返ってこなかった。
「魔力で作られた空間のようだが、かなりの広さだな」
「魔術か? それとも魔法か?」
 あたりを見渡しながら、トールが尋ねる。
「おそらく魔術だろうが確信は持てん。ただの魔術にしては強力な魔力が使われているが、魔法にしては呼ぶには力の使い方が繊細だ」
「なるほど」
 スミの鑑定にトールが納得する。すると、その背後ろから重い声が響く。
「こんなところに客人とは珍しいね」
 そこにはトールですら見上げるような巨人が、壁に張りつけにされていた。
 褐色の身体に、魔術文字の刻まれた杭を無数に打たれ、両目は目隠しで封じられている。
「おお、巨人ジャイアントか。はじめてみるぜ」
「残念だけれど、僕はこうみえて人間だよ。元とつけたほうがいいかもしれないけれどね」
 感心するトールの言葉を巨人は否定する。低く恐ろしげな声とは裏腹に、その口調は軽いものだった。
「まさか?」
 魔物に変わった人間。その例をトールもスミもよく知っている。
「集めた魔力を注入する実験をされてね。ある程度の魔力を集めることには成功したんだけどね。身体に蓄えた魔力の影響でこんな姿に変わってしまったんだよ」
「そんでもって魔力の供給源として確保されつつ、この空間に封じられていると。目は魔力の浪費を抑えるために塞がれてんだろ」
 トールが巨人の素性を見透かすように付け加える。
「ご明察の通り。よくわかったね、きみは魔術師かい?」
「元だけどな」
 先程の巨人の言葉にあわせるように応える。
「それにしても随分と友好的な守護者ガーディアンだな。我々はこれでも侵入者なのだがな」
「そんな命令を素直に聞くようなら、僕は壁に封じられちゃいないんじゃないかな」
 スミの言葉に巨人が答える。
「てっきり、守護者が待ち伏せでもしてるかと思ったんだが、とんだ肩すかしだ」
「初めての客人だし、持てなしたいところだけれど、この有様だから勘弁してね」
「気にすんな、オデ様たちも長居する気はねぇ」
 そう話しつつ、あたりの様子を再び確認し出口を探す。
「できれば帰る前にちょっと話を聞いていってくれないかな?」
 そっけないトールを巨人は雑談にでも誘うように話しかける。
「断る。オデ様は一刻も早く奪われしおっぱいを取り戻し、ひたすらもみまくるという責務が待っているんだ」
「それはたしかに重大なことだ。でも、ここからは普通の方法じゃ出られないと思うよ」
「ならば、話を聞けばここからの抜けだし方をおまえが教えるというのか」
 ふざけるトールを下げつつ、スミが前にでる。
「ついでに頼み事の一つでも聞いてくれればね」
「おまえの封印を解く手助けをしろとでも言うのか?」
「ちがうちがう、そりゃ僕だっていつまでもこんなところにいたくはないけどね。でも、こんな姿で出てたところで、兵士に魔物として討たれてそれでおしまいだろうさ」
 早とちりするスミの言葉を巨人が否定する。その言葉にさして悲観した様子もない。
「では、いったいなにを」
「そうだな~、詳しい説明に入る前に、まずは自己紹介から入ろうか。僕はハズーの第一王子、レーヴェストだ」
 暗闇に捕らわれた巨人はそう名乗った。
 そこでふたりは巨人の肌がアヴェニールをさらった怨敵と、同じ色であることに気がついた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ