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みぃちゃんとギャバ猫のアメリカ生活記 作者:帆摘
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2話:信じられない出来事

うちの付近までくると、近所のおばちゃんが大きな声を上げて近寄ってきた。
「まあぁ美香流ちゃん!よかったわ〜。突然いなくなって皆で探していたのよ!一体何処へいってたの?」おばさんの声を聞きつけたのか、他の人も駆け寄ってきた。
一人が家の方に走って行く。お父さんに告げに行ったのだろうか・・・。私は近所の人達に囲まれたまま、一緒にゆっくりと家に戻った。
扉が勢い良く開かれお父さんが青白い顔で飛び出して来た。一瞬顔を見た時に思った事は怒られる!と思ったのだが、お父さんは私の身体をぎゅっと抱きしめて小さく震える声で言った。
「良かった・・・美香流までいなくなってしまったら僕は・・・」

その言葉に私はすごく罪悪感を覚えた。そうだ、悲しんでいたのは私だけじゃない。お母さんが大好きだったお父さんもいっぱい苦しんでいたのに・・・それなのに・・
「ごめん・・なさい」そういって私も大声を上げて泣き出した。暫く泣いているとお父さんと私の真ん中で「ふぎゃ!」っという声が聞こえた。
「あ!」慌てて私は身体をはなして抱っこしていたギャバ猫を地面に下ろした。猫は私の方をじとっとした目で睨むと(そんな風に見えた)尻尾で軽くお父さんの身体を2回叩いて身体を刷り寄せた後、悠々と開かれた玄関からうちの中に入って行った。

「ギャバ猫・・・?」お父さんもびっくりしたように見ている。さっきまではお父さんも動転していて気がつかなかったのだろう。私もすっかりギャバ猫を抱いていた事を忘れていたのだから。私は涙を拭って言った。
「うん、お父さん、ギャバ猫生きてたんだよ!私たちの所に戻って来てくれたんだ!」
「そうか・・生きていたのか・・・」お父さんは小さく呟いた。

結局中断されていたお葬式が終わって、近所や親戚のおじさんおばさん達が帰ったのは夜の10時を過ぎる頃だった。
皆を見送った後、お父さんは私の肩を抱いて、「美香流、疲れただろう」といって家の中に入った。すると二階からトントンと音を立てて、ギャバ猫が降りて来た。今まで忙しい間は一切顔を見せなかったのに皆が帰ったら姿を表すなんて・・本当に変わった猫・・変わった・・・?
「あ〜!!!!」私は大きな声を上げた。
お父さんが吃驚して私の口を塞ぐ。危ない、危ない・・ご近所迷惑だ。私は少し声のトーンを落としてギャバ猫を指差して言った。

「お父さん!ギャバ猫が喋ったんだよ!!」
一瞬お父さんは何を言っているのか分からないと言った風情で私とギャバ猫を交互に見る。
ギャバ猫はふにゃ〜んと声を出してお父さんの足下に来ると身体を撫で付けた。
「あっ!こいつ、お父さんの前では猫かぶってる!猫みたいな声出してる!」普通で聞くなら猫が猫かぶり・・・だなんてそんな馬鹿な話はない。だけど私はしっかりと覚えているのだ。
ギャバ猫が喋った事を。ギャバ猫はちらっと私の方を見るとそのままリビングの方へ向かっていった。私たちも猫についてリビングへと向かう。

ギャバ猫はいつもお母さんが座っていたお気に入りのソファーの上に飛び乗ると、私たちにも座れとでも言うように首を振った。私とお父さんは顔を見合わせ、一緒にソファーに座る。
と、ギャバ猫が口を開いた。まるで「不思議の国のアリス」にでてくるチャシャ猫のようだ。
「は〜、つかれた。ようさん人が来てたなあ。うちの生前の人柄が忍ばれるってもんやわ。」
お父さんはいきなり喋りだしたギャバ猫を口をぽっか〜んと開けて凝視している。
「ほら!言ったでしょ?パパ、ギャバ猫が喋るんだよ!」私はぐいぐいとお父さんの袖を引っ張る。お父さんは吃驚して固まったままだ。
「ああ、まったく裕幸さんはそういう所が昔から変わらないのよねぇ」と今度はギャバ猫の口調が変わる。さっきまで関西弁で喋ってたのに今度はお母さんみたいな喋り方だ。

「ほら、しっかりしなさい!」そういってギャバ猫は尻尾でお父さんの顔を叩いた。
「猫が・・・猫が喋った?!」お父さんが驚きの声を上げる。
「何を今更・・・。まあでも普通猫が喋ったら吃驚するわな・・。あんなあ、よう聞きや?うちは猫又になったんや。猫又っていうのはな、100年の齢を生きた猫だけがなれる妖怪変化や。まあうちの場合本当は、100歳にあともうちょっと足りへんで普通に死ぬとこやったんやけどな・・涼子が事故に合って死んでもうた時とうちが死ぬ時、二人の魂が混ざりおうて猫又として転生したんや。つまるところ、うちは猫又であり、あんたのお母さんなんやで?」

「え?ギャバ猫がお母さん?」
「そうや、ほら見てみ、ここの尻尾の所が二股に別れてるやろ?これが立派な猫又になった証や!」そういって尻尾をフリフリさせて見せる。
「まあ、うちは、涼子の魂と混ざり合って生まれた猫又やからちょっと普通の猫又とは違うみたいやけどな。ちゃんと涼子としての記憶も残ってんねんで?」
にわかには信じられない事だったが、ギャバ猫を抱いていた時に感じたあの温かさは確かにお母さんのものだった。
「そんな・・・涼子が化け猫になったって事か?」お父さんは唖然としてギャバ猫を見つめる。
「失礼な言い方せんといてーな。猫又や!化け猫やあらへん!」そういってぼんっという音と共にギャバ猫はお母さんの姿に変化した。
「おかあ・・さん?」それは確かに生前別れたきりの母の姿だった。耳と尻尾を除けば・・・。
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