第三話 いつの間にこんな事に?
この世界とは違うもう一つの世界
それは最も近い物でもあり・・・・
最も遠い物でもある・・・・
「で、明日行くわけだけど・・・・準備は出来たか?」
いきなりで解らない人もいるだろうから一応説明しておく。
この人は宝条志穂、伊織の姉である。
僕も知らなかったが、この人は今まで別の所にいたらしい。
その志穂さんが、意気揚々と言った。
どうやらこの人も行くらしい。
後で訳を聞いたら『面白そうだから!!』だそうだ。
まあそれはいい。どうせ僕には関係のない話だから・・・・そう、関係のない話だったのだが・・・・
「勿論、翔もだよ?」
志穂さんの口から有り得ないことを聞いた。
「・・・は?」
・・・・今、なんとおっしゃいましたか?
「君も行くんだよ」
もう一度言ってくれた。
「翔君も一緒に行くんだね〜♪」
いやいや伊織なんでそんなに嬉しそうなの?
それより・・・・
「なんで僕まで行かないといけないんですか?」
伊織達は自分達の世界へ帰らないといけないのは分かる。
だが、僕が行かないといけない理由なんて何処にもない。
「翔の両親が『ついでだから連れて行け』って言ったからだ」
・・・・あの親は何を考えて生きてるのだ?
有り得ないだろそれ。
「・・・・一端、家へ帰って良いですか?」
「いいよ。まあ無駄だけどね」
何かムッときたけど此処は大人しく我慢。この怒りはあの両親(馬鹿親)へぶつけるのだから・・・
「じゃあ、行って来ます」
そう言って立ち上がって出ていった。
「・・・・お姉ちゃん、翔君行っちゃったよ」
心配そうに見ていた伊織が、彼の出ていって方を見ながら言った。
「な〜に、すぐ戻ってくるさ」
何かを知っているような言い方だったが、こう言った時の姉がその事について教えてくれないのは伊織も知っていたのでそれ以上は聞かなかった。
その頃、明星翔は・・・・
家には着いた。
着いたのだが・・・・
「・・・・嘘だろ?」
自分の家が空き家になっていた。
「・・・何故?」
本当になんでこんな事に・・・・
そう思いながら玄関付近まで近づいて行くと。
「ん?」
何か白い紙が挟まっていた。
・・・・とりあえず、行って見てみる事に。
「・・・・何これ?」
最初はよく解らなかった。
だって此処に書かれているのは。
僕が伊織の婚約者扱いになっているのだ。
しかも結婚前提で・・・・
「な?あ・・・」
もはや言葉にならない。
「う、うそ?なんでこんな事に・・・・」
僕は同意してないはず・・・・
そう同意してないんだ。
落ち着け・・・落ち着け、僕。
これは無効なはず・・・・
そう思ってよく見てみたら・・・・
親同士の同意で決まっていた。
「・・・・・」
・・・・・・初めて殺意をいだいたよ。
許嫁を通り越して婚約かよ・・・・しかも結婚前提って・・・・
有り得ないよ・・・本当に・・・・何考えて生きてるんだ?本当に・・・
だが此処にいても何の解決にもならない。
とりあえず、伊織の家に帰ることにした僕だった。
しばらくして・・・・
「おっ、帰ってきたな」
そう言って僕を家に入れた。
「・・・あの、これ一体どういうことですか?」
そう言ってこの紙を見せた。
「ん?これか?」
その紙を見た志穂さんは・・・
「わはははっはは」
笑った。
「これは笑いごとじゃないですよ!!」
本当に勘弁してください。
「いやいや・・・・これは初めて知ったよ」
「これは?」
って・・・・事は他に何を知ってるんですか?
「私が聞いたのは、翔の両親は海外旅行に行ったってことだけ聞いたから・・・・」
あぁ、成る程・・・
その間、僕が家に帰らないように家を売ったわけか・・・・
「なんだか新手の嫌がらせみたいだな」
しかも勝手に海外に行ってるし
もうどうでも良くなったよ
「でもこれじゃあ、私は翔のお義姉さんになっちゃうわけだ」
何か嬉しそうに言う志穂さん。
そして何を思いついたのか
「ちょっと待っててね」
そう言って奥に行った。
「・・・・」
ものずごく嫌な予感が・・・・
そう思った時
「翔君・・・・」
伊織が顔を真っ赤にしながらこっちに来た。
「あっ、あの・・・・」
「・・・・どうかしたか?」
「ふっ、不束者ですが・・・・よろしくお願いします」
もうこれ以上に無いくらい真っ赤になって言った。
「え?・・・な、なにが!?」
・・・・・まさか!?
「伊織にあれ見せたんですか!?」
「いや〜別にいいでしょう?」
「いや、良くないよ!?」
「え〜なにが?伊織が嫌なわけ?」
志穂さんが、伊織に聞こえるぐらい大声でそう言ってしまったため
「え?そっ、そうなんですか?」
なんだか、今にも泣きそうな伊織
「いっ、いや、僕は別に伊織が嫌じゃ無くて・・・・」
必至に説得する僕。
「じゃあ、何がいけないんですか?」
涙目になった伊織が顔を近づけてくる。
・・・・ヤバ、メッチャ可愛い。
僕は顔を真っ赤にしながら
「えっ、えと・・・・別にいけなくも無いよ・・・ね・・・」
まっすぐ伊織を見られないよ・・・・
だが、それを勘違いして
「私の顔が見れない・・・って事は嫌なんだ・・・・」
もう限界まで来た涙がまさに零れそうな感じだ。
「え!?ちっ、ちがうよ!!」
かなり焦る
その様子を見ている志穂さんはと言うと・・・・
「いや〜修羅場だね翔」
思いっきり楽しそうに見ていた。
・・・・誰のおかげだと思ってるんですか?
そんなこんなで、結局、伊織を説得するのに一時間は掛かってしまった。
そのときの僕はとても可愛く面白かったらしい。
と、後に語る志穂さんだった。
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