第九話 これからが始まり?
実は現在進行形で迷子になっている僕だが
いつの間にかリンと一緒に、あの古びた廃墟(正確には魔道具専門店)に入る事になっていた。
「そう言えば翔って学校はどこ?」
扉を開けながら、リンが聞いてきた。
「う〜ん・・・・分からないな」
そう言えば『学校に行く事になっている』とは聞いたが、何処の学校かまでは聞いていなかったな。
「分からないの?」
「うん、今年から入学するのは確かだけどね」
「あ、じゃあ私と同じだね」
嬉しそうに言うリン。
「って事は、翔は魔道具を買いに来たの?」
「うん、そうだよ」
だけど途中で皆と逸れちゃった〜
とは言えない。恥ずかしくて言える訳がない。
「じゃあ、この店で正解だよ」
「え?正解?」
なにが正解なんだ。
「ここは主に魔道具を扱う店だからね」
「へ〜そうなんだ・・・」
たまたま見つけた店が専門店だったとは・・・・運が良いのか?悪いのか?
「いらっしゃい」
奥の方に入って行くと一人の女性が立っていた。
髪は金色、瞳は青く、人目見ただけで美人な人だと分かる。
「ご用件は?」
「魔道具申請に」
「分かりました。ではこちらへ」
そう言って案内される。
「ねえ」
僕が小声でリンに聞く。
「なに?」
「魔道具申請って・・・・どういうこと?」
僕がそう聞いたらリンは軽く驚きながらも答えてくれた。
「『魔道具申請』って言うのはね、自分にあった魔道具を作ってもらえるのよ」
「作る?」
「そう、魔道具は個人によって様々な種類。属性。形があるの」
「ふむふむ」
「それを作る儀式みたいなのが『魔道具申請』って言うの」
そうなのか・・・・なんか初めて魔法の事を知ったな。
「因みに、ここで申請した魔道具は、個人登録されて、犯罪防止にも役立てるのよ」
「為るほど・・・・なかなか複雑と言うか、分かり易いというか・・・・」
そんな話をしていたら、先程案内してくれた女性の人かクスクス笑いながら。
「お二人様はもしかして恋人同士ですか?」
などと聞いてきた。
確かに今の会話を聞いていたら、そんな風には見えなくもないけど・・・・それは勘違いですよ。
「い!いえ!!・・・その・・・私たち、まだそんな関係じゃ!?」
頬を赤くしながら否定するリン。
「あらら、残念」
そう言って。
「でも『まだ』なんでしょ?じゃあ頑張ってね」
どうやら勘違いされて、リンは応援された。
そしてまた前の方を見ながら女性は案内を続けた。
「う〜・・・・絶対あれは誤解したままだよ・・・・」
顔を赤くしたまま恥ずかしそうに俯くリン。
けど、その割りに微妙に嬉しそうに見えるのは何故だろう?
「まあ気にする事は無いと思うけど」
僕がそう言って慰めたら。
「・・・・」
なぜか不満そうな顔をした。
そんな会話がありつつも、目的地の場所に案内されたら。
見慣れた人物達がいた。
「お、アホだ!阿呆がいるぞ!」
そう叫ぶのは、毎度おなじみの志穂さん。
「翔君!一体何処に行ってたの!?」
少し怒りながらも、心配するように駆け寄って来る伊織。
「あれ?どうしてここに?」
一番驚いたのは僕だった。
「何言ってんだよ。あん時に私が言ってたの聞いてなかったのか?」
「あの時?」
はて?なにか言ってたか?
「・・・・どうやら聞いていなかったみたいだな」
ため息をつきつつ、教えてくれた。
「出かける前に場所を説明してただろうが」
・・・・・そう言えばそうだったような気がする。
「まったく、しんぱ・・・い?」
僕に近づいて来た志穂さんが、隣を見た瞬間。
固まった。
「お?お?え?」
かなり驚いているみたいだ。
「げ!?な!え!?」
そして同じ用にリンも驚いていた。
二人ともお互いを見ながら、しばし呆然としている。
「・・・・一体どうしたの?」
僕の質問がするが、二人とも答えてくれない。
「お、お姉ちゃん?」
伊織も姉の反応に少し驚いているみたいだ。
そしてそんな感じで少し時間がたった時、志穂さんが口を開いた。
「なんで?なんで姫さんがここに?」
「え?」
姫さん?
誰の事?
一体どういうことだ?
謎が謎のままだった。
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