ちょいと実験的に無駄な改行を施してみることにしました。
「頼むからやめてくれ」という方がいらっしゃいましたら、お気軽にメッセくださいませ。
改行に関しましては、意味を含んだ改行は一切施しておりません。
大体地の文2文ずつ、会話文はとりあえず改行しておりません。
かえって少々読みにくくなった箇所もあるかと思いますが、どうか深読み等されずにさらっと読んで頂けると幸いでございますっ。
突然勝手しまして申し訳ありません。
どうぞ宜しくお願いいたします。
第十一章 追尾 一
一月十二日、木曜日。午前七時。
元北上高数学教師だった斉藤義彦殺害の容疑で捜査線上に挙がった、向井龍之介の父親が河川敷で死体となって見つかった。
川向かいでダンボール生活をしていた浮浪者、川端恭英の一報により、交番勤務の吉永巡査長が現場へ向かった所、向井龍之介の父、向井修造が倒れているのを確認した。
遺体の損傷は激しく、一目で即死と分かる悲惨な状況だった。
管轄だった北上署の神木と村上も連絡を受け、すぐに現場へ応援に駆けつけることとなった。
北上高等学校教員殺人事件捜査本部も、昨日の数本の匿名電話の情報より捜査線上に名前の挙がった“向井龍之介”の父親が遺体となって発見されたということで色めき立っていた。
皮肉にも、それは少なからず事件の進展を意味していたからだ。
すぐに“向井龍之介”を重要参考人とし、任意での事情聴取が求められることとなった。
死体解剖に回される被害者を神妙な面持ちで見送った神木は、深いため息を霧の中に漏らした。
遺体は既に硬直を始めていたが、遺体をどかした後にはまだ血だまりが乾かずに残っていた。
その周りには、霜の降りた草が茶褐色に変色している。神木はそれをぼんやりと見つめながら、再び二十年前、目の前で自決を謀った鎧塚のことを思い出していた。
「やっぱり昨日のラーメン屋での話、署長に報告したほうがいいんじゃないですか」
村上は神木の背にぶつけるように、震えた声で言った。
「昨日の今日で、これですよ。被害者、まだ増えるかもしれない」
神木はくたびれたコートに首を窄めると、村上の青白い、貧血めいた顔を一瞥し、
「そんな、ウラも取れていない話をして何になる」
「そんなことはないですよ。重要か、重要でないかはどうせ上が決めることなんですから」
神木はまだ目の裏で、舞い散る血飛沫や大きく痙攣し人でなくなっていく鎧塚の残像から目を離せないでいた。
そして、その画は残酷にもあの時廊下で焼きついた向井龍之介の何も映していない瞳と重なる。
「……龍之介なんだ」
村上は唇を少し開け、沈痛な面持ちで息を吸ったが、すぐに神木の鋭い眼光に全ての動きを封じられた。
単純な言葉の重なりがこれ以上とないほどに重く、その場の空気を押し潰した。
「分かってるさ。黙ってたって、被害者が増えるだけだろう」
でも、無理なんだという風に、神木は力なく笑って肩を竦めて見せた。
「理解出来ないのだろ? お前は潔癖なところがあるからなあ」
神木は剣呑な様子でニヤリと口元を緩ませると、他の捜査員に聞かれないよう配慮した様子で呟いた。
「俺はどうしても、龍之介と話がしたいんだ。今度はちゃんと“言葉”を聞き、交わしたいんだ」
「何度も」
村上は表情を強張らせたまま、踵を返して歩き出した。
「何度も想像しました。こんな展開になることは」
「そうか」
神木はポケットから煙草を取り出しかけたが、少し迷ってそのまま仕舞い、村上の後に続いた。
新たな事件の端で、また地道な情報収集が待っていた。
だがそれからも見てみぬふりを決め込み、神木は歩みを速めた。
顔を上げると強まった雨が頬を打ちつけて、迷った心まで洗い流していくように感じていた。
昨日ラーメン屋で聞いた話は、神木、村上の二人に衝撃をもたらした。
誠大と呼ばれる少年が見たというもの、そして二人の少年から見た向井龍之介の姿、龍之介の置かれていた家庭状況。
そこに水面下で動いていた事件が、こうして公に出てきたことが合わさり、何か大きなことが起きているのだ、という事実を神木と村上は全身で受け止めざるを得なくなっていた。
車を止め、村上が一度だけ携帯電話で署長の三谷に連絡を入れた。
――これから北上高校に向かいます。
村上の低めの、そして決意の固さを思わせる重たい声が車内に響いた。
電話の向こうで三谷が何事かどなっている声が漏れていたが、神木は困惑した村上から携帯電話を奪い取ると軽々と電源を切ってみせた。
村上は返された携帯電話を握り締めたまま、ほんの僅かな時間面食らった表情をしていたが、やがて大きなため息を吐き出しながら、再び車を発進させた。
もちろん神木には全ての責任を取る覚悟が出来ていた。
いつだったか、やはりこうして責任について考えたことがあったな、と雨の流れるフロントガラスを見ながらぼんやりと思った。
そして、今度こそ警察を辞めることになるかもしれないな、と心の内で苦笑した。
「でもきっとどうせ、本庁の誰かが既に学校に行ってますよ」
村上は神木の奇妙な笑い声に怪訝そうな顔をしながら、子供が文句を言うように呟いた。
神木はそれに凝り固まった肩を押しながら、
「そうだろうな。でもいいんだ、一瞬で。ほんの一瞬でいいから、龍之介と話がしたいんだ」
「……そうなんでしょうけど」
いつも岩のように固い意志で自分を支え、どしりと構えている神木が、まるで新人刑事のように落ち着かない様子に村上は戸惑いを覚えていた。
「(神木さんは答えを出したようだった。もう気持ちは二十年前に戻っているのかもしれない。あの時鎧塚に聞けなかったことを聞きたいのだろうか)」
そう思いながら、村上は自分に出来ることを必死で探していた。
本当に龍之介が、この一連の殺人事件の犯人だとするならば、父親まで殺した今、人を己の力で支配し征服したと思っているかもしれない。
そんな少年に自分は手錠を掛け、流れ作業のように少年院に送ることが出来るだろうか。
いくら問い掛けても何の答えも生まれない。
だが、もう自分では止められないこの速度にすでに乗ってしまっているのだと言い聞かせ、高揚からか不安からか、やや震えている神木の両手からそっと視線を外した。
三ヶ月も放置してしまい、もし読んでくださっている方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ありませんでした。
これからまた少しずつ書き進めていきたいと思っています。
ラストをまだ全然決めていないところが非常に心配なのですが(他人事)、どんな結末になるか、少しでも楽しんで書いていきたいと思います。
最後までお付き合い頂けると幸いにござります。
どうぞ宜しくお願いいたしますっ。
また改行に関してなのですが、これまで私はPDFを使って愚作を確認していたのですが、PDFはやはりどうしても重く、少々勝手の悪さを感じ始めてきてしまったので施させて頂いた次第です。
もし何事もないようでしたら、過去の章にも施したいと思っています。
どうぞ宜しくお願いいたします。
WEB拍手
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。