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久しぶりの更新です。待っていた方、お待たせしてすみませんでした。
恋愛仲介部
作:MOR



Albino〜消えぬ想い〜



朝起きて、時計を見ると既に7時。
だが、今日が休日ということを即座に思い出し再び夢の中へ。

「………って!!」

俺の両隣からは静かな寝息が聞こえている…。
「なにしてんの?」
とりあえず、そこに寝ている人物に聞く。
「おはようございます、ご主人様♪」
パチっと眼を開けて月さんが挨拶する。
「いや…おはようじゃなくて…なんでいるの?」
答えて頂きたいのはそっちだ。
「先ほどご主人様を起こしに来たんですが…あまりにも気持ち良さそうに寝ていたもので…」
「……」
「御一緒しようかと…」
「御一緒しないで下さいっ!!」
やれやれ…。
普通に起こしてくれればいいのに…。
まぁいいや。

月さんのことだろうからもう朝ごはんの仕度は終わっているのだろう。
案の定、リビングに来ると朝から豪勢な朝食が用意してあった。
「作りすぎじゃないか?」
「いいえ、みなさん、もう集まっていますよ」
と、月さんが指を指す方向を見ると。
「おはようございます」
爽やか少年は放置。
「秋…それに池上も…てか、なんで北条までいるんだ?」
「邪魔かしら?」
「いや、別にいいけど…」
ああ、叶野のことが心配なんだね…はいはい。
「で、なんで勢ぞろいしてるんだ?」
念のため言うが…部長は見当たらん。
「ちょっと気分転換にでも、と思いまして」
「気分転換?」
「はい、みなさんで買い物にでも行こうと思いまして」
と秋が口を挟む。
「珍しいな…」
「えっと…池上さんとも仲良くなったし…友好関係を深めようと…」
「じゃあ、提案は秋なんだな?」
「はい」
「そっか」
叶野の提案じゃなきゃ大丈夫だろ。
なんかトラブルに巻き込まれるってことはなさそうだ。
「では、みなさん、朝食にしてください」
あー朝早いと思ったら…
みなさん朝食はここで食べるんですね…。

ま、少しくらい騒がしい朝食もたまにはいいだろう。
いつもは母さんと月さんの三人だしな。

ん…?
「月さん、母さんは?」
周囲を見渡すが母さんの姿がない。
「今日は用事があるらしくて朝早くに外出していました」
「そっか…」
なんだろ、こんな休日の早くから。
「お前らに関係のあることか?」
俺の向かいに座る青年に聞く
「いいえ、無関係です」
「本当か?」
「信頼がないですね。ええ、本当です。なにも心配しなくて結構ですよ」
「ああ…ならいいんだが…」
なんか少しの変化にも気をつける性格になってしまったようだ。
用心深いに越したことは無いけどな。
「それで秋、どこに買い物に行くんだ?」
「最近隣町にできたデパートです」
「ああ、確かチラシ入ってたな…」
なんでも大型デパートの支店らしく、近くの商店街も経営難が予想されるとかされないとか…。
暇つぶしにはもってこいってとこだな。
今までは駅前のデパートくらいしか行かなかったし。

で、隣駅なんだから電車で行けばいい…と思うのだが。
結局、神崎家のリムジン三台で目的地に向かうことになった。
「で、なんで俺はお前の隣なんだ…?」
「いいではないですか」
「…お前と二人きりだと厄介ごとを話されそうで怖い」
「ご要望とあれば話しますよ」
「…遠慮しておく」
「そうですか…」
叶野は遠くを見て何か考え事をしている様だった。
「考え事か…?」
試しに尋ねてみる。
「いいえ、なんでもないです」
「ならいい」
「考え事…いえ、悩み事があるのはあなたの方ではないですか?」
「…さすがに知ってるか」
「はい」
そりゃ、こいつだって仲介部のポームページのチェックくらいはするだろう。
俺の携帯でのメールを見れないにしたってSIROのことは知っている筈だろう。
「浮気はいけませんよ」
「別に…そんなんじゃない」
「冗談です」
「はぁ…」
「でも、あなたには知っておいて欲しい」
「なんだ、急に改まって?」
「軽々しく人の悩みを背負うのは自分を傷つけることでもあるのですよ」
「意味がわからん」
「つまり、軽々しく、見ず知らずの女性の悩みを聞くのはどうかと思います…と言うことです」
「…確かにな」
SIROは正体不明で…。
向こうは俺を知っている。
「…彼女はなんて言ってるんですか?」
「話し相手になって欲しい…でも、会うのは嫌…そんなとこか」
「なるほど…」
「どう思う?」
「判断材料が少ないですね…少し調べてみますか?」
「いや、やめてくれ、向こうもそれは望んでいないだろ。自分から会いたくないって言ってたんだし」
「そうですね…わかりました。この件については僕も干渉はしないでおきましょう」
「ああ、頼む」
「おっと…そろそろ到着ですよ」
叶野が言うと大型デパートらしき建物が見えてきた。

駐車場に長いリムジンをどう停めるのか興味はあったが
結局、再度迎えにくると言う方法を取るそうだ。
革命的なドライビングテクニックを見たかったのに…少し残念。

で、まぁ…気を使ってくれたのか他の仲介部メンバーは俺と秋を残し自由行動。
「どっか行くか?」
「はい」
秋と手を繋いで早速物色。
「凄いな…」
外から見ても十分な大きさだったが…案内を見るとどうやら15階まであるらしい。
頑丈な構造になっているのだろうか?
ちょっと不安になったりするが…こんなに多くのフロアを一日で見る事ができるのだろうか…。
「とりあえず…どこに行きましょうか?」
「まぁ下から順々に見ていくか」
1階から3階までは食品コーナーだそうだ。
先ほど月さんが眼を輝かせて走っていった。
多分今夜の夕食は期待してもいいだろう。

……3時間後。

午前中、俺と秋は色んな所を見た。
本屋に、服屋、ペットショップに、雑貨屋。
どれも枠を超えた広さで全部を見る頃には疲れ果てていた。
でも、秋も楽しそうだったし。
良しとしよう。

携帯を見てみたが、今日はまだSIROからのメールは来ていない様だった。
ま、いっか。
夜に電話がかかって来るだろうしさ。

昼食をファーストフードで簡単に済ませて後半戦開始。
秋は疲れた様なので西沢さんと休憩所で休んでいる。

叶野と北条は…なんていうか…どこに行ったか検討もつかんと思っていたが
喫茶店に入るのを見かけた。
しばらく見物していると面白いことに。
北条はいつもの態度ではなく。
少し頬を染めたり…叶野の話に笑ったりして普通の女の子の様だった。
「あいつも案外普通の女の子らしいとこあるんだな…」
「なにしてるの?」
「い、池上…」
俺の後ろには池上が立っていた。
「あ、叶野くん達だ。もしかして覗いてたとか?」
「……」
「図星…?」
「まぁな…そういうお前はなにしてたんだよ?」
「別に、色んなとこ見てて偶然ここに来ただけ」
「本当か?」
「ほ、本当よ」
「まぁ…いいけど」

それで互いに暇だったので俺達は一緒にぶらつくことになった。
一緒に歩いているけど…俺と池上の距離は少し離れている。

「「あのさ…」」

沈黙が気まずいと感じたのか二人して同時に声をかける。
「…先、言えよ」
「…いいよ、後で…」
「………」
沈黙…。
「じゃあ…私が先に言ってもいい?」
俺が沈黙を破らないと思ったのか
池上は自分から話す事に決めたようだ。
「ああ」
俺はそれを了承する。
「この間さ…私のこと…名前で呼んだよね?」
「この間?」
「ほら、つい最近」
そう言えば…呼んだ様な…呼んでない様な…。
「統一して欲しいんだけど」
「どっちに?」
「名前に」
「…マジか?」
「うん、大マジ」
「じゃあ池上固定で」
「えっ…そっち…?」
「嘘だよ…その…春奈」
「…うん、ありがと」
嬉しそうに笑う彼女を…久しぶりに見た気がする。

その後、春奈が服を見たいと言って来たので
俺達は服のフロアへとやって来た。
俺は二週目なんだけど…春奈はそんなこと気にも留めない。
「冬物が欲しいの」
「へぇ、去年のじゃダメなのか?」
「…あのねぇ」
春奈は少し呆れた顔をして
「女の子はそういうの気にするのよ」
「金が追いつかないな」
「…そのままじゃ秋ちゃんに振られるよ」
「なっ…なんでだよ」
「知らない」
「お、おい…春奈」
「自分で気づけ、バカ」
「バカにバカ呼ばわりされるとは…俺も落ちたな」
「そうだね、株価大暴落」
「あーはいはい」
「急に冷めるなっ」
「すまん、馬鹿らしくなった」
「…はぁ、秋ちゃん…こんな男のどこがいいんだか…」
「お前が言うな…」
「そうだね」
「…やれやれ」

まぁ適当に春奈の服を吟味。
分かったのは秋とは正反対の美意識を持っているってことか。
春奈はカジュアルファッションが好きらしい。

「似合う?」
「普通」
「こっちは?」
「いまいち」
「もうっ…真剣に答えてよ」
「自分でいいと思うの買えばいいだろ」
「だって…選んでもらわないと意味無いんだもん…」
「ん、なんか言ったか?」
「ううん…なんでもない」
ちょっと元気なさそうになったな…。
さすがにいい加減に答えすぎたか…。
しょうがないな…。

「こんなのどうだ?」
「え?」
「ほら」
と、ちょっと大人っぽい女性物コートを渡してみる。
「…う〜ん」
「ダメか?」
「…私ってさ、ほら髪がこんな色だから…あんまりビシッとしたの似合わないんだよね…」
「いや、服の色しだいだろ、これみたいな茶色系なら髪とも合うだろ」
それも意図して選んだんだけどな。
「…変じゃない?」
「変じゃないし、大人っぽく見えるぞ」
「悩殺される?」
「それはない」
「…でも、いいかも…」
「だろ?」
「あっ…でも、ちょっと高い」
値札を見て言う春奈。
「まぁコート類はな、どうしても高くなる」
「う〜ん…どうしよ」
再び悩み始める春奈。
「今日はやめとこうかな…」
「そっか、まぁ今度だな」
「…うん、服選ぶの手伝ってくれてありがと」
「結局、選べてないんだし、御礼はいい」
「…うん、そうだね…」

池上は他の場所を見たいと行っていたので俺も同伴すると言ったが
「一人でゆっくり見たいの」
と言われたので別行動。

一人でぼうっとしてると私服姿の月さんがやって来た。
「買い物は済んだんですか?」
「はい、今、荷物を車に運び終わったところです」
「言えば手伝ったのに…」
「いえ、ご主人様の手を煩わせる訳にはいきません」
「…そう」
「あ、でも、手伝って欲しいことなら、ありますよ」
「え、なに?」
「ついて来てください」
と俺の手を引っ張っていくので
ああ…月さんも服選びか…なんて思っていた。

が…。

なぜ?
俺は下着コーナーに連れてこられたんだろうか?
「え、えっと…月さん…?」
「はい」
「手伝うってなにを…?」
「下着選びをです」
やっぱりか…。
「えと…それは俺じゃないとダメなのか?」
母さんとかいるだろ…。
「はい、ご主人様の好みの物がいいと思いまして」
「…いや、俺の好みは関係ないと思うけど」
「いいえ、関係ある日が来た時の為です」
多分そんな日は…将来的に来る確立が天文学的数字になっているだろ。
「ごめん、ここにいるとアウェイだ…俺は退散する」
逃げようとするが俺を逃がさない月さん。
「せめて色だけでも…お願いします」
「じゃあ、黒っ…これでいいかっ?」
「はい、黒ですね♪」
一気に月さんは手を離しこけそうになる俺を放って置いて
さっさと品定めに向かったようだ。

とっさに黒…と答えてしまったが…。
月さんに黒か…いや、妄想はしないでおこう。
破壊力がやば過ぎる。

さぁて、そろそろ集合時間か。
駐車場に向かわないとな…

でも、俺にはやり残したことが一つある。

まずはそれだ。


家に帰って来たのは夜の6時くらい。
なんか無駄に広くて疲れたが…良い休日の使い方だったな。
「それじゃ、おやすみなさい」
秋は俺に言うと車に乗って帰っていった。
「それでは月曜日、またお会いしましょう」
叶野と北条も帰宅。
で、月さんは嬉しそうにそそくさと家に入っていった。
きっと夕飯の仕度でもするのだろう。
「じゃあ、また明日…」
と帰っていく春奈。
「春奈」
「なに?」
春奈が振り返る。
「ほら、これ」
と俺は先ほど買ってきた物を春奈に渡す。
「なんで…?」
「いや、俺の独断だけど…要らないなら着なくてもいい、けど受け取って欲しい」
「でも…」
「値段は気にするな、俺はお前よりは貯金があるからな」
「…そうじゃ…なくて…」
「あとさ…その、バンド頑張ろうな…」
「えっ…」
「俺…もっと頑張るからさ…」
俺はそれだけ言ってその場を後にした。
彼女の返事を待つ必要は無い。
俺は彼女との約束を…守るだけだ。

彼女を傷つけた、せめてもの…罪滅ぼしに。



尺の長さで章の重要人物(SIRO)出てないし…。
完全に池上さんの話しですね。
さぁてどんどん更新するか。








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