恋愛仲介部(45/79)縦書き表示RDF



新章ってことなんですが…番外編みたいな扱いで結構です。
恋愛仲介部
作:MOR



Albino〜メール〜



一学期…まぁ俺の今までの生涯上最も忙しかった時間を終了し
新たなスタートが切れるぞ…なんて思いながら
俺はなんとなく二学期に期待していた。

もちろん、学校が好きになったと言うわけではない。

勉強もできればしたくないし、できるなら一日中だらけていたいくらいだ。
それでも長い事、休んでいたのでどうやら学校に行きたくなってしまった様だ。
でもまぁ…普通に学校生活が戻ってくるならなんの心配もいらないのだが…
長い間放置してあった恋愛仲介部のことだけが気がかりな今日この頃である。

ま、実際のところ、4ヶ月近く奴とは会っていないわけで
奴がとっくの昔に俺のことを忘れているのであれば問題は無いんだけどさ。

でも結局、現実は上手くいかないらしい…


二学期の始業式をまだ若干湿度を保ちつつある体育館で終えた俺達は
久しぶりに自分の教室へと帰還した。
よかったのは俺の席が無くなっていなかったってことだな。
あれだけ派手に事故ったんだから多少なりとも噂をされているかと思いきや
俺の心配など他所に
「やぁ、今日から二学期だねぇ」
と栄治がまるでいつも会っていたよ…
みたいな口調で言うもんだから…変な気分だ。

日常となんにも変わらない。

変わったのは俺と秋だけだが…
実際、妙に恋人らしいことをする訳でも無しに現在も交際を続けている。
なんというか…一緒に居て落ち着けるってのは大事なんだと思うが
彼女の最近の態度からいくと…関係を深めるのはもう少し後になるんだと思う。
「それでも…俺が18になったら結婚する〜とか言ってたな」
「ん、どうかしたのかい?」
「いや、こっちの話だ」
でも、秋のことだからきっと本気なのだろう。
まぁ俺もそれなりに覚悟はあるつもりだ。
「それよりももうお昼だけど行かなくていいのかい?」
「あ、もうそんな時間か…」
俺は弁当を持って屋上に向かうことにした。

屋上へ来ると秋風とも言えなくもない爽やかな風が吹いていた。
「遅くなった」
いつもの様に壁に寄りかかっている叶野に言う。
なんていうか…このシチュエーションも久々だ。
「早かったですね」
と言う叶野の隣には…なぜかうちの高校に制服を着ている北条の姿があった。
「…どうしたんだ、その格好?」
とりあえず北条に聞いてみる。
「こ、これは別に…」
ちょっと挙動不審。
「非恋愛主義のこともあるので僕と一緒に行動してもらうことになったんです」
代わりに叶野が答えた。
「へぇ…じゃあ生徒指導係になったのか?」
自分で言うのもなんだが…かなり初期の話だな。
「違うわよ、あれは神崎家直属。私は叶野が心配なだけで…」
と叶野の方を見て微妙に頬を赤く染める。
よかったな叶野…そいつは立派なツンデレだ。
「だ…そうです」
少し照れていたのか叶野もそれ以上詮索を入れなかった。
まぁそれがいいのかもしれん。
「…俺、ちょっと用事思い出した」
「そうなのですか?」
「ああ、だから二人で食ってくれ」
俺はそれだけ言って屋上を後にした。
「……彼も行ってしまいましたし…昼食にしましょうか?」
「……う、うん」


多分正解だったなこの選択は。
二人の邪魔しちゃ悪いしな。
俺も俺でたまには教室で秋と食べるのも悪くは無いってことで教室に戻ってきた。

まぁ…どこの学校でもお馴染みだが
大抵の女子、男子はグループを作り昼ごはんを頂いている。
ま、そんな訳で秋も誰かと一緒かな〜?
なんて思い探すと…教室の端のほうで
池上と二人で昼飯を食べている秋の姿があった。

「珍しいな…二人が一緒だなんて」

この言葉しか思いつかなかった。
秋と池上はなんとなく仲が悪いイメージがあったし
無論俺のせいでもあるのだが…
その前からも一緒に仲良さげに話している姿は見なかったしな。

「たまには一緒にお昼どうかな〜って私が誘ったの」
と池上が言う。
「本当か?」
「はい、本当ですよ」
「…なんで疑うかな…?」
ちょっとむくれる池上。
「ま、いいや…とりあえず昼飯に混ぜてくれ」
「却下」
なぜ仕切る…池上。
「なんでだよ」
「女の子同士の話もあるの」
「…そうですか」
「わかったなら、早くどっか行って」
「…はい」
なんか…居場所をなくした窓際サラリーマンの心境だぞ…。

「あの…いいんですか?」
「えっ…なにが?」
「彼…一緒にお昼…」
「あ、ごめん…一緒が良かったよね…私、気を使えばよかったのに」
「いえ…そ、そうではなくて…」
「?」
「池上さんも…彼と一緒にお昼食べたいのかなぁって思ってましたから…」
一瞬池上は驚いた表情をすると
「無い無い、だって幼馴染だし、昔から嫌って言うほど近くにいたからもう十分」
「でも…」
「それより、あなた」
「えっ…私ですか…?」
「うん、今まで…その、あんまり話したこと無かったけど…その友達になりたいなって思って…」
「私と…ですか…」
「嫌かな?」
「嫌ではないんですが…」
秋は複雑そうな表情をする。
「…大丈夫だよ、彼取らないから」
「そうじゃなくて…その初めてなんです」
「えっ…なにが?」
「同性の友達ができるのが…」
「そうなの…?」
「はい、ずっと一人でしたから」
「そっかぁ…じゃあ私が友達第1号だね」
「はい」
「あ、でも、恋はライバルだから」
「…そこら辺は譲らないんですね…」
二人は苦笑を交えながら。
今までとは違った互いの面を見ていた。


「…やれやれ」
溜息を出しながら着たのは部室だった。
どうか奴が居ませんように…って三回唱えてから部室のドアを開いた。
「…って…普通誰もいないよな…」
部室には鍵がかかっている訳で。
俺は母さんから貰った合鍵で難なく進入できるが
普通の生徒諸君はこんな場所に来たくても来れないのさ。
で、懐かしきパソコンデスクに弁当を置いて
おもむろにパソコンの電源を入れた。

ファンの回る音とともに液晶に字が映し出される。

OSが起動し終わると画面には仲介部のホームページが映し出された。
影島が作ったらしいが…いったいなんの為に作ったかは不明だ。

することが特になかったので俺は弁当を食べ終わった後
適当に面白そうなサイトが無いかネットサーフィンをしていた。

その時…急にアラーム音が鳴った。
別に変なサイトを見たわけでもないんだが…。
エラーメッセージが出る訳でもなく。
俺がパソコンの画面を見ていると右下に
「メールを一通受信しました」
と言うメッセージが表示された。
てか…いつの間にメールアドレスを取得していたのだろうか…。
ま、そんなのはどうでもいい。
とりあえず気になったのでサーバーに問い合わせてみると
一件の未読メールがあるらしい。
まぁ…迷惑メールでもある可能性があるので最新の注意を払い
メールを開封。
でまぁ…一応迷惑メールではない様だが…依頼って訳でもないらしい。
そんでまぁメールの内容はこんな文章だった。

「………寂しいです」

と、こんな感じのものだった。
はぁ…俺も困った奴だな。
あからさまにフラグと思える文面だが…
期待してはいけない。
なんてったって差出人が名乗ってないんだからな。
もしかしたら悪戯かもしれない。
なにを血迷ったのか送信のメールを書いてみることにした。

「なにが寂しいの?」

辺りさわりも無く…それだけ送る。

しばらくすると返信が戻ってきた。

「…私が一人ぼっちだからです」

また、名乗ってない。
でもいたずらと放置するには気が引けた。
もしかしたら仲介部の噂を聞きつけてわざわざメールを送ってくれたのかもしれないし。

てな訳でもう一回送信。

「なんで一人ぼっちなんだ?」

ちょっと初対面に対して失礼かと思ったが
聞かなきゃ話は進まない。
すると今度は間髪入れずに返信が返ってきた。

「…病気だからです」

おいおい…明らかに相談するところを間違っている。
これは医者に相談してくれ。
恋愛の悩みならともかく…それ以外は管轄外だよ。
俺は公務員じゃないけどな

「そっか…で、俺達にどうして欲しいんだ?」

と、送信。
結局のところ、そこを聞かないと始まらないし
無理なお願いなら悪いが無視させてもらう。

「…話し相手になってください」

…なんとも、無茶苦茶なことを言い出す。
つまりアレか?
愚痴を聞けとかそんなのか?
そう言うのは他でやってくれ。

バカらしくなったので放置。
そろそろ午後の授業も始まるしな。
俺はそれ以上返信を送らずに部室を後にした。

今更だが部活の活動は今日は無いらしい。
初日だから気を使ってくれたのかは知らないが
俺としては大助かり。

よって今日は早く家に帰れそうだ。

家に帰ると月さんが出迎えてくれた。
「あれ…お嬢様とは一緒ではないのですか?」
「ああ、なんか池上と帰ったらしい」
どういう風の吹き回しだろうか?
まぁ…仲良い事は良き事かな。

そんなんで部屋に来て鞄を置き着替える。
ワイシャツのボタンを取り外すが…
「あの…なんでいるの?」
「…えと、お着替え手伝いましょうか?」
「結構です!!」
とは言ったものの…月さんは一向に俺の部屋から出て行く様子がない。
「…はぁ」
と溜息…まぁ月さんに見られて困るって訳じゃないし
とワイシャツを脱ぎ捨ててハンガーからシャツを取ろうと思ったとき…

ぎゅっ…

月さんが俺を後ろから抱きしめた。
こんな状況に慣れてしまった自分が怖い。
「…寂し…かったんです…」
「俺も…月さんの料理食べれなくて辛かった…」
「料理だけですか?」
「もちろん…一番辛かったのは月さんに会えなかったことだけどさ…」
「ふふっ」
少し微笑んで月さんは俺から離れた。
「ご主人様…」
ちょっといいムード…。
「月さん…」
月さんとの距離がどんどん近づいて行く。
「はいっ…そこまで!!」
勢いよく部屋の扉を開けて侵入してきたのは
誰でもない母さんだった。
「ほーら月ちゃん、晩御飯の用意が残ってるわよ〜」
と月さんの襟首を掴み母さんは月さんを部屋の外に引っ張っていく。
「ご、ご主人様〜〜た、助けてくださいっ」
と手足をバタバタさせている月さん。
…すまん、とてつもなく可愛いから放置するよ。
「お母様の意地悪〜〜〜」
「抜け駆けはダメよ♪」
「うぅぅ〜」
仲いいなぁ…。
ま、いいや…とりあえず飯までのんびりしよう。
そう思って最初のうちは寝転がっていた俺だったが
ふと…学校でのメールが気になった。

そんなわけで…サーバーに接続してみる。
IDとパスワードがわかっているので自宅でもなんの問題もない。
さて…。
特に期待していたわけではなかったが…。
返信が2件来ていた。
「随分と…マメな奴だな…」
そう思ってメールを開く。

「ごめんなさい、初対面なのに…病気とか言って変な子って思われましたよね…」

返信してきた時間は5時間目の始まった少し後…。
メールアドレスを見るからにはおそらくパソコンで送ってきたみたいだ。

そして次のメールには…ちなみにこれはさっき送られてきたみたいだ。

「私…実はあなたが入院していた病院に通ってるんです」

と書いてあった。
う〜ん…正直不気味だ。
いつも一行だし…。
ストーカーって可能性はないと思うけど…
こっちは知らないのに向こうは俺を知っているって案外嫌な気分だな。

「そっか、大変だな。まぁ俺は退院したし、もう会うこともないだろう」

冷たいかもしれないけど…
知りもしない奴に色々言われるのはしんどい。
こういうメールを遅れば諦めるだろ。

そう思って俺は一度ご飯を食べにリビングへと向かった。

で、そのまま風呂に入り。
寝る頃になってもう一度メールを確認することにしてみた。

返信が一件あった。

「ごめんなさい…」

返信分はそれだけだった。
ちょっと悪いことをしたかな…。
そう思ってしまう自分がいた。

「いや、そうじゃなくて…なにが言いたいのか良くわからないんだけど…」

送信。

「…えっと…本名を言えばいいんですか…?」

若干…話がかみ合ってないぞ…。

「ハンドルネームでもあだ名でもなんでもいい」

とりあえず向こうに合わせる。

「えっと…SIROって小さい頃呼ばれてました」

いやいや…君の小さい頃のあだ名は問題じゃない。

「…とりあえず君のことはSIROって呼ぶ、それでいいか?」

二秒ほど待つと

「はい、お願いします」

すぐに返信が帰ってきた。

「で…SIROは何をやってる人なんだ?」

確信について問う。
それを知らないことには話題も何もないし。

「いつもは家にいます」

ん…それは引きこもりってことか?
後悔が押し寄せてくる。

「インドア派なのか?」

と送信。

「いいえ…出たくてもあんまり外には出られないんです」

ちょっと間を置いて返信。
ん〜タブーだったかな…。

「そういう病気なのか…?」

顔が見えないと人間ってのは案外失礼なことを聞いてしまう様だ。

「はい、病院の時以外はいつも家にいます」

そっか…段々見えてきた。
悪戯じゃないみたいだが…これ以上病気について聞くのは失礼だな。
俺は少し気を使い。

「そっか、それじゃ寂しいよな。俺でよければ話し相手になるよ」

と、送ると

「はい、これから2ヶ月の間、よろしくお願いします」

この返信にはどんな意味があるのだろうか…?
SIROの命が2ヶ月ってことなのか?
まぁ…いいか。
別に会うわけじゃないんだし。
適当に暇つぶしにでもしよう。

俺はパソコンの電源を落とすと
「はぁ…」
と深い溜息をつき、眠りの世界へと飛び立った。




えっと…最近ちょっと鬱でして…。
更新遅くなってすみませんでした。








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