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ついに…妹キャラ出しちゃいました。
恋愛仲介部
作:MOR



恋愛仲介部の訪問1


4月も終わりに近づき
そろそろ…ゴールデンウィークに入る。
公約数的な考えを持つ俺としては連休と言うのは大変嬉しいことなのだが
諸手を上げて喜べないのが現状である。

なぜか…。

まぁそんなの言わなくても分かると思うが…池上と母さんだ。
秋は秋で性格も安定し比較的順調に交際を続けているが
母さんとはあれ以来…顔を会わせても気まずい状況が続いていた。
池上は池上で…一向に記憶の戻る気配が無い。
叶野の話ではやっぱり時が解決してくれるそうだ。

さすがに…そればっかりはお手上げですよ。

ま、俺の悩みを他所に…恋愛仲介部は毎日黙々と活動をしている。
部長には池上のことを説明しないままだが…細かい事を聞いてこないので放置だ。

問題を山積みにしてはいけないと思ったので…
まずは母さんのことについてから…解決しておこう。

と、思い立った俺が相談を持ちかけたのはいつもの爽やか系美少年ではなく
一番の心の拠り所である秋に相談することにした。
…彼女にこんな相談なんて…俺情けなさ過ぎる…。

「正直に自分の気持ちを言えばいいと思うよ」

秋の答えは簡潔だった。
池上の様にやきもちも焼かずに…自分の意見を真っ直ぐに言ってくれた。
「…自分の…気持ちか…」
「どう思ってるの?」
「…う〜ん、わからないんだよな…確かに母さんは美人だけど…恋人としては見れないって言うか…」
「それが本音だよ」
「そうなのか?」
「うん、本心はもう先生には言ったんでしょ」
「ああ…だから気まずい」
「それは気の持ち様だと思う。互いに気にしてるから気まずいんじゃないの?」
「…それはそうだけど」
「だから、気にしない方が良いよ」
「…そっか」
俺が気にしてると…母さんも…気にするよな。
だからできるだけ普通に接しよう。
もう、母さんの申し訳なさそうな態度は見たくないし。
「助かったよ秋、やっぱり…頼りになるなぁ…」
「ふふっ、だって彼女だから」
「そうだな」
さぁて、帰ったら普通に接してみるか…。

なんて思いつつ…家のドアを空けると…
「あっ…」
買い物袋を持った母さんと遭遇。
「…持つよ」
「えっ…」
俺は母さんから買い物袋を取る。
「いいよ…自分で…」
「いいんだ、たまには親孝行させてくれてもいいだろ」
「……うん」
母さんはしばらく複雑そうな顔をしていたが
俺に買い物袋を渡す事を承諾してくれた。
うん、この調子なら大丈夫だろう。
やっぱり俺の考えすぎか…
母さんは俺なんかよりも何倍も大人の考えを持っている。
だから…ちゃんと、諦めも自分の中でできるし。
自分勝手に暴走する訳でもない。
その辺りは大変尊敬に値する。

俺が買い物袋をリビングまで持って来ると
母さんが買ってきた食材を冷蔵庫に入れ始めた。
「何か飲む?」
母さんが俺に問う。
「じゃあコーヒー」
「うん」
母さんは台所でインスタントコーヒーの準備を始めた。
「なぁ…母さん」
「なに?」
「…俺さ、母さんが…母さんじゃなかったら…う〜ん、変な言い回しになるけど…さ」
「………」
「…きっと…母さんのこと…」
「ダメよ」
「えっ…」
「それ以上言ったら…私も本気になっちゃうから…」
「…そっか」
母さんの目は…真剣だった。
「私が本気になったら…他の子たちがかわいそうでしょ」
「…ああ、全くだ」
母さんが本気を出して…俺にアピールしてきたら…
…きっと誰も叶わないだろう。
「でもね♪」
「えっ…」
母さんは急に満面の笑みを浮かべると
「油断してると…奪っちゃうよ」
「ちょっ…ちょっと…」
全然諦めてないじゃないか…。
「な〜んて、冗談♪」
冗談に聞こえないです…はい。

と、まぁ…母さんとの他愛も無い会話を終えて…俺が部屋に戻ると
池上が俺の部屋にいた。
「こらこら…勝手に入るなよ」
「だって面白いんだもん」
…って、また懐かしいテレビゲームを引っ張り出してきたもんだ。
「あ…」
「どうした?」
急に何かを思い出したかのように池上は時計を見る。
「行かなきゃ」
「どこへ?」
「外」
「お、おいっ…ちょっと待てよ」
池上が走り出したので俺は急いで池上の後を追う。

まぁ…子供って言うか…現在はスポーツ万能な池上さんの体なので
俺が追いつくのも…必死だ。
でも、赤信号でも飛び出さない辺りは偉いぞ…池上。
じゃなくて…いったい何処まで行く気だ?

しばらく、池上の後を追うと…とある場所へとやってきた。
「ない…」
悲しそうに辺りを見る池上…。
「………」
「どうして…ないの…?」
彼女の瞳には涙が浮かんでいた。
「…なんで…」
池上は膝を着いて泣き出してしまった。
…気持ちは分かる。
彼女の大事な思い出…。
それはもう…ここには無い。
無情にも…今はマンションが立っている。
「…池上」
「…秘密基地…ないよ…」
「ああ…数年前に…なくなっちまった」
「どうして…ねぇ、どうしてっ…」
俺の腕を掴み必死に問いかけてくる。
「いつまでも…昔のままではいられないんだ…なにもかも…」
そんな言葉をかけることしかできなかった。
幼き彼女の心にどれ程残酷に…そして鋭く突き刺さったのだろうか?
俺には…わからない…。
「…もう、遊んでもらえない…」
彼女の口から何かが抜け出るように言葉に乗せて発せられた。
彼女にとって…この場所は特別。
なによりも大事な…

俺と…会えた…俺と…一緒にいられた…掛け替えの無い場所。

それが…奪われた。

幼き彼女には…その衝撃は大きすぎる。

「…帰ろう」
俺は力なく…その場で動かない少女の手を引いて…家へと戻る事にした。
このまま彼女をここに居させるのはいけない…
そう、思ったから…。

家に帰ってからも池上は元気が無かった。
何かが…消えてしまったかの様に…。
「春奈ちゃん…どうしちゃったのかしら…?」
さすがに母さんも気づいたみたいだ。
「ああ…ちょっとな…」
慰めてあげたいが…俺はどうする事もできない…。
…所詮…俺はこんな男なんだよな。
いつも…肝心な時になにもできない…。
「…お風呂」
「ん?」
池上が俺の袖を引っ張っている。
「あらあら、お兄ちゃんと一緒がいいの?」
「いや…マズイだろ」
「いいじゃない、別に変なことしないなら」
「するかっ!!」
はぁ…まぁバスタオル着用なら大丈夫か…。

「頭…洗って」
俺に言う池上。
「あ、ああ…」
シャンプー適量を手に取り、軽く泡立ててから髪に馴染ませていく。
金色の綺麗な髪がより一層綺麗に輝いている。
「髪…綺麗だな…」
あっ…考えてた事が口に出てしまった。
「…嫌」
「えっ…」
「髪…金色だと…いじめられるから…」
「…いじめ…?」
「変だって…みんな黒なのに…私だけ金色…変だから…仲間に入れてもらえないの…」
「…池上」
そういや…昔、クラスで一時期浮いてた事があったよなぁ…。
だから、俺と一緒に秘密基地で遊んでたんだっけ。
「…だから、もう…嫌、学校も…行きたくない」
「……」
「…俺は好きだけどな、綺麗だし…」
「えっ…」
「個性だろ、気にするなよ」
「…同じこと言った」
「ん?」
池上は眼を真ん丸にして俺を見ている。
「あの時と…同じこと」
「ああ…そっか」
そういや…前にも俺はこんなこと言ったんだよな…池上に。
「昔のこと…思い出せたのか?」
「…うん」
「…そうか」
「…ねぇ」
「ん?」
「…ありがと」
「ああ…」
俺達はそれきり…なにも言葉を交わさなかった。


「お世話になりました」
池上は深々と母さんに頭を下げる。
「大丈夫?まだ安定してないし…すぐ帰らなくても…」
「いえ…もう、大丈夫ですから」
「………」
「じゃあ、送って行ってあげなさい」
母さんは俺に言う。
「ああ…そうだな」

俺は池上の隣を歩いていく。

「ねぇ…」
話しかけてきたのは池上だった。
「ん?」
「…優しかった」
「…?」
「嬉しかったし…幸せだった」
「池上…?」
「私…もう、邪魔しないから…」
「……」
「神崎さんのこと…幸せにしてあげて…」
「本心でそう思っているなら、泣くなよ…」
池上の頬には涙が伝っていた。
「だって…だって…」


悔しくて…。
寂しくて…。
悲しくて…。
それでも…彼のことを思うと…。
やっぱり…私じゃダメなんだと痛感する。
抑えられない気持ち。
私は彼が大好きだから…。
ちょっとでも…他の女の子と仲良くしていると…ヤキモチを焼いちゃう。
それが彼に…嫌われた原因なのに…。

一途な思いなのに…彼には届かなかった。
何度も何度も…彼に呼びかけたけど…私じゃ…彼を振り向かせられなかった。
だから…私は…もう。


「…バカ」
彼は私をよく「バカ」って言う。
馬鹿にして言うこともあるけど…
いつもは…慰めてくれる時に…言ってくれる。
「身勝手な…俺のせいで…お前が苦しんだんだ…だから…」
彼は私を…抱きしめた。

だけど…私に降り注いだのは…。

彼の優しさではなくて…

彼の…赤い…

真っ赤な…血液だった…。

暖かく…彼の…血液が私の頬へ…滴っていく

彼は右胸を抑えていた。

「どう…して…」

彼は力なく…その場に倒れこんだ…。

「う…嘘…」

どうして…どうして…

彼の右胸から…吹き出る血液が止まらない…。

誰が…彼を…。

ふと…後ろを見ると…黒い…銃口を倒れている彼に向けている女が一人。

その女は鋭く…冷たい眼差しを私に向けている。

殺される…。

本能がそう告げる…。

逃げなきゃ…でも…逃げたら…彼は…殺される。

それだけは嫌だ…。

「あなたに用はないの」
女は私に言う…。
「…あなたは…」
震えている…でも、聞かなきゃいけない…。
「私は非恋愛主義のメンバーの…七瀬」
この人が…なにを言っているのか分からない…。
そして再び彼女は銃口を彼へと向ける。
「やめてぇ…」
私が涙ながらに叫んでも…彼女は聞く耳を持たない…


「…久しぶりに…会ったって言うのに…随分な扱いじゃないか…冬」

彼が…女に向かい言う。

「まだ、生きてたの?どうやら心臓を打ち抜けなかったみたいね…」
「ああ…簡単には…死ねねぇよ…」
彼は痛む体を起き上がらせて…彼女と対峙する。
「…春奈、逃げろ…そして叶野に連絡を取れ」
彼は私に言う。
「う、うん…」
私は彼から距離を取って携帯を取り出して叶野君へと電話をかける。



やれやれ…。
痛い…なんてレベルじゃないぞ…。
痛覚が麻痺してきている。
「…まさか、お前が非恋愛主義の…メンバーだとはな…」
「驚く事かしら?」
「いや…お前はそんな女だったな…」
「…最初に約束を破ったのはあなたよ…私は信じていたのに」
「…ああ、悪いのは…全部俺だ…だから…撃てよ」
さっさと…その銃で俺を撃ち抜けばいい
「くっ」
「躊躇う必要が…あるのか…?」
…彼女が本当に…俺の知っている七瀬冬なら…
彼女は…俺を撃てない。
「最初から…心臓を外したのも…わざとだろ」
「だ、黙りなさいっ…撃つわよっ」
「…はぁ…はぁ……」
撃つ撃たない以前に…俺はもう…限界なんだよ…。

意識が…遠のいていく…。


……………。


七瀬…。

昔、父さんに一度だけ連れて行ってもらった家だ。
まぁ…今は父さんはそこで暮らしている。
俺の本当の母さんが死んだ後、父さんはそこの七瀬のお嬢さんと再婚した。
ちなみに…結構な金持ちで…財界では有名どころ。

そして俺は七瀬の家からは邪魔に思われていた。

でも、こんな風に…命を狙われるとは思わなかった…。

しかも…義理の妹に…。

なんだってこんなことに…なるんだか…。

これも…一つの…罪滅ぼし…なのだろうか?

そんなことを考えていると…急に視界が明るくなっていった。

「兄さん」
…なんの冗談だろうか?
俺は現在…自分の部屋で寝ているのだが…。
あれほど出血したはずが…どこも痛くないぞ…
「起きたんですね」
黒髪…いや、厳密には紺色のセミロングの髪をした女性が俺を覗き込んでいる。
「ああ…全く状況がつかめないぞ…冬」
「さっきのは仕返しです」
「仕返し?」
「兄さんが約束を破った仕返しです」
「約束…?」
「…やっぱり、忘れてるんですね」
「…すまん」
「いいです、最初から期待はしていませんでしたから」
「…そうかい」
「じゃあ、リビングで待ってますから…早く来てくださいね」
「あ、ああ…」

なるほどね…さっきのは全部お芝居か…。
やれやれ…。
頑張るねぇ…演劇部。
それに…奇特な妹を持つと苦労する。
いや…もう、何年も会っていなかったのに…俺は兄面できるのだろうか?
ま、いいけど…。
ドッキリを仕掛けるにしても…スケールが大きすぎる。
はぁ…血のりで汚れた服代…弁償してくれるのか?
そんなことより…どうして冬はここに来たんだろうか?

とりあえず…それを本人に聞いてみるか…。

俺は麻酔が微妙に残って妙な感覚が残る体を起こしリビングへと向かった。





久しぶりの更新にも関らず…凄く展開がつかめません。申し訳ない。








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