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短いです、すみません。きっと次の欲心3は長いと思います。
恋愛仲介部
作:MOR



恋愛仲介部の欲心2


「やだっ…もう帰るっ…!!」
池上のいる病室の前まで来ると中から騒がしい声が聞こえてきた。
「池上の声か…?」
俺は秋を背負ったまま病室のドアを開ける。
「バスッ」
…ドアを開けた瞬間に…何か白い物体が飛んできた。
それは俺の顔面にぶつかってから床に落ちた。
「…枕?」
病院の枕…なんでこんなところに?
「大丈夫っ」
すると病室の中から母さんが出てきた。
「…母さん、これはいったい…?」
「ごめんなさい、春奈ちゃんが…投げちゃって」
「え…池上が?」
池上の方を見ると池上が暴れていた。
しかも看護婦さん2人に押さえつけられてるし…
「で、病状は…どうだったんだ?」
「えっとね、特に異状は無いみたい…でも」
「でも?」
「精神は安定していないみたい…なにか原因があるみたいだけど…」
その原因は間違いなく俺だ。
だから…俺は責任を取る必要がある。
俺は秋を母さんに託して、池上の元へと歩み寄る。
「池上、帰るぞ」
「えっ…いいの?」
彼女の顔が満面の笑みに変わる。
「…いいですよね」
看護婦さんに問う。
「精密検査は終わっていますから…ダメではないですが…」
なら、決定だ。
「母さん…今日から池上を家においてくれないか?」
「えっ…いいけど…どうするの?」
「俺が池上の面倒を見る」
記憶が戻るまで…何年でも…。
そうでもしなければ俺の罪は償えないのだから…。

結局、母さんに頼んで池上を家まで送迎してもらった。
秋はなかなか目を覚まさないので西沢さんを呼んで家まで送り届けてもらう事にした。
「ここ…お家違うよ」
家の前で俺に言う池上。
「いいんだ、ほら」
彼女の手を引いてやる。
「あっ…」
「行こう」
「…うん」
妙に素直に頷いたな…。
まぁいいか、それより池上の部屋の準備しないとな。

「ここが池上の部屋だ」
俺の隣の部屋に彼女を連れてきた。
空いている部屋は他にもいっぱいあるけど俺の部屋と近い方が安心だろ。
「何も無いよ?」
「後で荷物運んでくるから、大丈夫」
「ねぇ…お腹空いた」
「…そう言えばそうだな」
もうとっくに晩御飯の時間だし当然か…。
「母さんに頼んでくるよ」
「お母さんってだれ?」
「さっきの人だよ」
「ふぅん」
どうやら…俺が危険人物ではないってことは認識したみたいだ。
さっきの態度も頷ける。
「じゃあリビングに行こうか」
「うん」
急に元気になりやがったな…。
ま、いいけどな。
リビングに来て早速晩御飯のメニューを交渉。
「で、春奈ちゃんは何が食べたいの?」
「オムライスがいいっ!」
「はいはい、じゃあちょっと待っててね」
母さんたちは仲良く会話を終了させた。
「ごめんな、母さん無理言って…」
「いいのよ、私も娘ができたみたいで嬉しいわ」
微妙に上機嫌で母さんは台所で晩御飯の準備を始めた。
母さんって結構子煩悩なんだな…。
「ねぇ遊ぼうよ」
「はいはい…」
俺はそうもいかないんだけどな…。

で、晩御飯が完成するまで…トランプだの人生ゲームだの…
色んなゲームで幼い池上の接待をしていた俺も
さすがに…疲れた…。
「晩御飯できたわよ」
疲れきった俺には母さんの一言が救いの言葉に聞こえた。
そしてみんなでリビングのイスに着席。
「いただきます」
と声を揃えて言ってから、母さん特製のオムライスを頂くとしよう。
「おいしい♪」
池上は上機嫌だ。
それもその筈、母さんの料理は素人の作ったものを遥かに凌駕する出来だったからだ。
「よかった、おかわりもいっぱいあるからね」
微笑ましい光景だなぁ…。
疲れきった精神と病んでいる心に染みていくよ。
「あっ…ほら、口元汚れてるぞ」
ナプキンでケチャップのついた池上の口元を拭いてやる。
「ん〜自分でできるもん」
「やれやれ…できないから拭いてるんだけどな」
口では嫌がってても俺が拭いてやると素直に口元を差し出してきた。
満更でもないみたいだな…。
「ふふ、仲がいいのね」
そんな俺たちを母さんは微笑ましく見ている。
「春奈ちゃん将来うちにお嫁に来る?」
「ちょ、ちょっと母さん…」
なんて質問するんだよ。
「うん♪」
「よかったわね、快く了承してくれて」
「あのなぁ…」
秋との関係を知ってて…なにを言うんだか…。

夕食後、母さんは池上と一緒にお風呂。
本当に家族並みに仲が良いな…。
俺はその間に自分の部屋でテレビでも見ていることにしよう。
でも、昔の池上ってあんな感じ…だったけ…?
もっと控えめで…自分の思っていることをはっきり言わない子供だったような…。
「バタンッ」
「なっ…!?」
「遊ぼっ!!」
急にドアが開いたかと思うと…バスタオル一枚の池上が俺の部屋へ乱入してきた。
「お、おいっ…池上!?」
バスタオルが微妙にはだけそうで…しかも、髪もバスタオルも微かに湿っている。
「ああ、もう…ダメでしょ春奈ちゃん」
と…次に入ってきたのは…予想を超える人物で…。
「かっ…母さんっ…」
母さんも池上と同じ格好で…後から部屋に入ってきた。
「もう、お風呂終わったもん、だから遊ぶの」
「ちゃんと髪の毛乾かさないと風引いちゃうでしょ」
「大丈夫だもん」
「ダメよ、ほら戻りましょ」
母さんに手を引かれて…風呂場へと戻っていく池上…。
…目に毒だぞ…さすがにあれは…。
でも…まさか母さんまで同じ格好で追いかけてくるとは思わなかった。
落ち着きを持った女性って設定はどこにいったんだかねぇ…。
「遊ぼっ!!」
…ってまた来るし…。
今度はちゃんとパジャマ着てるみたいだけど…。
「ちゃんと着てきたんだな」
「偉い?」
「ああ、偉い、偉い」
と、池上の頭を撫でてやるが…ボタンを一つ掛け間違えている…。
「仕方ないなぁ…もう」
直してやる事にしよう。
池上のボタンを外す。
「…………」
下着…してないのか…?
「なにしてるの?」
「いや…ボタンがずれていたから直してるんだ」
「ありがと」
「礼はいいから動くな…」
よしっ…これでよしと…。
「……何してるの…?」
母さんが俺に言う。
「ボタンを直してやってただけだ」
「へぇ…あんまりエッチなことしちゃダメよ」
「し、してないっての…」
「なら、いいけどね」
母さんは全然、納得の行っていない目をしている。
「…その目は信じてないな…」
「さぁ春奈ちゃん、危ないお兄ちゃんは放っておいて私の部屋で遊ぼうか」
「うん、遊ぶ」
「…はぁ」
危険人物扱いかよ…。
別に何もしないってのにさ。
「…………」
「ん、どうした?」
「お兄ちゃんも一緒に遊ぶの」
と、俺の手を引いていく池上。
「…ああ、そうだな」
…お兄ちゃん…か。
完全に…以前の俺とは別人と認識されているんだな…。


「お兄ちゃんの番だよ」
「あ、ああ…」
なぜか母さんの部屋で三人でトランプをやっている。
夜の12時は既に過ぎてるんだけど
「なぁ…池上、そろそろ寝ないか?」
「やだ」
「眠いし…俺明日も学校なんだけど…」
そう言うと池上はトランプを床に置いて
「だって…明日お家に帰ったら一人になっちゃう…」
「えっ…」
「お母さん…お家にいないもん…」
俯いて寂しそうな目をしている。
…そっか。
春香さんは昔から家を空ける事が多かったもんな…
だから、俺が暇な日は母さん…紗也香母さんが家に呼んでいたんだっけ。
だけど…それ以外の日は…。
いつも一人ぼっちだったんだよな…。
「寂しくなんてないだろ」
「えっ…」
「ずっと…ここにいてもいいんだから」
「本当っ!?」
「ああ」
「やった、嬉しいなぁ」
嬉しそうに笑みを浮かべる池上…。
「だから、今日は…そろそろ」
「うん、明日も遊べるならもう寝るね」
「良い子だ、おやすみ」
「うん」
俺は池上にそう言って母さんの部屋を後にした。
自分の部屋に帰る途中、母さんが後ろから俺を呼び止めた。
「……ねぇ」
「…なに?」
「…このまま、春奈ちゃん…うちの子にしようと思うの…」
「えっ…」
なんだって…。
「春香さんにも連絡を取ったけど…しばらく帰れそうにないみたい…それならいっその事うちの子に…」
「…そうだな、そっちの方が…いいのかもな」
池上の為にも…。
「そうね…じゃあ春奈ちゃんを私たちの家族にしましょう」
「…ああ」
家に置いておくのも一人で池上家へ放置するよりも安心だし…。
それに母さんの監視下にいれば…危ない目にも遭わないだろう。
だから…それが一番良い選択肢なんだ。
俺はそれを信じて…疑わない。
「明日、学校でしょ早く寝なさいね」
「わかってる、お休み」
「………」
母さんは黙っている。
「ん、まだなに…」
なにかあるのか?
そう言い掛けた時。
母さんは俺を抱きしめていた。
「え、ちょっと…か、母さん!!??」
「…辛いでしょうけど…迷わないで」
「…母さん」
「あなたは…なにも悪くないの…だから春奈ちゃんのこと…気負わないで」
「…ああ、ありがとう…母さん」
「…ご、ごめんね…ちょっと…抱きしめたら…恥ずかしくなっちゃった」
母さんは頬を染めて…俺から離れる。
「…それじゃあ、おやすみ」
「…うん、おやすみ」
それだけを言い
俺達は互いに背を向けて自分の部屋へと歩き出した。


彼は汚れや罪を恐れている。
なにかを失うのが…怖いんだと私は思う。
…私も妹を失って…自分を見失っていた時期があった。
でも、その時は紗也香さんが…私を励ましてくれた。
そのお陰で…私は立ち直る事ができた。
でも…。
彼は支えがないと…過ちを全て自分への重みへとして受け入れ…背徳感を一心に背負ってしまう。
それだけはさせない…。
そうさせない為にも…私は…全力を尽くす。
「あら…もう、寝ちゃったのね」
部屋に戻ると…春奈ちゃんはすうすうと寝息を立てていた。
可愛い寝顔…見ていると妹を思い出す。
自分の胸に刻み込んだ後悔の傷は…まだ私を苦しめている。
だから、その傷を…彼への思いで満たしたい。
彼を思う気持ちで…少しでも痛みが消えるのなら…私はそれで十分。
でも…自分がした後悔を彼にさせたくない…それは私の自己満足じゃないのか?
後悔かどうかは本人が決めること…
だから…私なんかが…彼のことを勝手に理解して
いい気になっているだけなんじゃないか?
そう…思うときがある。

だけど…そうやって彼を思う意外に…。

『私はどうやったら…母親らしく振舞って彼への想いを隠していられるのだろう…?』

そんな疑問が…私のことを悩ませる。
でも…仕方が無いじゃない…

私だって…彼のこと…好きなんだから…。

もう、母親として…距離を取っているの…辛いの。
彼の…優しさを…対等な立場で欲しているの…。
これが…私の心に眠る…欲心だから…。
決して見せない…私の嫌な部分…。

見せたら…きっと彼に…

軽蔑されちゃうから…


えっと…特に書くこともないのですが…最近、文章が短くなっているような…でも、次の欲心3からはいつも通りに行こうと思います。








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