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異世界人

「その日は…俺がこの世界に呼ばれた日!?」


そう、俺は2020年の3月7日。深夜0時を過ぎても仕事をしていて飯を食おうと廊下を歩いていた時にこの世界へと呼ばれたのだ。


目の前のジロウはそれを的確に言い当てた。そして同時に20年前とも信じがたい事も。


「何からお話しすればよいのでしょうか。まずはそうですね。私はご覧のとおり警察官です。行方不明の捜索を独断でしていました。GMである貴方の方でも都市伝説とまで言われた様々なオンラインゲームをプレイしていた方々が行方不明となる噂を聞いたことはあるでしょう?」


「あ…ああ。俺の部署でもそういうメールで調査依頼がプレイヤーから送られてきました」


「私の方もです。数年前からありましたがここ最近少し増えましてね、部署では私ぐらいしかオンラインゲームをしておらず足取りを掴めるかもという事で『戦国侍戦記』でプレイをしながらダメもとで調査をしてました。明るかった部屋が急に暗くなり気が付けばプレイした『忍頭』の姿と強さでこの世界へ呼ばれたのです。それが20年前ですね」


「ですが時差がありすぎませんか?」


「はい。この世界での調査の結果ですが、呼ばれた日や年にかかわらず、時空を超えて呼ばれる事があるようです。これは他の仲間の証言とも一致します」


「その仲間とは?」


「今は別作戦で動いてもらっていますが、後で紹介します。話を戻しましょう。

私を呼んだ国は既に王国に滅ぼされてます。その国は私を服従させようとしましたが忍頭のスキルを使い、煙に巻いて脱出、そして荷馬車に忍び込んでこの国へとたどり着きました。ですがそれまで私は僅かな食料しか口にしておらず衰弱して意識を失ったのです」


「そこでわが父上が弱り切ったジロウを拾い。自ら側近にしたのだったな」


「ええ。王子の仰る通り。ローラン王とは何度も戦場を共にし、彼を王にするときも尽力を尽くしました」


王子は俺達の話を聞いても左程驚いた様子はなかった。

どうやらジロウから話は聞いていたらしくじっと聞いてたのだが、アデルとヨーコは訳が分からない様子で呆然としている。


「ヨーコ、言っている事は解るか?」

「全然…」


蚊帳の外にして悪いと思うが、これは説明しようにも難しい。

解ってもらうには理解できるまで話をしなければ無理だろうな。


「元の世界で行方不明調査をしていた時に貴方の事も調べています。実家が農家でビニールハウスを使った栽培をしているという事も」


「…先輩はどうでしたか?」


元の世界の事を話され俺は仕事を残してしまった先輩の事が気になってしまったのだ。


「心配してましたよ。事故にあったのではないかと…これも事故の様なものでしょうかね」


「そうですか…」


先輩には悪いことをしてしまった。だがこれは事故と言えば大きな事故だろう。

世界を飛び越えた事故。






「それでですね、この話をしたのは訳があります。先ほど王子が仰っていた作戦での厄介な敵。それは…私達の世界の住民。異世界人です」


「俺達の世界の…」


懸念していたことが当たった。ジロウの様に味方であれば強力だが、敵であれば難敵なのは間違いない。


「顔も名前も解りませんでしたが敵兵の間では『狙撃姫』と呼ばれています。武器は判明している限りナイフ、拳銃、マシンガン、ライフル…酷いものになってはロケットランチャーや対物ライフルなど重火器。心当たりがあるゲームは恐らくは…」


「VRゲームの『コマンドーシティ』辺りですね…都市を舞台にしたFPSオンライン」


ジロウの言葉に俺が挟む。

俺もプレイしたことがあるオンラインだ。自分は兵士となってリアルな都市で繰り広げる銃撃戦が売りのゲーム。


「ええ。その者が砦の鉄壁の守護神となっています」


「その者はそれほどまでに強いのか?魔法で撃てば遠距離の攻撃と言えども攻撃の妨害位は出来そうだが…」


アデルが次郎に対して質問をぶつけた。

魔法の距離は長いもので400mを超えるものもある。

俺が頑張れば600mは行けるが命中精度は落ちるだろう。






「…3km」






ただ一つジロウが呟いた。俺はそれを理解し額に手を当てる。アデルとヨーコは解っていないようだ。

とんでもない化け物だ。


「何がだ?」


「相手の狙撃範囲は3kmです。それより入った者は撃ち抜かれ重傷を負っています。頑丈なミスリル製の盾ですら鎧ごと撃ち抜かれました」


「何だと…!?」

「なにそれ…!弓や魔法でも手も足もでないじゃない!」


アデルもヨーコも驚いたが俺も驚いた。予想より超長距離の射撃だ。

プレイ動画でも見たことあったが、空を飛んでいる戦闘機パイロットを打ち抜き落とした猛者もいる。


そしてその猛者はこの度、俺らの敵となって立ち塞がったというわけか。


「それなら俺がいくしかないか。並大抵の攻撃じゃ通用しないしな」


弾丸の衝撃で押されるかもしれないがリヴァイアサン程じゃないだろう。


「助かります」


「これも貴族となったからには作戦には積極的に参加しないといけないからな。当然の事だ」


「そうか。初任務が危険度が高くて申し訳なかったが、これなら俺も安心して同行出来よう」


王子付いてくるの?最前線に来て大丈夫なのか?


「王子も一緒に来るのですか?」


「当り前だろう。王子とはいえ、後ろに引き籠っては軍の士気にかかわる。こういうのは前線で鼓舞をせねばな!」


「最前線は止めてくださいよ。王子が撃たれたら終わりなんですから」


すげぇノリノリな王子をジロウが収める。この王子、実は脳筋なのかもしれない。


「それで俺は一人で向かった方がいいですか?それとも家臣を連れ立った方が?」


「出来れば少数精鋭が良いですね。今回は空を飛んで現地まで向かいますので、連れていけてもアデル殿含めて3名でしょうか」


「王子はどうするのですか?俺がウィングで連れて行くにしても長時間のぶら下がりは苦痛だと思いますが…」


「それなら心配は無用だ。俺は『竜騎士』≪ドラグナー≫だからな。自前の飛竜がいる。3人は乗せられるから安心しろ」


自前の飛竜がいるのなら大丈夫そうだな。

裏技もあるんだがここで披露しなくてもいいか。


「なら連れて行くのはアデルと…ヨーコが来るか?バルバロッサは空は嫌がるし、ローハスは海兵達の給仕やってるしな」


今やローハスは海兵達の専属料理人として大忙しらしい。

渡した剣をコンロ代わりにして出来立てホヤホヤデリバリー。

レアなフレイムブレイドが泣くかもしれないが、有効的に使ってくれてるなら俺としては問題ない。


「そうねぇ。私は大丈夫よ。ゴーレムを使役すれば盾にもなるし、土人形なら人海戦術も出来るわよ」


「決まったようだな。ではヨーコ殿とジロウは俺の飛竜で連れて行こう。作戦は明後日明朝だ。準備を怠らないようにな」


「解りました。必ずや作戦を成功させましょう」


王子の言葉に俺達は全員で頷き。明後日の初作戦に備えるのであった。

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