銀河英雄年代史外伝 サーカスは星の間に プロローグ
銀河英雄伝説の二次創作小説です。
舞台はラインハルト崩御後のローエングラム王朝。分艦隊司令官ヴェルナーは司令官のフェリックス・ミッターマイヤーの命を受け、出撃する……
ほとんどがオリジナルキャラクターの物語です。
銀河英雄年代史正伝はころすけ@LBR先生が執筆中です。
新帝国歴25年6月 フェリックス・ミッターマイヤー中将の命令を受けたヴェルナー・テンシュテット少将率いる半個艦隊5000隻はイゼルローン要塞を目指して航行していた。
艦橋の扉を開けた艦隊参謀長ナオ・リヒテンシュタイン准将は全天周モニターを見上げ、一人宇宙を眺めている年下の司令官の姿を見つけた。
「星を見ているの? ヴェルナー」
参謀長は尋ねたが、指揮シートに腰を下ろしたヴェルナーは一向に返事をしない。少しの時間を置いて、彼はようやく、自分の参謀長の存在に気づいた。
「あ……あぁ、リヒテンシュタイン准将か。老けたな……グフゥ!?」
彼が言い終わる前に、参謀長は拳を一発、司令官のみぞおちに入れていた。指揮シートにのめり込むかと思うほどの強烈な一撃に、眼鏡をかけた黒髪の司令官は体をくの字に曲げて痛みに耐えた。
「嫌ですわ、司令官閣下。色っぽくなったとおっしゃってくれなくては。おほほほ」
「ぐぐ、お互いに……と言おうとしたんだ、ナオさん……それに、俺は一応、分艦隊司令官だ……」
涙目のヴェルナーの抗弁を無視し、美貌の参謀長はうずくまる艦隊司令官の見下ろすと、軽く息を吐いた。
「いつまでも、デリカシーのない弟にお仕置きしただけよ。それに、いつまでそのくさい芝居をするつもり? ガードしたの、ばれてるんだから」
ナオに気づかれて、ヴェルナーは痛がる振りをやめ、元の姿勢に戻ってると、。
「そうか。かなわないな卿には。実は、彼女を眺めていたんだ」
彼らの目線の先には、旗艦「サターン」に随伴する一隻の巡航艦があった。対空巡航艦「アジェナ」。彼らが初めてコンビを組み、戦った歴戦の艦である。
「6年前を思い出すな。あの時、俺は艦隊司令官ではなく、一介の巡航艦の艦長だった。今でもあの日のことを思い出すよ」
「私も6年前のあの日のことは忘れられないわ」
彼等2人は、静かにかつての乗艦だったアジェナを眺めた。
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