低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 77
「たのもー!」
突然の突拍子もない叫び声に店の客達は入り口に目を向けた。
そこには黒く巨大な影と、少しだけ入り口を開けたところに立っている少女が見て取れた。
「シャム・・・」
要が呆れたようにつぶやく。赤いパーカーを着た少女、ナンバルゲニア・シャムラード中尉の能天気な笑顔にそれまでの自分が浮かべていた仏頂面を思い出して一同に自然と笑顔が浮かんだ。
「師匠!お散歩ですか?」
店の奥から飛び出してきたのはエプロン姿の家村小夏。女将の春子の一人娘でシャムを師と仰ぐ女子中学生だった。
「おう!お散歩だよ!そしていつもの!」
シャムの言葉に小夏はそのまま厨房に消えていく。
「しかし良いのか?グレゴリウス13世は・・・一応猛獣だろ?」
入り口をふさぐ巨大な影。それがコンロンオオヒグマの子供のグレゴリウス13世であることは全員が分かっていた。
子供だと言うのに地球の最大級の熊と同じくらいの大きさの巨体。一応繁華街であるあまさき屋の前にやってくるのは不自然を通り越して異常だった。
「知らないの?要ちゃん。このまえ豊川FMで紹介されてたわよ。街の人気者だって」
アイシャの言葉に要の顔がゆがむ。
「マジ?いいの?ロープも鎖も無えんだぞ?」
そこまで言ったところでシャムの頭の上にグレゴリウスの顔が飛び出してきた。
「なんだよ・・・やる気か?」
「西園寺。熊と同レベルでの喧嘩はやめてくれ」
諦めたようにカウラがつぶやく。そして厨房からは大きな鉢を持った小夏が現れた。
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