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低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 74
「おじさん・・・今何かやったね」 

 その言葉を聴いて水島は体の力が抜けていくのを感じた。明らかに誰も知らないはずの自分の力を見られた。初めての体験で混乱する意識の中でも彼は少年が自分を告発しようとしているのではないかと思って身を翻して早足で逃げ始めた。

「逃げなくてもいいじゃない。別に責めてるわけじゃないんだから」 

 少年はついてきていた。水島の心臓は高鳴った。誰も自分に関心など持たない都心の繁華街。握り締めた法律書にも冬だというのに汗が染み出てきた。

「いや、できれば就職先でも世話して・・・」 

「いい加減にしたまえ!」 

 しつこい少年の追跡についに水島は怒鳴りつけていた。少年は頭を掻きながら立ち止まり、そして大きく深呼吸をした。

「なるほど・・・ご自分の力をご存じないようですね」 

「力?なんだねそれは・・・」 

 水島の声は震えていた。ただタバコに火をつけた。しかも自分の能力を使ったわけではない。だと言うのになんで少年からつけられねばならなかったのか。

 それを思い出すと理不尽な合理化で会社を解雇になったこと。大学受験でミスした計算。高校時代の将棋部の選手決定戦の悪手。いろんな後悔と憎悪が自分の中を駆け巡るのが分かった。

 目の前で少年はそんな水島を見ながら考えているとでもいうように自分の手元を見つめていた。

「OK。それならちょっと僕の友達になってくれないかな・・・」 

 顔を上げた少年の言葉に水島は言葉を失った。どう見ても8歳くらいの少年。先ほどの感覚からして相当な法術適正の持ち主のようだがあくまで子供だった。

「友達?」 

「そうだよ。じゃあ端末を貸して」 

 手を伸ばしてくる少年にただ当然のように水島は自分の携帯端末を貸していた。

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