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低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 30
「平日だねえ」 

 要はそう言うと自転車をこぐ。隣を走るのはカウラと誠。二人とも毎日夕方の3キロマラソンのラストと言うことで疲れを見せながら冬の空の下で走り続けていた。

「いつまでも・・・正月・・・と言うわけじゃないだろ?」 

 カウラはそう言うと目の前に見え始めたゲート目指してスパートをかけた。誠にはそれについていく体力は無かった。そのまま消えていくカウラ。

「オメエも根性見せろよ。男だろ?」 

 自転車を悠々とこぐ要。彼女は脳の一部以外はすべて人工的に作られた素材を組み合わせたサイボーグである。そもそも体力強化のランニングに付き合う必要は無いのだが、最近は気分がいいようでこうしてその度に自転車をきしませながらついてくる。

「ベルガー大尉・・・みたいには・・・」 

「そうか?じゃあアタシは先に行くから」

 要はそれだけ言うと一気に力を込めてペダルをこぎ始めた。すぐにその姿はゲートへと消える。

「がんばれ!あとちょっと!」 

 ゲートの手前でコートを着た女性士官が叫んでいるのが見えた。警備部部長、マリア・シュバーキナ少佐。『保安隊四大姐御』の二位と呼ばれる存在の彼女の登場に誠は苦笑いを浮かべながら足を速めた。

 保安隊で単に『姐御』と言うと技術部部長で階級も部隊長の嵯峨と同じ大佐の許明華きょ めいか大佐のことを指すのは隊の常識だった。そして勇猛果敢な警備部の猛者達を仕切るマリアは第二位とされた。そして運用艦『高雄』の艦長鈴木リアナ。あの突拍子の無い副長アイシャを抑えている彼女は姐御と言うより『お姉さん』と呼ぶのが隊の常識だった。

「おーい。報告書終わってねーぞ!」

 ゲートを通り抜けた誠の目の前でシャムに駆り出されて大根を一輪車に載せて運んでいるクバルカ・ラン中佐は『小さい姐御』と呼ぶのが一般的だった。

「わかって・・・ますよ」 

「分かってるならシャワー浴びて来い!」 

 ふらふらの誠に向けてそう言うとランはそのまま一輪車を押してハンガーに向かう。誠も仕方なくそのまま正門へ向けて歩き始めた。

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