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低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 29
「法術適正はあるけど能力が無い・・・本当に?」 

 狭い不動産屋のカウンターで店主が老眼鏡を外しながら目の前の天然パーマの男の顔を覗き込んだ。男は何度と無く同じ質問を受けてきたのでさすがに口を開くのもばかばかしいと言うように頷いた。実際法術適正検査が任意で行なわれているということになっている東和だが、こうして部屋を借りようなどと言う時には適性検査で未反応だったと言う証拠が必要になると知ったのは最近だった。

 三件目の30くらいのきつい近眼の眼鏡をかけた女性の担当者などはかなりひどかった。法術適正はあるかと聞かれ、証明書を出すとそれを投げつけて貸す部屋などないと言い放つ姿には逆にすがすがしささえ感じてしまった。

「それにしても・・・学生って・・・おたくいくつ?」 

「三十二です」 

「で、大学生?」 

「法科大学院ですけど・・・」 

 灰色の背広の袖を気にしながら振り返り端末に条件を入力していく。

 天然パーマにめがね、黒い時代遅れの型のジャンバーを着こんでいるところは確かに不自然に見えるだろう。そう水島勉は思いながら店主の苦々しげな顔を覗き込んでいた。

「ああ、法科と言うと明法大?」 

「ええ、そうですけど」 

 これもまた何度も繰り返された話題だった。法学部で数多くの司法試験合格者を輩出している名門。この豊川市にキャンパスがある以上、それが自然な話と納得するのも当然のことと言えた。

「それにしても最近はこんな能力があるなんて・・・放火魔がパイロキネシス能力を持っていたりしたらどうなるんだろうねえ」 

 世間話のつもりで親父がつぶやくのを聞いて水島は正直うんざりしていた。

「でも存在が発表される前にも能力はあったんですよね」 

「それはそうだけどさあ・・・あ、これなんてどう?」 

 親父はそう言うと水島の前の画面に1Kの物件のデータを表示した。

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