低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 139
「じゃーん!来ましたよ」
小夏が突然のように現れて手にした料理を配っていく。春子はそれを見ながら誠達のテーブルの鉄板に火を入れた。
「やっぱり火がいいねえ。電気式のはどうも好きになれなくて」
「そう言えば要ちゃんは胡州よね。あそこは結構厳しいんでしょ?二酸化炭素を出すエネルギーがらみには」
アイシャはようやくランをその手から開放すると満面の笑みで誠の豚玉を勝手に混ぜ始めた要の正面の自分の席に腰掛けた。
「まあな。あそこはどうも息苦しいところだからな。特に東和に来たら帰りたくなくなるよ・・・小夏、もう良いのか?」
「まだ。そんなすぐにあったまるわけ無いじゃないの」
鉄板の上に手をかざして軽蔑の眼差しで要を見つめる小夏。頭に来た様に視線をボールに落とすと要は一生懸命豚玉をかき混ぜ始めた。
「そんなに混ぜたら駄目じゃないの」
「いいんだよ。納豆だって混ぜた方が美味いだろ?」
「私はそうは思わないが・・・」
「カウラ・・・ノリが悪いな」
たこ焼きを食べ始めたカウラにそう言うと要は豚玉を混ぜる手を止めてグラスのラム酒に手を伸ばした。
「どうしたの?要ちゃん」
アイシャの顔が真剣なものへと変わる。それは要の脳内の通信デバイスが何かをつかんでいることを悟っての態度だとわかって誠も要に視線を向けた。
「例の辻斬りだ。東寺町で近くのOLが背中からばっさりだそうだ」
その言葉に入り口近くのランの隣に座っていた茜が立ち上がる。
「おい、所轄の連中が捜査をはじめたばかりだぜ」
「そう言うわけには行きませんわ。一応わたくしが担当している事件ですから・・・クバルカ中佐、カルビナ。帰りはタクシーを拾ってもらえませんかしら」
「しゃーねーだろ。仕事優先だ」
ランの言葉に笑みを浮かべた茜は着物の襟元を調えるとそのまま店を出て行った。
「辻斬り・・・アイツも今回の星を追って出てきたか・・・」
ようやく温まった鉄板に誠の三倍豚玉を広げながら苦々しげに要はつぶやいた。
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