低殺傷火器(ローリーサルウェポン) 109
「安全を守るって・・・犯罪者・・・」
「馬鹿か?今回の違法法術行使はすべて同一犯の犯行と言うことはアストラルパターンデータで分かったことだろ?それとも何か?このデータ自体に問題が・・・!」
突然要の表情が変わった。彼女の言葉でカウラとアイシャの顔色も変わる。
「能力演操のデータは少ないですから。それが同じ人物によるものかはなんとも・・・」
ラーナの言葉に全員が言葉を呑んだ。これまで同一犯と思っていた事件が複数による犯行なら・・・そう考えるとすべての捜査が無駄になるように思えてきた。
『そりゃあねえな』
突然端末のスピーカーから聞こえてきたのは嵯峨の声だった。いつもの嵯峨の監視癖を思い出したが誠が周りを見渡せば要もアイシャもカウラも救われたような顔をしていた。
『吉田から聞いたよ。演操術系の法術のデータなら今そちらに送ったぞ。まあこちらも証拠としては使えない某国の秘密実験データのコピーだからな。つまり犯人を逮捕して自白させない限りこの事件は解決しないわけだ』
そして嵯峨の言葉が終わる。
誠にも意味は分かった。状況証拠が揃っても意味が無い。犯人を特定するだけでも無駄。すべては生きている犯人を逮捕して自白をさせ、それにあった承認や証拠を別にそろえなければ事件は解決しない。
「蜂の巣にはできないわけだな」
要は私服を着ても懐に下げている愛銃を叩いた。その滑稽な動きにカウラが微笑む。
「そう言う事です。多少の捜査の工夫が必要になると言うことで・・・ちょっとこのデータを嵯峨茜警視正に送りたいのですが・・・」
遠慮がちなラーナの言葉に要とカウラが大きく頷く。ラーナはそれを見ると再び端末にかじりついた。
「茜のお嬢さんのプロファイリングが終わるまでは・・・」
要が周りを見渡す。すでに彼女の言葉が分かっているカウラとアイシャが頷く。
「とりあえず15人の現在の住所を確認。見つからない程度にその現状を観察していつでもプロファイリングの結果に対応できるシミュレーションを行なう」
「カウラ。それだけわかってりゃ十分だ。飯にするぞ!」
要は満足げに握りこぶしを向けてきたカウラの右手に自分のこぶしをぶつけた後、すでに定時を過ぎて閑散としてきた食堂の厨房に向かって歩き出した。
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