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第一章 始まりの日
第五話 空狐の尻尾
 僕はベッドに座って、あれを出す。
「うわあ、前より大きくなったね」
 確かめるように舞さんが触ってくる。
「ふひ!」
 表面なぞられただけなのに形容しがたいむず痒さが……
「あれ? 前より敏感になった?」
「いや、普段はそうじゃないんだよ。強くつかまれないと……」
 て、あーー!! 僕のばかあ! 何自分で弱点ばらしてるんだよおおぉおっ!! 
「ふーん」
 舞さんが小悪魔っぽく笑う。
 あ、やば……
「えい♪」
 かわいい掛け声がかけられてぇえぇえええぇっ!
「や、やめやめぇえええっ!!」
 だ、だめだ。つ、強く握られたから、ち、力が入らな……
「えいえい」
 今度はごしごし擦ってきたあぁあぁああ!! 背筋に稲妻がああ!
「ひゃああ!!!」
 も、もうだめ。がっくっと、体から力が抜けていく。
「ふふ、相変わらず手触りいいね。空狐くんの尻尾」
 うう、し、尻尾も、もう……
「ふわふわもこもこで気持ちいいなあ」
「ひゃふううう!」
 舞さんが尻尾に抱きついたああぁあ!
「ああもう、こんな枕欲しいなあ」
 舞さんが先端から根元のほうに、毛に逆らうように尻尾を撫でて――
「ひゃっほう」
 背筋にむず痒さが稲妻のように駆け抜けた。ついでに腰も抜けた。ああ、もうだめだ。このままだと……
 僕の様子にさすがに舞さんも冷や汗をかいてぱっと手を離してくれる。はあ。
「つらそうだから休憩ね」
 やっと、人心地つける。うう……尻尾を労わるようになでてやる。
「にしても、すごい反応だったね」
「そりゃあ、そうですよ。尻尾は狐にとって一番敏感な部位ですから」
 息も絶え絶えに答える。
「ふーん。他の人もそうなの?」
「いえ、ここまで反応するのは僕ぐらいです」
 母さんもいってたが、僕の尻尾はちょっと敏感すぎるのだ。
 ちなみに、当たり前だけど尻尾を触らせていいのは家族か、心が許せる人にだけである。
「ふーん、でも、そろそろいいかな? では」
 舞さんがわきわきさせながら手を伸ばしてきた。くっ。
 ひょい。
 なんとか残った力を振り絞り、避ける。
「……」
 また、舞さんが手を伸ばす。僕は避ける。
 ひょいひょいひょいひょいと何度も舞さんの手が伸びるたびに逃げる。
 正直、今はやばい。いろんな意味で。
「まあ、いいや。空狐くん嫌がってるし」
 やっと諦めてくれた。
「また、触らせてね」
 できれば、御免被りたいな。
 
バランスが悪いという指摘を受けたので、第五話の内容を二つに分けました。
どうでしょうか?


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