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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ふっ」


 僕は風帝武装で戦場を駆ける。素早く切りつけて、いけそうなら押し切る。でもチラッと見える紙が、僕を強制的に吹き飛ばす。


「っつ、またか!」


 ダメージはない。それは確認してる。けどダメージがないからって良かった……なんて思えない。どうやらあの紙は全員が持ってて、しかも僕が来た時だけ使うようらしい。僕はあくまでスピードと手数で相手を削るタイプの戦闘スタイルだ。

 一撃の大きさでは男色艦隊のおっさんとかには及ばない。寧ろ攻撃自体は軽い方だろう。でもそこらのスピードタイプよりは速い自覚はある。だからこそ、通用するわけで……でも危なくなったら、奴らあの紙を使って僕を強制的に引き剥がす。風を操ってどうにかできないかな? とか思ってるが、その衝撃は一瞬だ。はっきり言って祝福で干渉する暇はない。

 なら紙を発動前に狙い撃つ……って事でもいいんだけど、別に僕が狙ってる奴が使う訳でもないんだよね。切ったと思ったら、別の奴が発動した奴が結局僕を引き剥がして、引き剥がされたらさっきまで僕が削ってた奴は回復をしてる。今までわかったのはテア・レス・テレスはどいつもこいつもしぶとく生き残れるアイテムや装備、そして魔法を習得してるみたいだって事だ。

 そこに会長の指示と会長の祝福が刻まれた紙をいくつも持ってる。紙を発動されるだけで回復魔法が発動する所もみた。前にシルクちゃんがやってたみたいなストック魔法を会長は開発したみたいだ。でもそれでも余裕がある筈がない。なにせこっちの方が数が多く、絶えず攻撃をしてる。幾ら上手く回してたとしても、疲労はきっと蓄積してる。どこかでミスは出るだろう。でもそれは期待できないんだよね。


(いや、ミスは出てる)


 テア・レス・テレスは全員が完璧な動きをしてるかと言えばそうじゃない。こっちは獅子奮迅の気迫で迫ってるんだ。それをプレッシャーに感じる奴だっていて萎縮してる奴だっているくらい。判断とかをミスらない筈がなく、実際ミスはしてる。でも……それでも崩せないのが問題だ。

 

「す、すいませーーーん!」

「任せろ!」

「よっしゃ、なら使うぜ!!」


 そんな感じで数が少ないくせに上手くフォローしてる。数が少なくてフォローに回るって事はどこかに負担が向かってそこが危なくなるはずなんだけど、そこは流石会長なのか、上手く紙を使って勢いを止めるんだよね。


「大丈夫、皆良くやってくれてるよ。焦らないでね。大丈夫大丈夫」


 そう言って会長は皆に笑顔を向けてる。そして皆、雰囲気が良い。テア・レス・テレスはまさに楽しく……この状況を楽しんでる。それは会長が作り上げた空気だろう。それに対して僕たちはというとどうだろうか? 皆の表情を見ると、余裕もなく厳しい顔が目立つ。皆難しい顔をしてる。イライラしてる。それが蔓延してる。「大丈夫」なんて誰も言わないし、誰かがやられると「ちっ」と舌打ちさえ聞こえる始末。


 テア・レス・テレスは大きな気持ちが一枚になってると感じる。でもこっちは勝利という目的は同じなのに、その気持ちはまとまってはないみたいな……気持ちを重ね合わせて強さ百倍とかいうつもりはない。そんなのは漫画の中の世界だけだ。

 けど、このままじゃよくないとはわかる。でもだからってこっちには会長みたいに出来る奴はいない。やっぱりこの状況を好転させないと雰囲気を良くしようなんてない。


(誘われてる気はするんだけど……)


 このままどうしようもない所まで追い込まれては遅い。なら動くべきだろう。僕は失敗するかもしれない。でも何かきっかけは出来るかも。それに賭けるしかない。

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