表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1278/2706

1278

 誰もがジリジリと追いつめられると感じてる。それをどうにかしたいと思いつつ、インテリ眼鏡のスーツの渋面……いやもう社長と呼ぶか。名前知らないし。僕たちは社長を頼りにしてる。あの人がどう思ってるかわからないが……今はきっと良い気分ではないだろうとは思う。

 それでも僕たちは一応頼りにしてる。なにせ大手チームのリーダーだし、その信頼感も大きい。僕的には信頼感はないんだけど、周囲は評価も信頼感も大きい。それに何か明らかに失敗なんかしない。会長とのバトルでも、社長は上手く自分たちを使ってると思う。

 だからあからさまに何か批判する様な事なんて一つもない。一つも無いけど……それでもこっちは追いつめられてる。既に同じ条件……いや、数ではまだこちらが有利なのに、純粋にこちらだけが数を減らしていってる。こっちは質がテア・レス・テレスよりは上の筈だ。

 なにせ一つのチームであるテア・レス・テレスとは違って、こっちはそれぞれのチームの猛者、そしてさまざまなチームの猛者を集めてる筈だからだ。確かにテア・レス・テレスはめっちゃ人が多い。


 人数的な厚さでは頂点だけあって他の追随を許してないだろう。でもテア・レス・テレスにだけ、強い奴が集まってる訳じゃない。今回の最終のエリアバトルでの上限二百人。それを一つのチームから捻出しようとしたら、どうなるか……そのチームがおっさんの男色艦隊みたいな戦闘チームならまだしも、テア・レス・テレスはそうじゃない。

 テア・レス・テレスは来る者拒まず、去る者追わずだ。戦闘系でも育ってない人達がきっと大半だろう。それこそテア・レス・テレスという組織に頼って来てる人達だって多い筈だ。だから一つのチームから使える二百人を捻出するってなると相当大変だ。その日の事情だってどうあったってあるだろうね。


 それに対して、こっちは複数のチームから選別してる訳で、戦闘特化にしてる筈だ。流石にテア・レス・テレスも後二十人くらいだから、残った奴らは戦闘に特化しててもおかしくないんだけど……見る感じ、そうでもなさそうな人もいる。でもそういう人達は会長の紙を上手く使ってる。それにさっきから見たこともないスキルが多い。

 いやLROにはそれこそ膨大な数のスキルがあるし、それこそまだ見つかってない物だって一杯あるだろうから知らないスキルがあるのはわかる。それは可笑しくないことだ。


 でも、確実に聞いた事あるような詠唱、スキルの技名でも発動する技や効果が強くなってるのは単純に厄介と言わざるえない。ファイヤーボール一つとっても、それだけじゃ、ここまで残ったプレイヤー達にとっては脅威になんてなり得ない攻撃だ。

 けど、それが普通に通る。ファイヤーボールが二段階は上の技になってて、そういうのが沢山ある。既にそういう物だと考えて行動してるけど、厄介なのは普通のスキルも混ぜてくる所だ。普通のスキルというか、普通に発動するスキルもあるって事だ。身構えてたのにそうじゃなかったらラッキーと思うかもしれない。確かに目の前の奴に相対してるプレイヤーはそれでいいだろう。

 でもそうするのには必ず理由がある。なにせこっちも、そして向こうも戦場を支配しようとしてる奴がいるんだ。そこに無為を挟む事なんかない。何かしらの理由は必ずある。


 そしてその理由の精度が会長の方がいいんだろう。社長も沢山考えてるんだろうけど、単純にこっちの動かすべきコマが多いのも問題なのかも? でもだからって同じ人数まで減ったらそれはそれでこちらが追いつめられたのが明確になる。


 人数では余裕があるのに、戦略には余裕がない。そして僕たちは足並みを揃えようとしたからこそ、ヘタに社長の命令無視はできない。てか二の足を踏んでる。確実にこれをやれば事態が好転するだろうって事がみえれば、きっとリーダー達は動ける。


 それこそ、社長の命令を無視したって動く人達はいるはずだ。でも、今は明確な対応策が見えないわけで、それに正面からぶつかり合ってるのはその通りなんだよな。僕たちは双方の頭脳が緻密に計算してる盤上の駒だ。押されてはいるが、崩れてないからこそ、そのきっかけを作るかもしれない動きがやりづらい。それに皆、自分の役割をちゃんとやってるのも大きい。


 一人一人の感覚では押されてる……なんか無いかも知れない。僕だって遊撃手として戦場を俯瞰したり駆け回るからわかる訳で、自分たち一人一人は上手くやってると思える。いや、思わされてる? 


(どうする?)


 そう考えてるのは僕一人じゃないだろう。そういう視線を社長に送ってる奴はいる。でも社長は随時する指揮でこっちに応えることはない。けど一応視線は帰って来る。それを読み取る事は出来ないが、その目から諦めてない事は読み取れる。

 願わくば……は社長頼み過ぎるよね。僕たちも諦めずにテア・レス・テレスを崩す術をみつけよう。それこそ正攻法で、切り崩せる何かを。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ