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「あった」
僕は遂に目当てのコードを見つけた。僕の攻撃を受けた時と、腕の攻撃を受けた時でテア・レス・テレスの奴のコードの反応が違う。そしてそれを成してる物も僕には見えてる。僕の攻撃はあの招喚された腕の攻撃の違いは何なのかまだはわからない。
けど、そこはそこまで重要じゃない。プレイヤーかそうじゃないかくらいの判断かもしれないしね。問題はダメージを還す仕組みを知ることだった。完璧じゃないが、きっかけは見つけた。僕はフラングランにコードを仕込む。まあコードというか、コードをなす文字だ。あの部分だけ機能しなくすれば良いのなら、強制的にあの文字列に一語だけでも加えればそれでいい。
まあ本音を言うと、あの部分だけを破壊したい。それが確実だし、安全だ。こっちとしても。僕はそこまで出来ないが、会長なら防壁くらい造ってるかもしれない。ウイルス対策みたいな物だ。侵入者や、変な介入をしてくる奴に反応してあらかじめ用意されてる反撃のような物。
大元のシステム側にも当然それはある。でも祝福はそこら辺無視されるみたいなんだよね。悪意ある奴らが祝福を取ったら不味い気がする。まあもちろん、マザーは監視ししてるだろうし、あまりにもアレな行為は流石にさせないだろうけど……
祝福では改変が出来るんだから、会長が同じ祝福を使える僕に対して対策してないとは考えづらい。でもオリジンなら、それらは関係ない。強制的にコードを破壊できる。でもだからこそ、プレイヤーに使うのは危険なんだよね。なら、やっぱり祝福でやるしかない。
僕も何も対策をしてなかった訳じゃないさ。自分を守るコードは造ってる。ローレに言われたから造ったんだけどね。でも、僕と会長ではコードの扱いの差がありすぎる。理解度が違うし。僕の造る物と会長が造る物……どっちが優れてるかと言うと、それはやっぱり後者だろう。
でも今の状態じゃ思い切った攻撃は出来ない。ダメージが還るというのが懸念して二の足を踏むし、単純にこっちのダメージがそのまま通って無いわけだからね。今の状態が続くのはあまりにも不利だ。
僕は腕の攻撃を受けてるテア・レス・テレスの一人に一太刀を浴びせる。
「あっ! がっ……」
そいつの体と一緒に僕はコードを切って仕込んだ。これでダメージが還る事はない。ダメージもそのまま通った様にみえた。けどやっぱり何かを仕込んでたみたいではある。コードに介入した瞬間に、こっちに別のコードが流れてきた。別段、何かが変わった気はしない。
でもコードはシステムの内側で作用する。外見とかに出るわけじゃない。コードを切られたなんて気付かないのと同じだ。それでもやらない訳にはいかない。僕は風で加速してここに居る五人のテア・レス・テレスのコードを切る。
その度に何かのコードが入ってきたが、動きに支障はない。
「よしあったこれだ! これで好き勝手にさせねえ!!」
そう言ってそいつはとりだした紙を振られてる槍につける。すると腕の動きが止まった。どうやらあの腕を制御できる紙みたいだ。
「反転しろ」
その言葉で腕はこちら側を向く。
「はははは! 残念だったな。俺達をこいつで倒そうとしたんだろうが、誰一人として欠けちゃいねえ……づ!!」
腕の制御を取り戻してもう一度こっちに襲いかかろうと思ったんだろうけど、遅いよ。こっちがこの間に何もしてなかったとでも?
「オリジン」
僕はその力で素早く腕を消滅させる。
「やれ! もうダメージはそのまま通る! 誰にも還る事は無い!!」
「きっさまああああコードをおおおおおおおおおおおお!!」
僕の言葉で用意してた合唱魔法がテア・レス・テレスへと襲いかかる。そしてそれに併せて前衛達の渾身のスキルも発動した。壁になれた腕は既にオリジンで消え去る途中。そして頼りのコードはもうない。この攻撃で生き残れるなんて思わない事だ。
「「「うあああああああああああああああああああああああああああああああ」」」
重なるそんな声と共に、こちらの攻撃が着弾した。