表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1267/2711

1267

 自分は何者にもなれないとわかってる。そう、だって自分は普通だからだ。何をやっても平均値……半分を切ることも上回る事もない人生だった。そんな平均値な自分はこのLROという世界に一抹の希望を持って飛び込んだんだ。


 まあ別に大成したいとか、大きなチームを作ってバリバリやってやる! とかがあったわけではない。ただ何得無く、話題になってたし、知り合いに流通が復活したリーフィアを譲ってもらえた事が大きい。初めて降り立つLROの世界は衝撃以外になかった。


 感じる風、暖かな日差し、手に汗握る感覚。そのどれもが本当にリアルそのもので、自分はもう一人の自分をここで手に入れた気がした。気の合う仲間達とも出会って、チームを作ってエリアバトルにも参戦した。勿論最初は上手くいかない事だらけだ。


 でもそれすらも楽しい……毎日が刺激が出来た事で、リアルとゲームの比重が逆転して色々と問題が起きる……かもとか思ったが、そこらへん自分は自分で思ってたよりもしっかりした人間だったらしい。寧ろ、目一杯別の所で楽しんでるからこそ、メリハリが出来るというか? 


 リアルにも実が入る様になったとも思う。そしてリアルでは決して出来ない経験を積ませてくれるLROは平均値の殻に包まれていた自分を打ち砕いてくれた。今や自分たちのチームは中堅所の上位にはいる。上位チームとなると層が厚すぎて超えられる気がしないが……それでも狙いには行ってる。だからこそこの最上のエリアバトルにも参加してるんだ。


 まあだけど……やっぱり本当に凄い奴らってのがここに来てて、やっぱり自分って平均値なんだなって思ってる次第だ。なんとかここまで生き残る事が出来たが、完全にそれは運だ。運が良かったに他ならない。実力でちゃんと残ってる人たちはそれこそ数える位だろうが、それでもあのいくつもの戦いや罠をかいくぐってここまで来た実力者達は居るわけで……そういう人たちと自分の差が如実に見える。


 たとえば皆をサポートしてくれてるギョクリさん。緑色の肌にカエルの様な顔。そんな種族選べなかったはずなんだけど……なんかとても特徴的な見た目の人だ。けど、ギョクリさんはなんでも出してくれる。大手の商業ギルドのリーダーである彼は手に入れられないものはない……とまで言わしめる様な人だけど、どうやら自分たちとは違う入れ物を彼は持ってるらしい。


 そしてもう一人はいわずもがな……スオウと呼ばれる彼だ。実際彼は有名だ。色々とLROは事件を起こしてるからね。ちょっとネットをあされば彼は出てくる。そんな状態でもまだやってるとは……しかもその写真の顔のままで。一説にはキャラメイクが出来ないんじゃないかって言われてるが……どうなんだろうか?


 彼は風の鎧を纏い、目にもとまらぬ早さで戦場を駆け抜ける。気付いた時には切り刻まれてやられてる……そうなること請け合いなスピードだ。しかもそれだけじゃなく、自分たちを今追いつめてる空中に突如として現れた腕さえもどうにか出来るみたいな?


 あれにはこっちの攻撃が通る感じがない。まるでステージのギミックの様な存在。やっぱり特別な人には特別な力ってものがあるらしい。まあけど、彼は直ぐにあれを壊す気は無いらしいが……どういうことかははっきり言うとわからない。


 でも、自分はそれを受け入れた。自分には戦場全体の把握なんてできない。目の前の事で一杯だ。本当を言うなら、直ぐにでもアレは壊して頂きたい。でも、自分は見たいんだ。もっと上の光景ってやつを。なにかやってくれるのなら、それを体感したい。

 そんな気持ちにウズウズする。それがたまらなく楽しいって自分は思ってるから。


「ギリギリまて腕とテア・レス・テレスを引き付けます。タイミングが来たら、風で吹くんで抵抗はしないでください」


 スオウ君はそう言ってテア・レス・テレスの方へと仕掛けてる。後ろの腕は一定速度で武器を振って向かってくるだけだから、その時までは気にしないでいいって事だろう。まあその時は近いが……自分たちとテア・レス・テレス、そして腕の距離は縮まってる。完全に挟み撃ちされてる。ここからどうやって逆転の一手を繰り出すのか……不安にさいなまれてる味方達と違って自分は楽しみだった。

 LROはゲームなんだからね。どんな時も楽しまないと損だ!


 それに実際、これは自分たちのエリアバトルでもないからね。気楽なもんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ