第四十三話
第四十三話 悪夢のはじまり
「さて、と」
博士は早速よからぬことをはじめた。
「まずは、じゃ」
いきなり宇宙服を取り出すと着込む。そうして外に出る。
そこから作業に入る。すぐに人工衛星は宇宙船となった。
それを見届けると電話した。相手は勿論小田切君である。
「わしじゃが」
「博士ですか」
返ってきた声は不機嫌そのものであった。
「一体何の用ですか?」
「何じゃ、不機嫌そうじゃな」
「当たり前です」
電話の向こうの小田切君は憮然として答える。
「今から重要参考人で警察ですから」
「むっ、今からか」
「そうですよ」
やはり憮然として答える。
「博士が電話してくれたおかげで」
「些細なことではないか」
「電話した人が博士なんで」
結局はこういうことであった。
「それで今からですか」
「うむ、帰るぞ」
周りの警官達がそれを聞いて騒然となった。すぐにあちこちに電話をかける。
「今からな。待っておれ」
「そうですか。あの」
「うむ。今度は何じゃ?」
「今からそっちにですね」
小田切君は言う。
「ミサイル向かいますから」
「ミサイルだと?」
「はい。ですから御気をつけて」
「ああ、小田切君」
博士はミサイルと聞いても驚かずまだ小田切君に声をかける。
「何ですか?これからパトカーに乗るのに」
「夕食はハヤシライスを頼むぞ」
「勝手に作っておいて下さい」
小田切君の返事は素っ気無い。博士はそれにクレームをつける。
「ちと冷たいのではないのか?」
「だから今晩は僕留置所なんですよっ」
声が激昂した。
「だから駄目なんですよ」
「何だ、それでは」
博士はそれを聞いて言う。
「自分で何か作るとするか」
「それが嫌なら食べて来て下さい」
「うむ、わかった」
「それじゃあ」
電話が切られる。こうしていよいよ博士の地球への帰還がはじまったのであった。恐るべき悪夢がいよいよ戻ろうとしていたのである。
第四十三話 完
2007・9・13
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