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第三百八十九話
             第三百八十九話  酒を飲みながら
 博士は赤ワインを楽しみながらだった。何でもない顔でだ。
 捕まえた暴走族の一人をだ。実験用のベッドに括りつけていた。
 そしてそのうえでだ。横にいる小田切君にこう話すのだった。
「さて、この愚か者をじゃ」
「どうするんですか?」
「改造人間にしようかと思う」
 何とでもないような顔での言葉だった。
「まずは首を回転鋸で切り落としてじゃ」
「ってそれ死にますよ」
「うむ、死ぬのう」
 人が死ぬことなぞだ。博士にはどうでもいいことだ。
 そのどうでもいいという感覚でだ。博士はさらに話す。
「人は首を切り落とされれば死ぬ」
「しかも一気にしないんですか」
「一気にしては面白くないからのう」
 人権意識は皆無だ。
「ではじゃ」
「今からはじめるんですか」
「首を切ってそれからじゃ」
 首を切って終わりではないのだった。
「そこから。そうじゃな」
「改造人間にするんですよね」
「蠍と蚤と一緒にしてみるか」
 そうしたものとだ。かけ合わせるというのだ。
「どうじゃ。面白いじゃろ」
「面白いっていうか」
「違うか」
「はい、この暴走族の兄ちゃんがどうなろうと知ったことではないんですね」
「社会の屑が一匹わしの偉大な研究の礎となるのじゃぞ」
 博士の感覚ではそうなるのだった。
「素晴しいことではないか」
「そう考えておられるんですね」
「うむ。では早速じゃ」
 その捕まえている者をだ。どうするかというのであった。
「改造手術の開始じゃ」
「それでまずはですね」
「首をゆっくりと切り落とす」
 そのことを実に楽しそうに話す。
「ではそうしようぞ」
「人を殺すことについては本当に何でもないんですね」
「そんなことを気にしていて偉大な研究はできんわ」
 博士の言葉は変わらない。こうしてだった。
 回転鋸のスイッチを押した。すると。
 鋸が動きだ。それでだった。
 暴走族の若い男がだ。断末魔と共に首を切り落とされてだ。殺された。
 そしてそれからだった。改造手術をはじめるのであった。その改造手術をする博士に対してだ。小田切君はふと尋ねたのであった。
「ところで首を切り落とす必要性は」
「苦しみ抜いて死ぬところを見る為じゃ」
 それでそうしているというのだ。何処までも非道な博士である。


第三百八十九話   完


             2011・5・25
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