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第三十六話
                 第三十六話  引率者
「困った時は魔法でね」
 華奈子はまた美奈子に対して言う。
「やっつけちゃおうよ」
「いざって時はね。けれど」
 美奈子は真面目な顔で華奈子に念を押してきた。
「いざっていう時だけよ、いいわね」
「わかってるって」
 何ともわかっていない返事が返ってきた。
「だからお気楽に行きましょう」
「そうです。遊園地ですから」
 ここで誰かの声がした。
「誰!?」
「皆さん」
 出て来たのは今田先生であった。ふわふわせ清楚な白のワンピースを着ている。如何にも良家のお嬢様といった感じである。右手のバスケットボックスが完璧であった。
「私もご一緒に」
「先生もですか」
「はい」
 にこりと笑って六人に述べる。
「引率者ということで。駄目ですか?」
「いえ、全然」
「まさか先生までなんて」
 皆先生のことが大好きだ。断る筈もない。しかし謎があった。どうして先生がここにいるのかという問題である。それが謎だったのだ。
「どうしてここに」
 華奈子が皆を代表して尋ねた。
「あたし達が遊園地に行くってわかったんですか?」
「御聞きしていました」
 それに対する先生の答えは実にシンプルなものであった。
「聞いていたって」
「それじゃあ」
「はい、塾で」
 何と塾での打ち合わせを聞いていたのであった。そうとわかれば実に簡単な種明かしである。何事もえてしてそうしたものであるが。
「申し訳ありませんが小耳に挟みました」
「そうだったんですか」
「それで」
 これで納得した。そうとわかれば何ということはないことであった。
「それでですね」
 先生はまた六人に尋ねてきた。
「先生も一緒に。いいでしょうか」
「勿論ですよ」
 返事は変わらなかった。
「じゃあ先生も一緒に」
「七人で」
「はい」
 先生もにこりと笑って答えてきた。
「じゃあ皆さん、今日は特別課外授業です。いいですね」
「わかりました!」
 先生と一緒になった六人はそのまま笑顔で電車に乗り込む。こうして遊園地での話がはじまったのであった。


第三十六話   完


                   2007・5・16
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