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第百三十九話
                第百三十九話  先生達は
 六人はそれぞれかなり成長を見せていた。そしてその六人を教える今田先生はというと。
「最近ね」
「ええ」
 にこにことしながら小百合先生と茶道を嗜みつつ話をしている。今田先生は青、小百合先生は緑の着物をそれぞれ着て静かな茶室で向かい合ったうえで話をしているのだ。
「またお茶が美味しくなったわ」
「それはいいことね」
 小百合先生はにこやかに今田先生の言葉に応える。
「香ちゃんらしいわ」
「そうかしら」
「そうよ。このお茶は」
 話は今飲んでいるそのお茶についてであった。
「柔らかくて。優しくて」
「お茶は性格が出るのよね」
「ええ。だからね」
「小百合ちゃんもそうなのかしら」
「そうよ」
 今田先生と同じくにこやかな笑みになっている小百合先生であった。
「多分ね。だって私達って」
「そうね。従姉妹同士だからね」
「覚えてるかしら。あの時のこと」
 茶室でのにこやかな話が続く。
「子供の時の」
「幼稚園低学年の時かしら」
「そうよ」
 笑顔で今田先生に返す、それと共にまたお茶を飲む。
「あの時。二人でトマトのシチュー作ったわね」
「ああ、トマトのシチューね」
 言われて思い出したようである。やはり今田先生は何処か天然だ。本人は自覚しているかというとそうではないのがまた先生らしいのだ。
「あの時にはじめて魔法を使ったのよね」
「二人共ね」
「楽しかったわ」
 今田先生もまたお茶を飲む。抹茶の味を心から楽しんでいる。
「包丁が宙に浮かんでそれでトマトにお肉を切ってね」
「そうだったわね。スプーンも飛んで」
「ガスコンロじゃなく火の魔法を使って」
「お水も入れてね」
 つまり全ては魔法で作ったというのだ。まだ五歳でだ。
「本当に楽しかったわよね」
「そういえば私達って」
 小百合先生はまた言う。42
「魔法勉強していなかったわね」
「そうね」
 何と今になって気付くのであった。
「そういえば」
「何時習ったかしら」
「確か。幼稚園高学年だったかしら」
「あら、思ったより早いわね」
「そうね」
 実に呑気な会話であった。しかしそれがまた実にこの二人の先生らしかった。


第百三十九話   完


                 2008・10・14
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