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第十三話
                第十三話  狂気のマシン
「魔女なぞな」
 博士は研究室で何かを開発しながら小田切君に語る。
「どうということはないのじゃ」
「いつもと同じですか」
「そうじゃ、どうということはないわい」
 平気な顔をしたままであった。
「どれだけおってもな、わしの偉大な発明の前にじゃ」
「今度は何を開発するつもりですか?」
「車椅子を改良しておる」
 そう小田切君に述べる。
「ほんのちょっとな」
「ちょっとですか」
「どうということはない」
 本当に相変わらずの態度だった。全く変わらない。
「魔女でも魔法使いでもな。わしの偉大な発明に勝てるものか」
「あの、博士」
 小田切君は無意味に上機嫌な博士に対して述べる。
「何じゃ?」
「多分そう思っているのは博士だけですよ」
「天才の発明は何時でも理解されぬもの」
 またしても勝手なことを言う。
「それだけじゃ。わかったらのう」
「何ですか?」
「夕食を頼む」
 そう言ってきた。
「今日は肉じゃががいいな」
「肉じゃがですか」
「そうじゃ。あれはいい」
 博士は楽しそうに笑って述べる。その間も手は動いている。何か色々と機械を動かしている。
「健康にもいいし味にもいい」
 彼はそう語る。
「わかったらほれ」
 いきなり横を指し示してきた。
「出すのじゃ」
「出すのじゃって」
 いきなり訳のわからないことを言われて顔を白黒させる。
「何処からですか」
「ここからじゃ」
 いきなり博士の右手に土鍋が姿を現わしてきた。
「ほれ」
「ほれってきなりまた何処から」
「物質転送機じゃ」
 見事なまでに何の脈絡もない発言を続ける。
「昨日発明した」
「昨日ですか」
「これをな。車椅子に搭載させてな」
「車椅子に」
 またしても碌でもないことをしようとしていた。どうなるのか見当もつかずふう、と溜息を吐き出すだけであった。
「その魔女達を倒してやるわい」
「やれやれ」
 けたたましい狂気の高笑いが部屋に響き渡る。戦いが目前にまで迫っていた。


第十三話   完


                  2007・3・1
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