第十一話
第十一話 密約成立
「僕達としてはあの博士に関しては全然心配していないんだ」
「その通り」
タロ弟もライゾウ兄も実に冷たい。
「何があっても死なないから」
「安心してくれていいぜ」
「そうなのかよ」
ライゾウはそれを聞いてかなり驚いていた。てっきり何かあったら容赦はしないと言われると思っていたからだ。思いも寄らぬことではあった。
「そうさ。こっちも兄さんとはやりたくないよ」
「おいらもだ」
タロ弟とライゾウ兄はまた述べる。
「どうせあの博士が暴れるだけだから僕達殆ど関係ないし」
「むしろドカンとでかい薬やってくれよ」
「でかい、ねえ」
タロはそこまで言われるとかえって困った。彼等は結局は使い魔だからだ。使い魔でやることもできることも限られているものなのだ。
「そういうことさ。まあ御前とは何もなしでな」
「有り難いぜ、兄貴」
「またこうしてお話しようよ、兄さん」
「ああ」
四匹はにこやかになった。そのうえで言葉を交えさせる。
「少なくともおいら達は不戦だ」
「密約だね」
ライゾウ兄とタロ弟はそう述べてきた。
「それでいいよね」
「ああ、勿論な」
「こっちもそれでいいよ」
二匹はまた言葉を返す。
「それじゃあそういうことで」
「僕達だけは仲良く」
ライゾウもタロも笑っていた。話が終わったところでおばちゃんが部屋にやって来た。
「終わったか?」
「あっ、おばちゃん」
「ええ、今」
ライゾウとタロがおばちゃんに応える。
「終わったぜ、今」
「ほな羊羹でも食べるか?華奈ちゃんから貰ってきたやつや」
「御主人様から」
タロはそれを聞いて目を少ししばたかせる。
「美奈ちゃんの御饅頭もあるで」
「じゃあ皆で食べようぜ」
ライゾウはそう言ってきた。
「それでいいよな、皆」
「ああ」
「それじゃあ」
「たんと食べや」
今度はぽぽちゃんがやって来て言う。
「一杯あるからな」
「よし」
話が終わって四匹は仲良くお菓子を食べだした。少なくとも彼等の間では何もないことになったのであった。だからといってそれを気にする博士ではないが。
第十一話 完
2007・2・22
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