3:キラによる殺人は止められます
梨依は、
「私の推測では、もう“キラがFBIに接触することは確か”です」
とLに言い、Lはバナナの皮を剥きながら、梨依の言葉に耳を傾け続け、その意味を考えていた。
梨依の推測が立つとすれば、それはもう確定的だろう…だが重要なのは、Lの名をどう使うか…梨依のことだ、まさか動揺を誘うだけではないだろう…
梨依は続ける。
「ですから、私の言う何かが、FBIのどなたかに起こった場合、その人と私が入れ替わり、そして名前を見せるであろうFBIの方達には、偽名手帳を“誰か”に見せた時点で全員通常業務に、国に帰って頂きます。これで必ず死人は出ませんし、日本の捜査本部にも私を知っている者は誰もいないのですから、自由に警察関係者とその家族を調べることが出来ます」
「確かに…」
梨依…本当にすごい。時間がかかるであろうと思っていたキラ事件を、最短で解決出来るかもしれない…しかしもし、梨依と言う存在が、今事件にいなかったら…悔しいが、私はキラに負けていたかもしれない…。
「私はその後、キラに“L”と名乗り、さらに、草樹 祀と名乗ります」
キラとおぼしき人物にLと名乗る…これは手がなくなった時に、私が最大のプッレシャーをキラに与え、さらにキラからある程度自由を奪うために使おうとしていたものだが、この場合の“キラとおぼしき人物”は、FBIの名を知ろうとするであろうことから、可能性としては50%以上の確立でキラだ…。それに草樹 祀と言えば、今一番売れっこのアイドル…。
もしキラが梨依を殺そうとしても、そのアイドルが死に、“キラとおぼしき人物”は“キラ”となる…。
「ふふ。どうですか?お兄様」
「私の名で勝手なことは…と言いたいところですが、Lはもう世間では、もう“L”として存在しているわけですし、とても良い案だと思いますので、いいでしょう。やって下さい」
「ええ、頑張りますわ」
「あ、でもこれだけは守ってください」
Lはおもむろに、のそのそと、机の上にあるショートケーキの乗っている皿を取り、上に乗っているいちごを梨依に差出して、
「勝手とは思うんですが、死なないで下さい。はい、約束」
いちごを自由落下させた。それを梨依があわてて空中で拾う。
「わ、分かってますわ。お兄様を残していなくなるわけないでしょう」
「お願いします」
そう言うとLは、またPCの前に座り、情報を確認し始めた。
その後、キラこと夜神 月は、梨依の推測通りに動いた。
犯罪者を使ってバスジャックを行わせ、その騒ぎの間にFBIの偽証明手帳を自然に自分に見せるよう仕組んだのだ。
そしてさらに梨依の推測は的中していた。
そのバスジャックを起こした犯罪者が、その場で死んだのだ。
「ここまで推測通りに行くとは…」
Lいつもの部屋で、パンダの行進と言うお菓子を両手に持ち、カリッとかじった。
梨依も驚いた様子で、“FBIの偽証明手帳”を“キラとおぼしき人物”に見せた例のFBIの話を聞いていた。
「推測通り?Lは初めから、ここまで予想していたと言うんですか?」
パソコンから再び、“FBI”のレイ・ペンバーの驚嘆の声が聞こえてきた。
「はい」
Lはかじったお菓子を、全てかじり終え、もぐもぐと噛みながら、さらに甘いコーヒーを飲んだ。
「では、ご苦労様でした。アメリカに戻って頂いて結構です。皆さんには、後ほど私が説明し、あなた同様アメリカに帰ってもらいますので」
「分かりました、それでは失礼します」
レイとの通信はそこで遮断される。
「ここまでは完璧に梨依の言う通りですね。驚きました」
「私も怖いくらいですわよ」
「怖がらずに喜びましょう」
Lはシュガークッキーを目上まで持ち上げ、それを見つめる。
「これで、キラは誰かと言うことが分かりましたわね」
「はい。キラは夜神局長の息子、夜神 月ですね」
Lはパクリとクッキーを頬張った。
「この後のキラの動きは、大体推測出来ますが…一つだけ残念なことがありますわね…」
私には落ち度は見えないが…FBIを帰らせたことと何か関係があるとしたら…。
「FBIの偽名を、悟られることですか」
「その通りですわ。
…キラの殺人には顔と、名前が必要…恐らくキラは、レイ・ペンバーを利用し、その他捜査していたFBIを同時に葬る気でしょう。そうしなければ、自分で自分の首を絞めることになり兼ねませんからね。しかしそれはもう出来ない。
なぜならレイ・ペンバーと言う名は、彼に名乗らせていませんでしたし、また偽証明手帳も持たせていましたから。
けれどそうなると、敏いキラのこと、すぐに“偽名”だと気付くでしょう。
そして私が危惧しているのは、その偽名をFBIに使わせ、バレた時のリスク。イコール、“キラがより慎重になってしまう”と言うことですわ…」
「今までのような大胆な行動を控え、キラはさらにボロを出しにくくなってしまう、と言うことですね」
Lが言ったことに頷くと、梨依はいつもの考える格好をとった。
「私の今の考えでは、殺人を止めることは出来ても、証拠をおさえることは出来ませんわ…」
「いえ、夜神 月に梨依が近づいたことで殺人が止まるのなら、夜神 月で決まりです。後は持ち物検査なり家宅捜索なりすれば、済みます」
「…そう簡単に行くとは思えませんわ…。
とりあえず私は、Lとして夜神 月に近づき、外での行動を24時間監視します。お兄様は、ワタリがつける監視カメラ、盗聴器から情報を得てしっかりと確認して下さい。この二つで、確実にキラの殺人は止まりますわ」 |