表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鬼は外?

作者: 秋澤 えで

今日は二月三日、世間一般でいう節分だ。子供のころは豆やお菓子とかをまいていたものだが、こうして一人暮らしを始めてからは一度もしていない。


夕方俺がスーパーでます入りの豆を買ったのもほんの気まぐれだ。


今更鬼がどうだとか福がどうだとか信じているわけではないのだが、ここんとこ悪いことしか続いていないのだ。


友達とは疎遠になるし、職には就けないし、彼女に振られるし、今日の朝たんすに足の小指ぶつけたし…。


まぁ豆まきでどうにかなるとは思っていないのだが、この際全部鬼の所為にしておこう。俺が悪いんじゃない、鬼が悪いんだ。



しかしいざ豆をまくとなるとあの掛け声を言うのがどうにも恥ずかしい。台所から酒瓶を引っ張ってきて瓶ごとそれを煽り、理性を飛ばした。


千鳥足で玄関へ向かう。酒に弱い奴が無理するもんじゃないなと思いつつ、ますを片手に玄関を開け放つ。


「鬼はー外!福はー内!」


いっそストレス発散のつもりで恥も外聞もかき捨て大声で豆をまいた。


俺の中の悪い鬼いなくなれー、と適当に思いながらまいていた。



すると突然俺の頬を酷く冷たい冷気が舐めた。


「え…?」


玄関をあけていても暖房は入れていたからこんなに寒い訳がない。


気づくと俺は玄関の外に座り込んでいた。


「あれ…?」


はっと我に返り玄関のドアを見る。


安っぽい蛍光灯の光が目を刺す。


そこには白い光を背に負い『俺』が立っていた。


ますを片手に立つ『俺』と目が合う。


「鬼は外。だからな、ばいばい。」


ゆっくりと目の前で大きな音をたて閉まった。


呆然と座り込む俺の足もとで豆がざりりとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ