彼女に射殺されてしまった。
オレは今、閻魔様の前で号泣してる。
エンマ様はオレを見下しながら、ため息をつく。
「お前なぁ。自分がしてきたことわかってんのかよ。射殺されて当然だよ」
「だって、だって!」
射殺された理由はオレが一番よくわかってる。
彼女が大事にとって置いたプリンを食べてしまったのだ。しかも、毎日。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「わしに謝ったってしょうがねぇだろう」
エンマ様は、こいつ地獄行きな、と手下の鬼に告げた。
赤鬼のジョンは「プリンくらいでそんな」とつぶやいた。
エンマ様は大激怒。バカでかい拳でぶん殴った。ジョンはぶっとび、うしろにいた鬼たちにゲキトツして、みんなぶったおれた。
「おまえらは時代というものをわかっちゃいねぇ! いいか。今は格差社会だぞ。年収200万円以下の労働者がどれくらいいると思っとるんだ。食い物の恨みは恐ろしいんだぞ!」
オレは返す言葉がなく、ひたすら泣きわめくばかり。
赤鬼のジョンは足を引きずりながら、
「じゃーこういう時代はどういう人たちが天国に行けるんスか? エンマ様」
と聞いてみた。
すると、エンマ様は、えへん、と自身満々に答えた。
「年収1000万円以上の者たちに決まっておるだろう。なにしろほれ、彼らはわしにちゃんとみやげを持ってきてくれるからネ」
「そんな」
鬼たちはだんだん腹が立ってきた。彼らも実は年収200万円以下なのだ。
「なんだ文句あるのか? あったら今すぐ辞めてもらってもいいんだぞ。んん?」
脅してきやがった。うぜえ。エンマ様のくせにいいのかこんなこと言って。
鬼たちは下を向いて黙ってしまった。
それを見てたら、オレもだんだん腹が立ってきた。
「やいコラ、エンマ!」
「なぬ?」
オレは叫んだ。
「手みやげこそ持ってきちゃいねえが、プリンをとっちゃったりしてるが、なにをかくそう、オレ実は年収1000万円以上なんだぞ!」
そうなのだ。実はそうなのだ。オレは実はただのケチな男だったのだ。
それはともかくオレは「これで天国へ行けるだろう」と安心してしまった。それが失敗だった。
「やいお前ら。こいつをぶっ殺せ!」
「アイアイサー」
エンマ様に命令された鬼たちが棍棒やヌンチャクを振り回してオレに突進してくる。
「きゃあああああああああ」
オレは袋叩きにされた。
「いたっ。いぎゃあ。エ、エンマ様、約束が。うぎゃあ」
「ふん知るものか」
エンマ様は拳銃をみがきながら、ざまーみろ、という顔をしていた。
なにをかくそう、エンマ様も年収200万円以下だったのだ。
実は、高齢化のため老人がなかなか死なず、日本の冥界は赤字経営で、上も下も火の車だったのだ。手みやげのない金持ち野郎にはようしゃない。
オレが鬼どもにおOちOんOちOんをひっぱられてる姿を眺めながら、エンマ様はごっつ不謹慎なことをつぶやいた。
「発展途上国のエンマはもうかっていいなぁ。大量のちびっこ客がくるもの・・・・」(了) |