誓い-Whiteday Style-
どうも。
すとむみずみです。
よろしくお願いいたします。
「――……もしもし、ユウ?」
「なに、ケン? どしたのこんな時間に」
「いや、用というか、……声を聞きたくてさ」
「……?」
「い、いや、なんでもないんだ。気にすんな。おやすみ」
「うん、おやすみ」
ほんとにわからない。まさに『声が聞きたくなった』んだ。なんでだろ。
(うん、しょうがない。ユウの声は安心するんだ。なんか最近ユウに甘えてるな。ま、恋人だし、いいよな。)
そんなことを考えながらケータイ待ち受け――ユウの顔写真を見てると、あることに気がついた。
明日、ホワイトデーだ。
いや、まったく考えてなかった訳じゃないけど、いよいよ明日か。完全にノープランだ。ユウになにを返すかな。
――お菓子は、ユウがつくった方がうまいよな。
――デートするか。いや、どっちにしろ明日は今月14回目のデートの予定がある。被るのはよくないな。
――無難にプレゼントか。なににするか悩むよな。ユウの好きそうなモノはだいたいわかるけど、ありすぎて迷うよな。いや、貯金全部遣ってできるだけ買うか。
鳥のさえずりがきこえる。窓から日差しがさす。今日はホワイトデー、だ。
『ケーン!!』
急にユウの声がした。俺のケータイからだ。
俺は、もう少し聞きたいなと思いながら、待たせちゃいけないとケータイをとった。
「もしもし、ケン?」
「おおユウ、どうした?」
「ねえケン、これから予定ある?」
「いや、特には……」
「じゃあさ、僕の部屋に遊びにおいでよ」
俺の方から行きたいって言うつもりだったんだけどな。
「わかった。今から行くよ」
「はーい、すぐ来てね」
通話終了。
俺は簡単に支度をして、我が家の向かい、ユウの家へと向かった。
ユウの家に着くと、さっそくユウが迎えてくれた。
「ケン、はいってはいって」
「ああ、お邪魔しまーす」
玄関にいたユウママにひとこと。
「毎日毎日すみません」
「いいのよ、ケンは息子みたいなもんだから」
この前から、この人も俺をケンと呼ぶ。
「じゃあケン、僕の部屋に行こ」
俺はユウに誘われるまま二階へ上がった。ユウママはずっとニヤニヤしていた。
ユウの部屋に入り、ドアも閉めないまま話を始めた。
「ユウ」
「なに? ケン、どしたの」
「おれ、チョコのお返しのモノ、用意してないんだ。ごめん」
「いいよいいよ、気にしないで」
「でもっ!!」
「……?」
「かわりのプレゼント、用意してるから」
「なになに? ケン、おしえ……!!」
俺は、目を輝かせるユウの唇を、唇で塞いだ。
「………」
「………!?」
キスなんて初めてだから、どのくらい長く続ければいいかわからない。
で、多分すごく長い時間キスしてたと思う。
「あら、まあ。ふふふ」
――!! 部屋の入り口から聞き覚えのある声がする。
そこにいたのは、ユウママだった。
俺とユウは、ドアを閉め忘れたことをひどく後悔したのだった。
読んでいただきありがとうございました。
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