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フリーライフ ~異世界何でも屋奮闘記~ 作者:気がつけば毛玉

サイドストーリーズ

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策士ケイト

今回、新キャラは一切出ません。

既存のキャラによる視点で見た、主人公の生活をお楽しみください。
 最近、私の可愛い一人娘、カオルちゃんのため息が増えてきたように思える。

「どーしたのっ?」

「うわ、お母さん! いきなり抱きついてこないでよ。仕込中なんだから」

 あらら、怒られちゃった。さやえんどうの筋を取っている娘がプンプンと頬を膨らませる。

「ごめーんね☆ ……あのね、カオルちゃん。何か悩み事でもあるの?」

「いきなりどうしたの? 別に、私、何も悩んでなんかいないよ?」

「ウソ! さっきからため息ばかり吐いてるよ?」

「えっ? そ、そう? 自分じゃ分からないけど……」

「そうだよぉ」

 自覚症状無し、か……結構深刻みたい。

「もしかして……タカヒロちゃんのこと?」

「えええっ!? ち、違うよ!! 違うからね!? 全然関係ないって、うん!」

 わかりやすーい……茹ったタコみたいに真っ赤になり、両手をブンブンと振って否定するカオルちゃん。

 近頃は、口を開けば「タカヒロが○○、タカヒロがね○○」しか言わないから、そうじゃないかとは思っていました!

 本当に、我が娘ながらわかりやすい。

「タカヒロがなんで関係あるの!? もう、違うって、お母さん!!」

 こちらが何も言っていないのに、否定に否定を重ねていく。これでごまかせていると思ってるのかな……?

 ひとしきり否定し終わると、ほぅ~と息を吐き出し、訥々と語り出すカオルちゃん。

「関係ないけど……そんなんじゃないけど、ただ、最近タカヒロが店に来てくれないな、って……」

 確かに、最近タカヒロちゃんはあまりこの店に来ない。

 市場で出会うユミィちゃんに話を聴けば、学校の臨時講師に図書館の仕事も加わって、昼ご飯を食べに外に出られないほど忙しくなってしまったそうだ。

 でも、晩御飯ぐらいはウチの店に寄れるんじゃない?

 あ、ユミィちゃんの作ったご飯が無駄になっちゃうか。

 仕事が無くなる(?)って理由で、ユミィちゃんは外食嫌いだからね。

 どうにもままならないなあ……。

 むむむ、これは娘の恋路の一大事!

 母として、何とかせねば!





「おはよーございまーす、仕事に来ました~……」

 まんぷく亭の裏口から眠そうに、タカヒロちゃんがのっそりのっそりと入ってくる。

 いつもながら、もう9時だというのに随分と眠たそうだ。

「あ、おはようタカヒロ! ひ、久しぶり! 元気だった?」

 それを出迎えるカオルちゃん。

 はにかみが抑え切れておらず、「えへへ」とだらしなく笑っている。そんな笑顔もかわいい!

 家のカオルちゃんは世界一のかわいこちゃんや!

 その、かわいいかわいいカオルちゃんのために、ランチのお手伝いという名目でタカヒロちゃんを呼び寄せたのだ!

 そして、二人を買い物という名のデートに行かせる……そうすれば、二人の距離は縮まるって寸法だ。

 親密になった二人を待つのは……キャーッ!

 カンペキ……! カンペキ過ぎる計画!

 自分で自分の頭脳の冴えが恐ろしいわ!!

 ふふふ……策士ケイトと呼んでくれたまえよ、えっへん!

(さて、そろそろ策士ケイトのパーフェクト・プランの出番ね……!)

 タイミングを見計らう。二人が仲よさげにお話している……なんだか良いムードになってきた!

 今だ!

「あれれー、今日のランチに必要なレタスがないなー、大変だー」

 我ながらカンペキな演技!

 そこから間髪いれずに、畳みかける!!

「そうだわ、お母さん、いいこと思いついちゃった! タカヒロちゃんとカオルちゃん、二人で買いに行って来てよ!」

 どや!

「えええ! ダメよ! そんな……わ、私一人で行ってくるから! ねっ? ねっ?」

 顔を真っ赤にしてブンブンと首をふるカオルちゃん……水のみ人形を横にしたかのような動きだ。

 水のみ人形カオルちゃん……。

「なんかエロいわね!」

「「え?」」

 あ、素で引かれた。なんでだろう?

「まあ、買い物に行くぐらいならかまわないっすよ。な? カオル」

「ぇえっ!? ……ぅ、うん! 私、頑張る!!」

「はは、たかが買い物にそこまで気張るなよ」

 イエス! 買い物デート、承認されました!!

 ふふふ……タカヒロちゃん、あなたは自分の意志で行動を決定したと思っているのでしょうね?

 だが、それも策士ケイトの手の内なのよ!

 さあ、このまま私が書いたシナリオ通りに、どこまでも突っ走るがいいわ!

 具体的には連れ込み宿まで。



「赤ちゃんは三人は欲しいわよね……」

「おっ? 子どもが欲しいのか? じゃあ、今晩あたり、励んでみるか? がはは!」

 いつの間にか二人はでかけ、私の傍には旦那さま……アカツキが立っていた。

「やだ、アナタったら! カオルちゃんのことよ、カオルちゃん!」

「そうか! カオルか! おれぁ、てっきり、今晩のおれらのことかと思ったぜ!」

「アナタ……」

 何だか、アハンウフンな空気が漂ってきた……。

 ハッ!! ダメだダメだ!! 今はカオルちゃんだ!

 旦那さまとのラブ空間に浸っている場合じゃない! ……今夜は浸るけどね!

「さ、いくわよ、アナタ!」

「がはは! なんだ? どっか行くのか? よくわからんが、わかった!」

 旦那さまのこういう大雑把なところが、私は大好きだ!!!!

 家の旦那さまは世界一の男や! マッチョやで!

 夫婦仲良くキャッキャッウフフといちゃつきながら、私たちは二人の後を追った。



「あ! 手を握ろうとしてる! あっあっ、引っ込めちゃった! カオルちゃん、ファイト!」

「いくじがないなぁ、がはは!」

 今、若い二人は市場を隣り合って歩いている。

 初めのうちは仲良くおしゃべりをして歩いていたのだけど、人波に押されて肩をぶつけてからは、意識しちゃったのかカオルちゃんの口数が段々と減っていった。

 そして、今では頬を染めて俯き、横目でチラチラとタカヒロちゃんの手を見ている。

 きっと、手を握ろうかどうか迷っているのだろう。

 近所の女友達とはよく手をつないで歩いているスキンシップ大好きなカオルちゃんも、想い人相手では勝手が違うようだ。

 かっわいい~!

「……?」

 ちらりと、タカヒロちゃんが振り返る。

 危ないっ!!

 旦那さまと共に魔素灯(夜になったらキレイに光って辺りを照らす柱だ)の影に隠れる。

 ふ~、流石もと冒険者……!

 人の気配には敏感なのね!

 しかし、私たちの尾行はパーペキだ!

 一分の隙もない!

「ね~、アナタ」

「おう! がはは!」

 ふふふ……結局、タカヒロちゃんは何もつかめずに前を向きなおして……あれ?

 カオルちゃんに何か話しかけてる……?

 あ、カオルちゃんがダッシュでこっち来た!

 マズイ!?

「お父さん! お母さん! なんで付いてきているの!?」

 ああ~、見つかっちゃった……!

 どどどどうしよう!?

「ち、違うの、カオルちゃん! お母さんたち、カオルちゃんのためを思って……」

「おう! 子どもを作るんだって? いいじゃねえか、母さんがお前を産んだのもそれぐらいの歳だったからな!」

「あら、そういえばそうね! なんだ、何も問題ないじゃない! さっ、タカヒロちゃんのところに戻って……」

 はっ!?

 カオルちゃんのこめかみがぴくぴくしてる!

 お母さんだから分かる。

 これは爆発する一歩手前だ。

 お母さんじゃなくても分かるか。

「い い か げ ん に し て !」

「「ハイ」」

 こわぁー!

 カオルちゃん、こわわぁぁー!!!!

 あまりの眼力に、一も二もなく頷く私たち。

 その後は、「さ! お店を開くよ!!」と、四人でまんぷく亭へと戻ったため、カオルちゃんとタカヒロちゃんの赤ちゃん爆誕フラグが立つことはなかった……。

 ちぇ、ざーんねん。

 でも、見ていてお似合いの二人だったよ。

 諦めずにカオルちゃん、頑張ってね!



………………
…………
……



「なんだったんだ……?」

 今日は少し変な一日だった。

 カオルと二人で買い物に出かけたら、後ろをラブラブ夫婦がいちゃつきながら追いかけてくるし……その娘は顔を真っ赤にして俯いているし……まあ、あんなのが親だったら俺だって恥ずかしいが。

 あとはいつもどおりだ。

 カオルがまかないを作ってくれて、それを食べたら公園で一休み。

 迫りくるわんこコンビを軽くいなし、最近ストーカーじみてきたアルティの追跡も撒いた。

 ……これがいつもどおり、っていうのが、俺の生活のいやなところだな……。

 なにはともあれ、そのあとは何事もなく終わった。

 ロックヤード夫妻の、「娘をよろしくね!」というおちょくりも受け流し、ディナータイム(19:00まで)も終えることができた。

 さて、明日は修道院でガキどもの世話だ。

 何気に体力がいるからな……飯食って早めに寝よ。

 こうして俺は、まんぷく亭でのランチとディナーの仕事を終えて家路に着いた。






ケイトさんはまだ若いのだ・・・35歳のパワフルママとか、なんて俺得(ぇ

さてさて、次も熟女・・・ゲフンゲフン・・・まだまだお若い孤児院のシスター・ルードスさんの視点です。

お楽しみに!
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