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フリーライフ ~異世界何でも屋奮闘記~ 作者:気がつけば毛玉

修学旅行編

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漂流教室

 東大陸から地中海へと突き出た半島を国土とするサースリア。

 闘技大会が盛んなストルズや、聖都サーバリオといった独立国家を領土内に抱え込む半島国家は、決して、文化や国力において、内なる二国に劣るわけではなかった。

 特に、食文化や芸術に関しては、文化人を気取るイースィンドの貴族たちも唸らせるほどだ。その水準の高さは大国すらも上回り、隣国や、遠く離れた国にすら、大いに影響を与えていた。

 現に、サースリアと国境を接するイースィンド南部は、かの国の影響をこれでもかとばかりに受けている。出される料理は『サースリア風』。建物の構造も『サースリア風』。街並みさえも『サースリア風』。

 こと文化面においては、半島国家に併呑されているのではないかと揶揄する声があるほどだ。サースリアの文化水準は、推して知るべしである。

 だが、イースィンドには自国の文化があり、何より、大国としてのプライドがある。良いものに迎合し、そのまま使うなど以ての外。得たものはすべて噛み砕き、必ず、自国の文化として洗練させていた。

『サースリア風』という言葉が示すように、イースィンド南部の文化は、サースリアのようでサースリアではない。あくまで、サースリアを手本にしたイースィンド文化なのだ。

 影響は受けるが、呑み込まれない。それは、大国としての誇りであり、矜持でもある。言い換えれば、負けず嫌いということになるのだろうが、その頑なな心が、今日こんにちのイースィンドの発展を支えていると言っても過言ではなかった。

「まあ、前衛的な絵ですこと。これは、どちらが描かれたものでしょうか」

「こ、これはアチュールの作ですね。南国主義に傾倒している、新進気鋭の画家です」

「あら、南国派。燃える太陽、大海原、白砂青松を写実的に描くことしか能がないとばかり思っていましたわ。このように意欲的な抽象画も描けますのね」

「その斬新さも含め、新進気鋭なんです。み、見たままを描くのではなく、南国の概念を抽出し、常夏の楽園を表現する。一歩間違えば、抽象化した南国の要素を理解されずに終わってしまうのですが、これは見事に描けていますね。例えば、赤の波は陽炎を示し――」

 フランソワら一行が訪れた港湾都市、エールシルトも、他国の影響を受けつつも、イースィンド文化を象徴する街として、大きな発展を遂げていた。

『北のグランフェリア、南のエールシルト』と並び称される南国都市は、自国の首都よりもサースリアの首都の方が近い位置にあり、そのせいもあって半島国家の影響を多大に受けていた。

 だが、この街の景観はどうだ。石材を魔導レンガに置き換え、街灯を魔導式に入れ替えたエールシルトの街は、サースリアのようであり、サースリアではない。根幹には確かに魔導大国イースィンドの存在が感じられ、それが異国の文化を掌握しているのは、誰の目にも明らかだった。

 芸術面もそうだ。イースィンドの画家たちは、サースリア発祥の南国主義を全面的に受け入れることをよしとせず、元となる主義主張をよく学び、必ず、次の段階へ進もうと試行錯誤を重ねていた。

 負けず嫌いな心と、飽くなき上昇志向。それは時として遠回りやガラパゴス化を招きかねないが、その頑固さを、フランソワは決して嫌いではなかった。

「あら、黒騎士像」

 修学旅行二日目の午前中、街外れの岸壁に建てられたエールシルト美術館を巡っていたフランソワは、特設展示場に置かれている彫像に目を留めた。

 どっしりとした光沢を放つマホガニーで作られた、一人の成人男性の像。精悍な顔立ちに、武神もかくやと言わんばかりのがっしりとした体つき。貴族風の上品な服を着た男は、抜き放った剣を天へと掲げている。

 金の装飾がなされた黒色の全身鎧が併せて展示されていることから、この人物は黒騎士の正体だということになる。だが、ストルズの闘技大会を直に観てきたフランソワにとって、この木像の造形はあまりにも的外れに過ぎた。

「黒騎士様は、もっと細身だったわ。身長も、無駄に高くはなかった。豹のようにしなやかな黒騎士様とは、対極に位置する像ね、これは」

「ドロテア様」

 フランソワの隣に、銀髪の少女が並んだ。

 バルトロアの末姫ドロテアは、以前、黒騎士に助けられたことにより、仄かな想いを彼に対して抱いていた。火種のように燻るその心が、ストルズ闘技大会で一気に燃え上がったのだろう。あの場所には、確かにドロテアもいたと、フランソワは月初めの出来事を思い返していた。

「制作時期から考えると、これはカオス・ドラゴン討伐の報が国内を駆け巡って、すぐに作られたものね。流行に敏感なのは芸術家として当然持つべき資質だけど、流されてしまうようでは三流。表面だけをさらりとなぞった芸術には、真実も感動もないわ。主題の掘り下げなしに、よくのみを持とうと思ったものね。私なら、黒騎士様のことをもっとよく知って、彼の内面まで理解して初めて――」

 黒騎士に対する並々ならぬ想いから、芸術に関しての自説を止めどなく語り続けるドロテア。

 彼女もまた、黒騎士の熱烈なファンなのだと知っているフランソワは、微笑みを浮かべたまま、ドロテアの話に相槌を打ち続ける。

(名を馳せた英雄、数多の武勇伝を持つ勇者、一騎当千の豪傑たち。強い男に惹かれない女はいませんわ。私も、同じですものね。龍を殺し、闇夜を駆けて、最強騎士すら打倒してのける黒色の騎士。鎧を外しても、決して素顔を晒さない、仮面の麗人。今を生きる英雄に、心が熱くなるのはわかります)

 微笑のフランソワは、黒騎士の姿を脳裏に浮かべる。

 獣のごとき俊敏な動き。魔導機械を越えた正確無比の剣捌き。万の観衆を幻惑するあやしの術に、艶めかしくも黒く輝く宝石のような髪。

 兜や仮面に隠された素顔も相まって、黒騎士という存在は、ミステリアスな色気すら備えていた。

(同じ黒髪でも、先生とはだいぶ違いますわね)

 黒騎士の黒髪から、連想して浮かんでくる貴大の姿。

 ひょろりとした体に、だるそうに細められた目。日焼けを知らない白っぽい肌に、まばらに生えた無精ひげ。それに、いつもぼさぼさの髪は、烏の濡れ羽と謳われる黒騎士のそれとは、あまりに違い過ぎる。

 ドロテアならば、頭の中とはいえ、両者を比較することすらおこがましいと言うだろう。強大な力を信奉していた以前のフランソワも、きっと同じように言っていただろう。

 だが、今は違う。力への憧れは確かにあった。英雄を想う心も確かにあった。

 ただ、同じ分だけ、貴大への親しみが、フランソワの中には育っていた。

 東洋から来た、異国の青年。彼はスキルを披露しただけではなく、多角的なものの見方を教え、助言を与え、時には身を挺して生徒の目を開かせた。

 真実はどうであれ、フランソワの認識として、佐山貴大は立派な教師だった。英雄には及ばぬものの、彼には、彼にしかないものがあると、フランソワは貴大を尊敬していた。

 思慕にも似たその感情が、英雄と貴大を、同じ位置に並び立たせていた。しかし、灯台下暗しと言うように、当の本人は、どうして貴大が黒騎士と一緒に頭に浮かぶのか、いまいち分かってはいなかった。

(タカヒロ先生も、英雄だから? 何でも屋という、街角の英雄。ふふっ)

 フランソワは、浮かべていた微笑を笑みへと変えた。






 イースィンド南部、それも地中海沿岸に来て、泳がない馬鹿はいない。

 内海である地中海は波が穏やかで、遠浅の地形が多く、おまけに水は温かと、海水浴にはもってこいの条件が整っている。保養地に選ばれるような場所では、当然、海水の透明度も高い。成人男性が足がつかないような深さになっても、海は青く透き通るだけで、いささかの濁りもなかった。

 まるで空を飛んでいるようだとも言われる、地中海沿岸での海水浴。午前中は芸術鑑賞など、現学園長が勧める『文化的な活動』に割きたくもない時間を割いていた二・Sの男子学生たちは、昼食後の休憩もそこそこに、放たれた矢のように青い水面へと飛び込んでいった。

「くああーっ! 夏はやっぱり、泳がなきゃなっ!」

「この解放感、たまんねーっ!!」

 16、17歳という若さでは、絵画や彫刻を眺めているよりも、体を動かすことに喜びを感じる。体の奥からこんこんと湧き上がり、全身に満ちる過剰な活力を発散させる場を、彼らは常に求めているのだ。

 そのように血気盛んな少年たちが、エールシルトの海を見て動かないわけがない。彼らは、檻から出たばかりの獣のように、歓声を上げてはしゃぎまわっていた。

「【ウォーター・バズーカ】! 【ウォーター・バズーカ】!」

「ははは、効くかそんなもーん! 俺の【ボルテックス】で目を回せ!」

「【アクア・スイム】で、俺は魚になるっ!!」

 エールシルトから少し離れた場所にあるプライベートビーチ。背後の林に松が生えそろった三日月形の湾は、なんと王立グランフェリア学園専用の海岸であり、関係者以外の立ち入りは厳重に禁じられていた。

 貴族や豪商、名のある騎士の子息の肌を、一般市民に晒さないため、という配慮もある。人ごみの煩わしさで不自由な思いをしたくないという、上流階級的な考えもある。

 だが、このような乱痴気騒ぎを人様に見られたくないからという親心が、学生用のプライベートビーチ買い取りに繋がったのだと――少なくとも、引率の教師たちはそう考えている。

「ドルフィンキック! ドルフィンキック!」

「はーははははははははははははっ!!」

「ひー、はははは、ははごぼっ!? ……うぃー! 海水飲んだー!」

「うぃー! ぃーひひっひっひひ! やべ、変な笑いが出た」

 上流階級と言えど、子どもであることには変わりがない。海水混じりの鼻水を垂らす男子学生に、教師たちは揃って大きなため息を吐いた。

「旅行はまだ五日も残っていますね。まだ五日も」

「一日中、彼らの面倒を見るなんて、神経が擦り切れる思いです。ねえ、レオン先生?」

「午後一時から三時までは、プライベートビーチ内で自由行動です。釣りでも、泳ぎでも、ヨット遊びでも、自由にさせればよいのでは?」

「自由と言っても、限度があるでしょう。羽目を外し過ぎて、事故や不祥事に繋がることになったら……ああ、私は胃が痛い」

「そうならないために、私たちや侍従たちがいるのですよ。さあ、職務に励みましょう」

「レオン先生は流石ですな……ははは」

 松の木にもたれようともせず、腕を組んで学生たちを見守るレオン。

 自他ともに厳しいと定評がある二・Sの担任は、旅行先であっても自分のスタンスを崩さなかった。

「まあ、女子が大人しいだけ、まだマシと考えますか」

「ですな」

 渇いた笑いを浮かべた五人の教師は、湾の出口付近に浮かんでいる船を見た。

 ヨットと言うには大きすぎて、客船と言うにはやや小さい、帆が張られていない不思議な船。乱暴な言い方をすれば、ボートがそのまま大きくなったかのような異様な船は、その実、魔導技術の塊だった。

 風を帆で受け止めて進むのではなく、水の上を滑るように移動する魔導船は、イースィンドが誇る上級スキルの活用によって生まれたものであり、今では内海に限り、幅広く使われるようになっている。

 転覆の恐れがあるため、波のうねりが激しい外海では使えないが、こと内海においては革新とまで称えられる魔導船。極限まで揺れが抑えられた魔法の船は、船に弱い者であっても、長時間の遊覧を可能としていた。

「しかし、遊覧用の魔導船を用意する辺り、やはり貴族、豪商の娘ですな」

「軍艦、客船、輸送船でないものを、私は初めて見ました。はは、お嬢様方は、庶民がボートを湖に持ち込むような気軽さで、技術の粋を海に浮かべなさる」

 半分感心、半分呆れで、ほうと声を上げた中年教師。

 彼が見つめる先では、広く作られた甲板の上で、十七人の女子たちが、優雅なひと時を過ごしていた。

 男子が落ち着いてから、ゆったりと泳ごうと考えているのだろうか。それとも、珠の肌を褐色に染めてみようと考えているのだろうか。麗しき少女たちは、全員、それぞれに意匠の異なる水着を着ている。

 ドロテアは、青いラインが入った銀色のセパレーツ。ベルベットは、紺色の競泳用水着。意外にも、白いフリルのワンピースを身に着けているのはカミーラで、金のビキニを着たフランソワは、カラフルなパレオを腰に巻いていた。

 どれもこれも、遺跡から出土した文献を研究し、ようやく製法が見つかった一級品だ。マジック・アイテムとしての側面も持つ淑女の水着は、安いものでも、一着で中級区の一軒屋が買える値段だった。

 それが、十七人分。海で泳ぐ男子のものも含めれば、三十人分。特注の魔導船と共にまとめて売り払ってしまえば、下手をすると王都の一角を買い占めることもできるのではないか。

 自分の目には、青い海が黄金に光って見えると、教師たちは眩しそうに眼を細めた。

 --だから、対応が遅れた。

 最初に気がついたのは、船の近くで泳いでいた男子生徒だった。

 こっそりと、魅惑の園にお邪魔しようと隙をうかがっていた彼は、いち早く魔導船が『沖に流され始めていること』に気がついて、大きな声を上げた。

「船が流されている!」

 そこからの動きは、素早かった。

 真っ先に飛び出したレオンに続き、水泳補助スキル【アクア・スイム】を発動させた教師たちが海へ飛び込む。侍従たちがいくつものボートに乗り込み、魔法で船を走らせる。男子たちは船に取り付き、女子たちは魔導船の操作に取りかかった。

 潮に流されることのない魔法の船が、沖へ、沖へと移動している。この不測の事態に、目に見えて狼狽える者など誰一人としていなかった。誰もがみな、おおよそ最善と思われる行動を取り、誰もがみな、『ちょっとした事故』の解決に動き出していた。

 しかし、彼らはほんの少しだけ――ほんの少しだけ、遅かったのだ。

「船が、加速している!?」

「外部からの魔力干渉!? それに、潮も流れを変えて……!」

「くそっ、もう戻れない! お前ら、甲板に這い上がれーっ!!」

「追いつけ、ないっ! 押し戻されるっ!!」

 学生を乗せた船は沖へ、沖へと加速して、あっという間に湾の外へと出て行ってしまった。対する教師や侍従、大人たちは、湾へと流れ込む潮の流れに押され、その指先すら魔導船に届かなかった。

 歯噛みするレオンたちの視界の中で、見る見るうちに小さくなっていく魔導船。三十人の学生を乗せた、櫂も帆もない箱舟は、やがて水平線の向こうへと消えていった。







「くそっ、何でこんなことに……!」

「ま、魔導船に不具合が起きたとは考えられません。あれはどう見ても、外部からの干渉、です」

「じゃあ、誰なんだよ、こんなことをしたのは!?」

「ひ、ひうっ!?」

「落ち着きなさい、ヴァレリー。冷静さを欠いては、生き残れないわ」

「……ああ、すまん」

 ここは地中海に浮かぶ無人島。

 流刑の地でもなく、採掘島でもなく、航路からも外れたただの島。

 プライベートビーチを発し、でたらめに突き進んだ魔導船が、やがてたどり着いた人無き島。

 浅瀬へと座礁した魔導船から降りた学生たちは、それぞれに不安や憔悴を顔に出して、精根尽き果てたかのように砂浜へと座り込んでいた。

 魔導船の暴走から、まだ五時間しか経っていない。しかし、不可解な出来事というものは人の心を疲弊させるもので、事件に巻き込まれた学生たちの活力をごっそりと削り取っていた。

 理不尽な状況。行く先が見えない不安。迫り来る夜闇。布地の少ない服。武器を持たぬ我が身。それに、無きに等しい水と食料。

 救助が来るのは、いつになるのか分からない。かといって、一度暴走した魔導船に乗り込みたくはない。ならば、救助を待つのが正解で、それまでに命を繋がなければならない。

 それだけは、学生たちには分かっていた。自分たちが、今後、どのように動くべきかは、分かっていたのだ。

 しかし、彼らの多くは、立ち上がることができなかった。虚脱したように、重たい腰を砂浜に沈めていた。

 もうすぐ、夜が来る。火を熾さなければならない。安全を確保しなければならない。役割を決めて、寝ずの番を置かなければならない。

 本当に、するべきことだけは分かっていた。学園の授業で、主要なサバイバル技術は教わっていた。それでも、心がどうしてもついてこない。こんなにも自分たちは精神的に脆かったのかと、学生たちは悲痛な顔をますます歪め、がくりとうなだれた。

 だが、立ち上がった者もいた。動き出した者もいた。

「――全員、整列っ!」

 彼女の名は、フランソワ。フランソワ=ド=フェルディナン。

「点呼、はじめっ!」

 大公爵の娘にして、未来に輝く金色の綺羅星。

「全員、揃っていますわね。では、日が沈む前に、拠点を構築しましょう。寝る場所ができて初めて、人は安心するものです」

 これまでも、これからもリーダーシップを発揮する才媛は、崩壊しかけた集団をまとめ、彼らに確かな目的を与える。

「それでは、出発します! ここは風が強いため、野営には向きません。まずは集団で移動します」

 彼女に活を入れられた学生たちは、目に輝きを取り戻し、目下に迫った一大事を乗り越えるため、フランソワに続いて歩き出した――!

 そして、出会った。彼らがよく知る人物に。

 上陸地点の反対側、夕日が照らす海岸で、『彼』はのん気にフルーツをかじっていた。

「……あろは」

「あろーは♪」

 無表情に手と腰をふる、水色髪の小柄な少女。ぼろろん、ぼろろんとウクレレをかき鳴らし、陽気に歌う白桃色の髪の少女。肌を小麦に染めた彼女らは、おそろいのハイビスカス柄のビキニを着て、おそろいの腰みのを巻き、アロハアロハと歌いながら、ゆったりと腰をふっていた。

「タ、カ、ヒ、ロ。我はもう少し肌を焼きたい。背中にオイルを塗ってくれぬか?」

「ほらよ」

「冷たいっ!? オイルぶっかけなどと、二重の意味で冷たいぞ!」

 際どいマイクロビキニで局所を隠した龍人の少女が、麦藁帽を被ったアロハシャツの青年へと詰め寄った。こんがりと肌を焼いた黒髪の少女が、竜のような翼を広げて、黒髪の青年へと食いかかる。しかし、青年はごろりと砂浜に横たわり、麦藁帽を顔に被せて寝入ってしまった。

 ぷりぷりと頬を膨らませて怒る龍人少女。踊る少女に、ウクレレを鳴らす少女。その全員が、見た目は何とローティーン。胸はぺたんこ、平均身長、150センチ以下!

 ここはロリータの楽園。幼女趣味の変態がたどり着く常夏の島。黒髪の青年は、今、いたいけな少女たちを侍らせて、余裕たっぷりに寝転がってみせていた。

 驚いたなあ、佐山貴大さんったら、とんだ趣味の持ち主だったんだぁ。

「……ふふっ」

「フランソワ様っ!?」

 緊張の糸が切れたのか、はたまた別の理由によるものか、学生たちのリーダーは、どしゃあっ! と音を立てて砂浜へと膝を着いた。


余談ですが、今回、ちらりと出てきた美術の話は、大学生時代の講義を思い出しながら書きました。

芸術についての講義だったのですが、アレゴリー(寓意)とシンボル(象徴)。アトリビュート(持ち物)の話は特に面白かったですね。

しかし、「これを持っているから、この人物は○○だ」と示すアトリビュートは、比較的わかりやすかったのですが、寓意と象徴は分かりにくくて、頭がごちゃごちゃになったものです^^;

まあ、簡単に言えば、西洋絵画に書かれているものは(全てではありませんが)、何かしらの意味を持っているのですよ。

簡単なものだと、ドクロは死の寓意、金貨袋とサイコロの組み合わせは博打を意味しているとなりますね。組み合わせや解釈次第で、色々と意味は変わってきますが、その辺りの考察も結構面白かったです。

絵画を見るということは、そういったメッセージを読み取ることでもあるそうです。

みなさんも、身近に西洋絵画がありましたら、ぜひぜひ、隠された意味を考えてみてください。

それでは、次回、無人島生活もお楽しみにー(^ω^)ノシ
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