挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
フリーライフ ~異世界何でも屋奮闘記~ 作者:気がつけば毛玉

鉄の国からの留学生編

134/300

悪魔は笑う

 地下一階。連続した四つの大部屋。それぞれで、レベル100の魔物が大挙して押し寄せる。が、イースィンドが誇る強力なスキルの一斉射により、危なげなく撃退。脱落者、無し。

 地下二階。単調な迷路だが、罠多し。落とし穴で女子一名、落下する天井に潰され男子二名が犠牲に。脱落した者の末路は、階段脇に備え付けられた映像水晶により映し出される。彼らは、アベルと同じ責め苦を味わっていた。

 地下三階。【バウンド・フロアー】と、三体の〈バウンド・スライム〉の組み合わせ。天井や壁にまでかけられた【バウンド・フロアー】の反発力により、球状の「よく弾むスライム」は速度と攻撃力を増した。脱落者、後衛職二名。

 地下四階。複雑に入り組んだ迷路と、〈死神見習い〉の組み合わせ。壁を透過し、我々の首を刈ろうとする〈死神見習い〉を一々相手にしていては消耗戦になると判断し、強行突破を図る。それが功を奏したのか、脱落者は二名に止まった。

 地下五階。最も大規模な罠。予想以上の被害の少なさに慢心し、先行し過ぎた五名の学生を巻き込み、フロアの大部分を占める大広間が陥没した。罠の有無を確認せずに進むなど愚の骨頂だ。生き残った者たちには、良い教訓となっただろう。

 地下六階。この階には壁がなく、500メートル四方の空間が、ただただ広がっている。その中央には、陥没した上階の瓦礫と埋もれた学生たち。そして、それに群がるゾンビの群れがいた。

 上階の罠は、強い素体の身動きを封じ、確実にゾンビ化させるための布石だったのだ。虚ろな目をこちらに向ける、仲間だった存在に躊躇いを見せる学生たち。だが、私は特にこれといった思い入れなどないので、元からいたゾンビもろとも火だるまにしてやった。やはり、アンデッドには炎がよく効く。

 地下七階。炎と氷のフロアー。この階にも壁はなかったのだが、代わりに、床が溶岩で満ちていた。階段脇に設置された魔石を触れば道ができあがるのだが、それは氷でできていて、三分と経たずに融けて消えてしまう。つまりは氷の道が融けてしまう前に、向こう岸へと駆け抜けろというわけだ。念のため一人ずつ渡ったのだが、間にあわない、もしくは足を滑らせて、三名の学生が煮えたぎる溶岩へと落ちていった。

 地下八階。壁を黒く染めるほどの蟲。十の小区画に分けられたこの階は、身の毛もよだつようなおぞましい蟲どもが蠢いていた。油虫に、毛虫、得体の知れない幼虫に、ハエや蛾を模した魔物たち……失神した女生徒から、蟲の沼に沈んでいった。

 そして、地下九階。獣の森。この階は、レンガの壁ではなく、密集した木々によって道が形成されていた。材質が変わっただけではない。森の空気は、これまでの階とは比較にならないほど殺気に満ちていた。

 それもそのはず、私たちに牙を突き立てんと闇に潜んでいたのは、英雄譚にも度々登場するほどの恐ろしき魔物、〈漆黒狼〉だったからだ。類稀な連携能力と、個々の戦闘力の高さで、私たちを追い詰める黒き獣たち。一人、また一人と確実に葬られていく学生。逃げの一手しか取れる手段はなく、結局、この階を突破する頃には、たったの五人しか残ってはいなかった。

「はっ、はっ、はひっ……わた、わたし、生きてる……!」

 現在地、学園迷宮地下十階。BOSSの間の扉に手をつき、荒い息を吐いているのは、〈ソーサレス〉のカミーラだ。彼女は、すっかりずれてしまった三角帽子や黒縁眼鏡を直しもせずに、ぜいぜいと喘いでいる。

「鍛錬が足りませんよ、カミーラ。これぐらいでへこたれていては、初代学園長の思うつぼです」

 何に寄り掛かることなく、背筋を伸ばして立っているのは、〈ソードダンサー〉のベルベットだ。これだけ動いて涼しげな顔をしていられるのは、さすが武門の子といったところか。しかし、額に浮かんだ汗が、彼女の疲労を如実に表している。

「いやいや、さすがの俺も、今回ばかりは死ぬかと思ったぜ。カミーラはよく頑張った方だよ」

 二年S組次席、〈パラディン〉であるヴァレリーが、滝のように額から流れ落ちる汗をぐいと拭い、水筒に口をつけていた。男子は結局、この男しか残らなかった。最後まで残ったヴァレリーと、真っ先に脱落したアベル。彼の優秀さを称えるべきか、イースィンド男の軟弱さに呆れるべきか。

「ですわね。よく頑張りましたわ、カミーラ」

 当然のようにこの場にいるのは、イースィンドの大貴族、フェルディナン家の一人娘。〈ル・ブルジョン〉のフランソワ。リーダーとしてだけではなく、遊撃役としても優れた彼女は、なるほど、ここにいても何らおかしくはない。

 彼らグランフェリアの学生に私を含めて、総勢五名。これが、最後まで残った者の数だ。正直にいえば、私の予想を遥かに上回っている。

 イースィンド人は野戦の名手だが、局地戦は不得手である。それは、厳然たる事実だ。強力なスキルに頼り切りでは、細かな工夫は身につかない。だから、ここまで辿り着けるのは、私と、イースィンド人でも才気あふれるフランソワぐらいのものだろう。私はそう思っていた。

 ところが、どうだ。悪辣な迷宮を越え、四名もの人数が残っているではないか。イースィンドの学生も、なかなかどうして、あなどれないものだ。

「よくここまで残れたわね。正直、意外だわ」

 疑問を、思わず口にしてしまう。フランソワらが、迷宮戦でも予想以上に優れた動きを見せることはわかった。称賛に値するものだとも思う。しかし、どうにも腑に落ちない。聞きしに勝るとはよくいうが、いくらなんでも出来過ぎだ。

 一体、力押し一辺倒だったはずのイースィンド人に、何が起きているのか……。

「ふふっ、先生のおかげですわ」

「先生?」

 レオン教諭のことだろうか? いや、彼は実技担当ではない。だとすると……。

「ええ、サヤマ先生です。先生は、半年前から私たちに、東方式の迷宮攻略法を教えてくださっているのです。先生の教えがなければ、私たちは今ごろ、全員脱落していますわ」

「…………そう」

 やはり、あの悪魔の仕業か。

 諜報員から、イースィンドの教育に変化をもたらした人物がいるとは聞いていた。バルトロア式にも似た、効率的なスキル教授法、迷宮戦の知識を教えている人物がいると。

 まさかそれが、よりにもよってあの悪魔だとはな。名前を聞いただけではわからなかったが、すでに私は、あの髪、あの顔、あの瞳を直に見ている。間違えようがない。あれは二年前に現れた悪魔だ。

 悪魔め。イースィンドの国力を増強し、何を企んでいる? この国の中枢に取り入ろうというのか? 貴族内のシンパを増やし、石もて追われたバルトロアに復讐するつもりか? それとも……。

「そうだな、先生の教えがなかったら、今頃俺もアベルみたいに……」

「よ、よかった。ちゃんと先生の授業、復習してて……」

「先生の教えは、窮地にこそ真価を発揮しますね」

 いずれも将来は要職に就くであろう学生たちは、すでに悪魔に取り込まれているようだ。目を輝かせ、サヤマ先生、サヤマ先生と口にする。

 危険だ! 奴は確実に、この国に根を張っている。そして、それが国中に広がっていった時……悪魔は、思うがままに行動するだろう。

「悪魔め……!」

「え? ドロテアさん、何かおっしゃいまして?」

「…………いいえ」

「そうですか。では、いよいよ、BOSSの間に突入しますわよ!」

「「「おおーっ!」」」

 そうだ。まだ、悪魔の根を断ち切ろうとしてはいけない。どこまでが、奴の影響下なのかがわからない今、迂闊な発言や行動は控えるべきだろう。

 今は、初代学園長の討伐に集中すべきだ。早くあの痴れ者を倒し、地上に戻れば、ゾフィーやカウフマンに相談ができる。

 それだけではない。地上にもどれば、できることが増える。諜報員に連絡を取り、悪魔の周辺を探らせることもできる。人員を揃えて悪魔を捕縛し、真の目的を自白させることもできる。

 そのためにも、まずは目先の戦いだ。雑念を捨て、意識を切り替え、私はフランソワらの後に続いて、上層部地下10階BOSSの間へと踏み込んだ。

 すると……。

『ようこそ、無力な子羊たちよ』

 敷き詰められた石畳。壁にかけられた松明。床を二つに分けるかのように引かれた、真っ赤なカーペット。そして、その先では……。

『ようこそ、哀れな蝶たちよ』

 タキシード姿の中年男が玉座に腰をすえ、片手にもったワイングラスを揺らしていた。

『んっん~! トレビアン! まさか、ここまでやってくるとは思わなかったよ。まだまだ私も、未熟ということだ』

 ワインの香りを楽しみつつ、余裕たっぷりに私たちに相対する初代学園長。もはや、自慢の迷宮は突破され、己が身一つしか残っていないというのに、あのくつろぎよう……何か策があるのか?

「初代学園長先生。私たちは、貴方が課した試練を乗り越えました。なので、脱落した学生たちを解放してはいただけませんか? 映像水晶越しとはいえ、見るに忍びありませんわ」

 フランソワが臆さず前に出て、囚われた学生たちの解放を望む。だが、初代学園長は玉座に座ったまま、何も言わずに微笑むばかり。やはり、様子がおかしい。このような場合は……。

「【アイシクル・ランサー】!」

「ドロテアさんっ!?」

 先手必勝、攻撃あるのみ。敵のペースに乗せられるということは、敵の策略に己を委ねることと同義だ。わざわざ、敵に合わせる必要など無い。そう考え、氷の槍を初代学園長へ向かって射出したのだが……。

『ふぅ~、甘いなぁ~』

「……っ!」

 なんと、【アイシクル・ランサー】を片手で掴んで止めてしまった。何たる膂力と動体視力か!

『しかし、思い切りはいい。それに免じて、私も少し本気を出すとしよう』

 そう言って、笑いながら立ち上がる初代学園長。決して背は高くないはずなのに、妙に大きく見えてしまうのは威圧感によるものか。

『では、いくぞ? せめて一分はもってくれたまえよ』

 笑いながら大口をたたく中年男。……いや、あながち大言壮語ではないのかもしれない。あの顔は、出来ると確信した者の顔だ。

「来るっ!」

 まずは防御役のヴァレリーを潰すのか。それとも、後衛をかき乱すつもりか。考える暇すら与えないとばかりに、サディスティックな光を瞳に宿した初代学園長は、我々に襲いかかってきた!





「【フォースエッジ】! これならっ!」

『ぐあああああ……! バ、バカな! 第三段階でも勝てぬというのか……!?』

 戦いが始まり、三十分ほど経った頃。初代学園長は、もはや虫の息だった。

 致命傷を負う度、人型から、ゴーレムのような巨体、そして、獅子のような姿へと、二度の変貌を遂げた初代学園長。その度に体力が全回復するのには手を焼いたが、この度の茶番も、どうやらこれで終わりらしい。思った以上にあっけない。

 確かに、初代学園長の身体能力は高かった。しかし、戦いのセンスがお粗末過ぎた。そうでなければ、倒れていたのは私たちだったはずだ。よくも悪くも、初代学園長はクリエイターということか。

『おおお、崩れる……私の体が崩れていく……!』

 初代学園長の体は、末端から魔素の粒子へと変換されていき、徐々に、徐々に小さくなっていく。

 ―――終わりだ。

 誰もが、そう思った。誰もが、勝利を確信した。

 だが―――奴は、まだ諦めてなどいなかった。

『おおお、倒れん! 私は倒れんぞ……!』

 よろめきながらも玉座に辿り着く初代学園長。すると、玉座がスライドし、床の下から何かがせり出してくる。

 あれは―――!?

「ダンジョン・コア!?」

 カミーラが驚愕の声を上げる。虹色に光り輝く水晶玉は、確かに本で見たダンジョン・コアそのものだ。

 それは、迷宮の命。それは迷宮そのもの。そして……〈ダンジョン・クリエイター〉によって操作されるもの。

「っ! まさか!」

 フランソワが慌てて駆け出そうとするも、もう遅い。奴がダンジョン・コアに触れた時点で、すでに勝敗は決している。

『そう! そのまさかだ! 私は、この迷宮の魔素全てを使って、第四段階へと昇華する! ふはははは! 教育者たる者、学生に屈するなどあり得ぬわ!』

 まさか初代学園長が、ここまで諦めが悪く、負けず嫌いな性格だとは思いもしなかった。完全に読み違えた。おそらく、奴はその言葉通り、絶対的な存在へと変わるのだろう。私たちでは、どう足掻いても倒せぬほどの―――。

『さあ! 今こそ進化の時!』

 濃密な魔素が、ダンジョン・コアを通じて初代学園長に流れ込む。奴の体が醜く膨張していく。そして―――。

『私は初代学園長! 驕り高ぶる学生たちに、罰を与える者! さあ、学生たちよ! 懺悔するがいいんああああああああああっ!?』

 爆発に巻き込まれた。

「……………………え?」

 ダンジョン・コアを中心に巻き起こった爆風は、初代学園長の全身を黒く焦がし、彼の体内に充填されつつあった魔素すら噴き散らした。

 煙を上げながら、がくりと膝をつく初代学園長。

『な、なにが……!?』

 彼の呟きは、私たちの疑問でもある。一体、何が起きたというのか。

「ククク……」

 やがて爆発の残響音が鳴りやむ頃、何処からともなく笑い声が聞こえているのに気づいた。これは……この声は!?

「先生!」

 フランソワが、歓喜の声を上げる。そう、この笑い声は奴のもの。部屋の隅の闇から現れた悪魔の嘲笑だ。

 悪魔は残忍な笑みを浮かべ、呆然自失の態で膝をつく初代学園長に歩み寄る。

「レベルを制限し、落とし穴にモンスターハウスとか、よくやってくれたもんだなぁ……え?」

『き、貴様! 今までどこに……!?』

「やっぱり見えてなかったか。迷宮の強化に専念し過ぎて、監視装置の配置が雑だったぞ」

 カツ、カツと足音を響かせ、ゆっくりと初代学園長の元へ歩み寄る悪魔。間違いない。処刑が始まる。

「俺は斥候職だぞ? 姿を隠し、通風孔や魔素伝達管の隙間を通っての潜入なんて、お手のものだ。いち早くこの部屋に辿り着き、お前がダンジョン・コアを出すのを待ってたってわけだ」

『ひいい……!』

 震え始める初代学園長。彼も悟ったのだ。自らの未来を。

 悪魔は、もう彼の目の前だ。

「追い詰められたお前なら……〈ダンジョン・クリエイター〉のお前なら、きっとダンジョン・コアに縋り付くと思ったよ。でも、うかつだったな。ダンジョン・コアが砕けりゃあ、お前は無力な存在になるってことを忘れていたのか?」

『わ、私のダンジョン・コアがぁ……!』

「安心しろ。爆弾程度で完全消滅させることなんてできねえよ。一晩経ったら再生するだろ。でも……お前をお仕置きする時間ぐらいは、かせげたってわけだ」

 どこからともなく、鞭を取り出すタカヒロ・サヤマ。その顔に浮かんだ、まさしく悪魔の如き笑みは深みを増し……。

「そういやあ、お前にはこないだも世話になったなぁ! いい機会だ! まとめて借りを返してやる! この、ユミエル式お仕置き術でなぁ!」

『ああっ! ああああああああああ~~~~~~っ!?』

 そして、処刑は始まった。





「姫様、実習はいかがでしたか?」

「最悪」

 そう言って私は、ベッドに倒れ込んだ。疲れた。身も心も。

 まさか、死んだと聞いていた悪魔と再会するとは。これが最悪といわずして何という。

「やはり、イースィンドの教育は、程度の低いものでしたか」

「それは違うわ、カウフマン。あのフェルディナン家の娘はもちろんのこと、他の学生たちも確かな実力を身につけていたわ。彼らを見れば、教育の質がわかるというものよ」

「なんと、そうでしたか。では、一体何が姫様の心を煩わせているのでしょう?」

「それは……」

 いっそのこと、カウフマンに打ち明けてみようか。あの悪魔が生きている、と。

 ……いや、それは駄目だ。下手に追い詰めてしまうと、あの悪魔が何をしでかすかわからない。そもそも、奴がなぜイースィンドで教師の皮を被っているのか、見当もつかないのだ。まだ動くべき時ではない。

 だから、今は誤魔化す。だから、嘘を吐く。

「学園迷宮で、思わぬアクシデントが発生したの。それで、少し嫌な思いをしただけよ」

「そうでしたか」

 ごめんなさいね、カウフマン。私に忠誠を誓ってくれている貴方を裏切るような真似をして。でも、いずれ……そう遠くない未来で、貴方には存分に働いてもらうわ。

 あの悪魔を、屈服させるために。

「では、私はこれで。本日の訓練について、まとめなければなりませんので」

「ええ、ご苦労様」

 カウフマンは、イースィンドの騎士団に出向中だ。日中は、三十人ほどの部下を連れて、この国の騎士たちと合同訓練を行っていると聞く。初の試みゆえに、その記録は後につながる重要なものとなる。いつまでも彼を引き留めていてはいけない。

 そう思って、彼を下がらせたのだが……一人になると、やはり浮かんでくるのは、あの悪魔のこと。初代学園長を拷問にかけた、黒髪の悪魔のことだ。

 初代学園長の体に電流を流し、ひたすらに鞭を入れるタカヒロ・サヤマ……すでに勝敗は決したというのに、まさしく悪魔の如き所業だ。

 彼を止める者はいなかった。逆に、奴の教え子たちは、「いいぞ! もっとやれ!」、「犠牲となった者の恨みも晴らしてください!」と、一様に彼を持て囃していた……。

 恐ろしい。私は、恐ろしい。悪魔の行いが恐ろしい。悪魔の洗脳術が恐ろしい。

 私は、罠にはまってしまったのではないか? 奴が根を張り巡らせた国に、まんまと誘き寄せられたのではないか? 私は蜘蛛の巣に絡め取られた羽虫なのではないか?

 そして、奴の手中に収められた私は、またも……

 失禁

 してしまうのではなかろうか。

 私はそれが、恐ろしい。

「………………~~~~~~っ!!」 

 三年前の……悪魔と初めて出会った時のことを思い出すと、屈辱と羞恥に体が震える。

 大帝国バルトロアの、第三王女ともあろうものが、恐怖のあまり尿をもらす。これ以上ないほどの醜態だ。

 奴は、わざわざ最後まで残って、それを鑑賞していた。もしかすると、映像水晶に撮られているかもしれない。いや、宝物庫から何も盗ってはいないということは、私が目的だったのだ。撮っていないはずがない。

 バルトロア第三王女の失禁映像……その流出は、私の破滅を意味する。

 だが……だが! 悔しいが、今は何もできない。下手に動けば、奴は映像水晶を盾に、まんまと逃げだすだろう。

 確実に……そう、確実に、奴を捕らえられる状況を作り出さねば。

「待っていなさい、タカヒロ・サヤマ……!」

 今はまだ無力な私は、ベッドに倒れ込んだまま顔にまくらを押し付け、それでも抑えきれない羞恥で震えることしかできずにいた……。





ドロテア様は染まってしまったのだ……王立勘違い学園にな。

そんなドロテア様は、新ヒロインです。これからも活躍するので、どうぞよろしく!

……ヒロインなのにラブがなかった? ははは、何を言っているのか、私にはわかりませんな。
mbzm5aiw24mozaohw3ghgtmdypi_1dmo_ic_2d_r cont_access.php?citi_cont_id=162018451&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ