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室外気温は90℃!?
作:一健一



第三話 彼女の思いは?


映画館はそこからさほど遠くなく、走って十分くらいの位置にある

映画といっても、昔作られた物を放映したり、少しリメイクをかけたやつを流しているくらいだった。

撮影する場所がないことが、新作を出せない主な原因だと聞いたことがある。
まぁ、よくよく考えてみれば直径50kmほどしかないドームの中の街で作れる作品なんて、ほとんど無いだろう、
5年ほど前に一度出ていたが、そのときはクレイアニメだった記憶がある。

なんてことを考えながら映画館の扉をくぐった。

テルから渡されたただ券には、軽いタッチで描かれた大きめの船と、その上を飛行するなにやら良く分からない、たこのような宇宙人と、券の下のほうに赤い字で映画のタイトルが書かれていた。

映画のタイトルは、

「タイタニックス」

がきの頃に何度か見た記憶があった。

たしかストーリーは、人間は宇宙人に地上を支配されてしまい、船の上で生きることを決意した。
それでもなんとか地上へ帰ろうとして、タイニックスという偽装空間の内部から宇宙人の親玉を攻撃しようと試みる、
で、なんだかんだあって救世主の命と引き換えに敵を全滅させることに成功する、
が、航行中の船が氷山に激突してしまい、船が真っ二つに折れて生存者を残さず沈没。

こんな感じだったかな、

どうやらテルはこの映画を見たことが無いらしく結構楽しみにしているようだったので、ネタバレをして遊ぶのはやめておいた。





映画が終わって外に出ると、もう時刻は夕刻近くなっていた。

「面白かったねー」

「あ、あぁそうだな」
映画が始まってすぐ、都合のいい世界に旅立っていたことには気づかれていないようだ。

それから、俺はテルを家まで送っていくことになった。

というか、俺の家への帰り道の途中にテルの家があるというだけなのだが、

テルの家に着く頃には、背景は暗闇に包まれていた。

「ありがとね、送ってくれて」

「いいよ、いつものことだろ」
小学校の頃から行き帰りは一緒だったからいまさらお礼を言われても気恥ずかしいだけだ。

「ぁ、あのね、、、ゆーくん」

「ん?なんだ」

「ぅん、えっとね・・・」

しばらくの沈黙の末に、吐き出すようにこう言った。




「私、ゆーくんの彼女になりたい」



「・・・え」

唐突だった。
あまりにも唐突すぎた。

いままで友達としか見ていなかったテルが・・・・

俺を・・・好き!?

「ごめん・・・急だよね、急すぎるよね、」

「・・・・」
何も言えなかった。
頭の中で情報を整理するので手一杯だった。

「返事は、また今度でいいから、うん、じゃあね」
それだけ言い残すと、テルは家の中に消えていった。

見間違いか、その後姿が、少し・・・悲しげに見えた。



     蒸し暑い、師走の夜のことである・・・・。












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