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ありきたりな話しです
小説になりきれない小説群
作:宙華



気付かぬ内に


病院のベッドの上で起き上がり、一人うつらうつらとしていると
同室の、隣のベッドにいる小学生の男の子が話かけてきた。
この子はもう、今日か明日には退院する事になっていた。
「お姉さん、眠いの?」
「うん、そうよ。すっごーく眠いの。だから、ちょっとだけ寝させてね」
すると男の子はぷうっと頬を膨らませた。
「ちぇっ遊べると思ったのにな」
すねた様子が可愛らしくて、笑みがこぼれる。
「ごめんねー」
男の子はひょいっとベッドから下りてきて、私のベッドの端に座った。
「一人で寝ると寂しいだろ、仕方ないから寝てる間手を繋いでてやるよ」
「ありがと…」
横になってから差し出された手を握る。
「うわっ冷たいな!」
「ふふ…放してもいいよ。遊びに行ってらっしゃいよ」
「いいの!」
「ありがと…あ、お兄さんがそろそろ来ると思うから、来たら教えてくれる?
…教えてくれるだけでいいわ、声は聞こえてるから」
同級生の彼氏の事を思い浮かべた。
入院してからと言うもの、ほぼ毎日見舞いに来てくれる。
「うん分かった」
「ありがと、おやすみ…」
「おやすみー!」

彼が見舞いに来たのはそれから2、3分後だった。
幼馴染である彼女は体が弱く、病気でずっと入院していた。
助からないのは分かっていた。
病室に入ると彼女の隣に、
見舞いに来るうちに顔見知りになった同室の男の子がいて、
自分を見ると唇に指を当てた。
「シーッ寝てるよっ」
「そうか」
男の子が、彼女の耳に口を近づけてささやいた。
「お姉さん、お兄さんが来たよ」
彼女は目を閉じたまま動かない。
「お姉さんは寝てるのか…?」
「うん、でも、お兄さんが来たら起こさなくていいから教えてって言われたんだ」
「…分かった、俺がお姉さんの側にいるから遊んで来いよ。
見ててくれてありがとな」
「うん、分かった」
そう言って男の子は彼女と繋いでいた手をそっと離した。
「お姉さん、俺もう行くからまたね!」
男の子が走り去るのを見送って彼女のベッド横に腰を下ろし、
あの子がしていたように彼女の手を握った。
一目見て分かった、彼女はもう動かない。
涙が溢れて来て、しばらくとまらなかった。












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