今日も何を書いていいのか分からない。
哀は、何度も書いては消してを繰り返した。
夏休みの宿題、日記。
哀はこれにとてもとても苦しんだ。
毎日毎日同じような日を過ごしてきた。
少年探偵団のみんなと遊んだ日や、キャンプに行った日だけは
びっしりと文字で埋まっている。
しかし、一人で過ごした日々は空欄だ。
研究、研究、研究。
それは、あまりにも小学生っぽく無いので書けなかった。
なにか子供じみたことでもしようと哀は何度も考えたが、
子供じみたことが何なのかいまいち良く分からなかったのだ。
「哀君、カキ氷でも食べに行こうか」
「カキ氷・・・」
これは子供じみているわ!!!
哀は日記を埋めるチャンスだと思い、博士と二人でデパートに向かった。
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「いらっしゃいませー」
店員の甲高い声が店内に響き渡る。
もう聞き慣れたけど、最初聞いた時は少し戸惑った。
「哀君、何味がいいんじゃ??」
「えーっと・・・」
あら??
良く考えたら、私ってどの味がいいのかしら。
みぞれしか食べたこと無かったんだけど、
このお店・・・みぞれなんて置いてないみたい。
「えっと」
「ワシは、レモンにしようかのぉ」
哀はメニューに目を通す。
すると、哀の目には『氷いちご』
という文字が目に入った。
「いちご」
「え??」
「私、いちごがいい」
「じゃあ、いちごとレモンを下さい」
「かしこまりましたぁ〜」
哀は少し微笑みながら、氷いちごを手にした。
いちごなんて、食べようと思ったことすらなかった。
色が綺麗で、私には似合わない。
だから、みぞれしか食べなかった。
色が無いから。
「哀君がいちご好きだとは知らなかったのぉ」
「初めてよ」
「そうじゃったのか」
哀はゆっくりとかき氷を口に入れた。
いちごの甘味がフワッと口の中に広がる。
こんなに美味しかったのね・・・
「博士」
「なんじゃ??」
「ありがとう」
今日の日記は、どうやって書こうかしら??
哀は微笑みながら氷いちごを食べた。
そして、夜には必死で今までの空欄を埋めた。
内容は、研究のこと。
それと、博士のこと。
本当にあったことを書き綴る。
子供らしさとか気にしない。
ありのままの自分を書こうと哀は決めたのだ。
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「哀ちゃん、これ何??」
「これ??小1の夏休みに書いた日記よ」
「懐かしいなぁ。ねぇ、哀ちゃん。哀ちゃんはこの時から研究好きだったんだね」
「ええ。歩美はもう日記捨てちゃったの??」
「分かんない!!けど、もう5年も経っちゃったから・・・捨てちゃったかも」
「そう。私はこの日記、大事に取っておいたのよ」
「歩美も取っておけばよかったなぁ」
日記。
それを開けば、昔に戻れるような気がして
私はずっとずっと大事に取っておいた。
あなたにも、戻りたい過去はあるかしら?
私は、もう一度昔に戻って・・・もっと素直に生きたい。
けど、それはもうできないから
これからを精一杯生きていくって決めたの。
私の家族や、私を支えてくれる人。私の周りの人のために。
「ねぇ、哀ちゃん」
「何??」
「哀ちゃん、また日記書かない??」
「え??」
「歩美も書くからさ、また五年後に読み返そうよ!!」
「いいわよ」
「やったぁ♪」
五年後読み返す時までには
素直な私になれていますように・・・
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