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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

真面目なお話

ドロップキックで彼は死んだ

作者:数々
 学校の怪談を聞きたいって? あんたも好きだな。それなら面白い話があるよ。『二宮金次郎にドロップキックされた!』話が。別にふざけてないよ。本当に、そんな話があるんだって。

 小学校の話だけどね。今じゃ珍しいのかな? 学校に二宮金次郎の銅像が建ってたんだよ。そいつが夜中になると動き出すらしい。よくある学校の怪談だよな。

 小学3年の時、クラスに林ってお調子者がいてね。その怪談を確かめるため、夜中に学校に忍び込んだって言うんだよ。

 林は、銅像の前まで来てみたけど、全く動く気配がない。こりゃ噂は嘘で、騙されたと思って――

『二宮金次郎像に”ドロップキック”かましてやった!』らしい。それで、せいせいして帰ろうとしたら……。

『後ろから二宮金次郎像が走って追いかけて来た!』だってさ。

 林は必死に走って、逃げて、その背後から二宮金次郎像が”ドロップキック”してきて、それを間一髪かわして逃げ帰って来たそうだ。

 今聞いたら馬鹿な話だろ? でも、みんなガキだったからさ「林すげー!」って、クラスのヒーローになっちまった。

 そしたらお調子者が、さらに調子に乗ってしまってね。次は、学校にある。もう一つの銅像。『今夜、武士の銅像に小便をかけてやる!』と言い出したんだよ。もうクラスは大盛り上がり、「林カッケー!」てね。

 しかし、クラスに一人は冷めてる女子がいるだろ? そんな女子が、林が本当の事を言ってるか、確かめるって言い出してね。待ち伏せして、こっそり後をつけると言うんだよ。

 それで、クラスの連中は、林の言ってることが嘘でも本当でも盛り上がるって、楽しみにしてた。本当、ガキなんて無責任なものだろ。


 次の日、林は『小便かけてやったぜ!』とクラスで報告してね。小便をかけて帰ろうとしたら武士の像が追っかけて来たそうだ。

 今度は切りつけられて、命からがら逃げ帰ったんだとさ。おそらく自分でつけたのであろう、背中についた痣を見せてね。

『見て見て! これが斬られた跡!』と自慢してた。それでまたクラスは「林すげー!」だよ。

 何で切られたのに生きてるんだよって、今なら突っ込みたいけどな。

 確かめるために、後をつけたはずの女子は何も言わないの。呆れてしまったか、つけるのをやめたのか、誰が聞いても何も話さない。後から思えば変だったね。


 それから12年後に……その林が事故で亡くなってね。工事現場から落ちてきた鉄板で真っ二つにされた。酷い死に様だった。その真っ二つに切れた境目が、林が見せた痣と同じ位置だったんだよ……。

 俺は気になってね。葬儀が終わった後、武士像について調べてみた。そうすると武士像のモデルになった人は、親兄弟を惨たらしく殺されて、その仇討ちを12年の年月をかけて成し遂げた人だった。すごい執念だろ?

 今じゃ良くない事とされてるけど、当時は仇討ち……復讐が賞賛されていた。それを成し遂げたということで、一躍有名になったんだよ。

 物語が作られ、祀られて、銅像まで作られて、もう神様扱いだよ。いわば復讐の神様になった様なもんだ。

 思ったよ。復讐の神様が、また12年かけて林に復讐したんじゃないか……。


 話には、まだ続きがある。

 なぜ鉄板が、無人の工事現場から落下して来たのか? それを警察が調査した所。鉄板は、機材でちゃんと固定されていたのに、それが外れてしまっていた。

 その固定していた機材に両足の跡がついていてね。悪ガキが侵入して、いたずらで”ドロップキック”したんじゃないかと噂されてる。

 警察も犯人を探しているけど、未だに見つかってないらしい。

 まったく、どっちに復讐されたのやらって話だよ……。
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