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砂漠に降る花 作者:AQ
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第三章 エピローグ 〜責任を取るのは誰?〜

 会議直後。
 解散の号令は、まだない。
 一般の臣下たちは、一様に呆けたような表情で、舞台上を見守っていた。

  * * *

 言いたい事を全て吐き出し、スッキリしたサラ。

 ふと我に返ると、なんだか視界の下方ギリギリに、もぞもぞとうごめく動物が4匹。
 嫌な予感に、つうっと冷や汗が垂れる。

 サラが恐る恐る視線を下げていくと……。
 そこには、あっけなく倒壊した、この国の大黒柱が4本あった。

 驚愕に目を見開き、その白くこんもりとした包帯の手で、口元を覆うサラ。


「ひどい……いったい、誰が!」


 臣下たちは、「それはあなたですよ」と思ったが、誰も言葉を発することができなかった。


 床に膝をつき、腹をおさえてうずくまる4人。
 サラが駆け寄ろうとしたとき、後方から聞こえた……まるで地の底から湧き上がるような低い声。

「此度のような乱れた会議は、私の人生において……否、我が国の歴史においても初めてです……」

 しわが深く刻まれた顔を、よりしわくちゃにした表情は、まさに夜叉。
 ひっと首をすくめるサラの脇で、侍従長の溜まりに溜まっていた怒りが、火山のように爆発した。

「この責任はいったいどなたがっ!」

 その言葉は、まさに溶岩流。
 灼熱の怒りが、サラもろとも4本の大黒柱を飲み込んだ。

「相変わらず、頭が固いやつよ……」

 ずっと顔を伏せていた国王、実は痛みではなく笑いを噛み殺していたようだ。
 ついに堪えきれなくなったのか、腹を抱えて笑い出しては「痛い」と呟くの繰り返し。
 らっきょうが転がっても笑うだろう国王の態度に、ますます顔色をドス赤く染めていく侍従長。

 国王は、鳶色の瞳に浮かんだ涙をぬぐいながら、「そのように怒ってばかりいると、ますます毛が抜けるぞ」と余計なことを言って、夜叉の怒りをマックスまで増幅させたところで……逃げた。

「まあ、引退した俺はただの一般市民だし、責任は……次期国王だろう?」

 突然矛先を向けられた次期国王リグルは、頼りになる弟へとノールックパスを出す。

「いや、俺はまだ王冠もらってないし……この責任は、王冠を持つお前にある」

 不機嫌そうに見えるが、内心楽しくて仕方ないクロルは、出されたパスを華麗なヘッドで落とす。

「えー、僕じゃないよー。ここは連帯責任……っていうか、長男責任だよね?」

 オフサイドの笛は鳴らず、飛び込んできたエールが豪快なボレーシュートを放つ。

「待て、今回俺は一番何もしてないだろうが……なあ、サラ姫?」

 突然のカウンター攻撃に、頭がついていけなかったゴールキーパーサラは、思わず言った。


「――皆さん全員、ちゃんと侍従長に謝りなさいっ!」


 カーペットに膝をついたままの4人は、ゴメンナサイとぺこり頭を下げた。
 まるでペンギンの親子のように揃ったしぐさが微笑ましく、サラは腕組みをしながらうんうんとうなずいた。

 侍従長が、「サラ姫、ご助力いたみいります」と頭を下げたので、サラは「いえ、私は特に……」と頬を染めながら謙遜する。


 そんな様子を見ていた臣下たちは、「あなたも謝る側ですよ」と思ったが、当然誰も何も言わなかった。
↓次号予告&作者の言い訳(痛いかも?)です。読みたくない方は、素早くスクロールを。










 予告通りの短さ、そして吹っ切れたようなアホさでお送りしました。ああ、男子4名もいるとこで、全員に会話させるの難しい……本当は台詞4つ並べたいとこですが「誰が何しゃべってるの?」と混乱しないように、あえてパス回しをさせてみました。さすがにもうそろそろ、混乱しないかな? 作者はカタカナ名が覚えられないチキンヘッドなので、海外文庫とか読むときは大変です。罪と罰なんてもう暗号としか思えん……。国王の名前はゼイルさんなんだけど、結局ほとんど使わずじまい。もう国王引退しちゃうから次章からは出さなくちゃ。ちなみに「らっきょうが転がっても」の台詞は、昭和の有名カレーCMから。当時の伊代ちゃんはまだ16才でした。
 次回から、第三章であちこちに落っことしてしまった伏線を拾っていきます。ほぼクロル君主役の閑話です。ちょっと長く、ややシリアス風になります。(そして細切れで進みます。スミマセン……)

※性懲りも無く、新作短編UPしました。『ニガダマ』(http://ncode.syosetu.com/n1837h/novel.html)です。
今までの作品とはうってかわって、真面目な(?)文学作品となりました。これを読んで、うなぎが食べたくなったら大成功です。どうぞ見てやってくださいませ。(今後も、短編は息抜きがわりにちまちま作ってく予定です)
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