序 『 ――― 』 blank 1
「おまけに、きみは女の人だもの、くじ引きなんて、ぜったいにだめだよ。」ピーターはすでに、ウェンディーのからだに、ひものさきを結びつけました。ウェンディーは、ピーターにしがみつきました。ピーターといっしょでなければ、ゆくのはいやだと言うのです。でも、ピーターは、「さようなら、ウェンディー。」というと、岩からウェンディーを、つき放してしまいました。二、三分のちには、ウェンディーの姿は、もう見えなくなりました。ピーターは、潮にただひとり取り残されたのです。
もう、岩はとても小さくなり、すぐ、水中に没するでしょう。うす青い光線が、そっとつま立ちして、水面をよこぎりました。やがて、世界中で一ばん美しく、しかも、一ばんもの悲しい、うた声がきこえるでしょう。それは、月に呼びかける人魚たちの歌声です。
ピーターは、ほかの子たちと、あまり似ていませんが、でも、やっぱり、とうとうこわくなりました。身ぶるいが背すじをはしりました。それは、海の上をつたわるさざなみのようなものでした。でも、海では、ひとつのさざなみのつぎに、またべつのさざなみというふうに、さざなみの数は数えきれぬほど、ふえてゆきます。ところが、ピーターのふるえは、ただ一回きりでした。つぎの瞬間には、また岩の上にすっくと立ち上がって、いつもの微笑をうかべ、心の中では太鼓が鳴りひびいていました。その太鼓はこう言っていました。
「死ぬということは、すばらしく大きな冒険だろうな。」
『ピーター・パンとウェンディー』 ジェームス=バリ
(『ピーター・パン』訳・厨川圭子 岩波新書刊より)
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それは 囁き
それは 歌声
それは 甘美に誘う彼女の指先
あの 何処にも無い楽園で
僕は ロジックな世界を彼女とわらい
ただ桜の儚さを 呪った
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