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等身大に、奇々怪々
作:怠惰



14.雑談雑議、オンエア



「ちっちちっちっおっぱーい♪ ぼいんぼいぃーいいいぎゃああァァアアッーー!」

「兄さん、自殺願望があったのならもっと早く言ってくれれば良かったのに。全力で手伝ってあげるわよ」

 いきなりだが現在俺は10cm以上の身長差をものともせずにかまされた見事な延髄切りを受けて倒れ、更に追撃のジャンピングニードロップを背骨にクリーンヒットさせられた所である。
 バイト帰りの兄の出迎えにしては随分と手荒いねマイシスター!

「いやー、友人がカラオケで熱唱していた歌をなんとなく口ずさんでいただけなんだが、何か内容について気になる点でもあったのかい? んん?」

「鼻をへし折るわよ」

「ごめんなさい」

 新しいDVの形が今ここに。

「とにかく、もうすぐ食事だから着替えて手でも洗ってくれば?」

「おう。ちなみに今日のおかずは?」

「鍋」

「……冬は一月以上前に終わったよな?」

「私に言わないでよ、母さんが決めたんだから」

 嫌いじゃないけどさ。季節的にどうなんだろうね、これは。



 親戚から何故か送られたとかいう魚介類が大量に入った鍋を皆でつつき、風呂で一日の汚れをさっぱり落としてさて勉強……などでは無論なく、ハンター生活でもエンジョイするかとゲームに手を伸ばした所で携帯に一通のメールが届いた。

「む……登録されてないな」

 そういえば朝学校で北瀬に教えたっけか。そんな事を思いつつメールを開くと、まず目に入って来たのが

『件名:恋する乙女は胸にこけしを抱く』

 ……絶対にこれは北瀬じゃねえ。つか、本文読む前に誰だか既に予想がつくんだが。
 微妙に警戒しながらも本文に眼を通すと、その内容は……まぁ、どっちかといえば普通。

『絢音ちゃんだと期待した? しちゃったりした? もう、マサっちったらスケベなんだから♪
 ちなみにアドレスはあの後絢音ちゃんから聞き出したから。第一今まで知らなかった事自体が変な訳だし、別にいいわよね?』

 何が変で、何がいいのだろうか。さっぱり分からなかったが、取りあえず『どちら様でしょうか。アドレスを間違えていませんか?』とだけ返して様子を見ることにした。
 赤岳さんのアドレスを登録すると、それから間を置かず再び登録外の所からのメールが届く。

『件名:北瀬です

 タイピングは苦手なので返信が遅れるかもしれないが大目に見てほしい。
 それと赤岳さんにせがまれたので君のアドレスを教えてしまったが大丈夫だろうか。もし迷惑だったのなら済まない』

 頼まれた、じゃなくてせがまれたと来たか。……一体どんな聞き方したんだろうな、あの人。
 アドレスの登録後、『大丈夫だ。それより財布は無事回収できたのか』と返信して携帯を閉じ、引っ張り出したゲームの電源を入れる。
 クレジットが流れ、タイトルが表示される前に再び携帯に着信。ゲームをする暇が無ぇ。
 誰かと思えば今度は純からのメールだった。そういえばこいつにも教えたっけな。
 内容は今日の学校での出来事や吹奏楽部の練習の事など。……そんなことを報告されてもどう反応すればいいのやら。
 『すごいねー純ちゃん頑張ったんだねー偉いねーちっちゃいねー』と打ち込んで送信。しかし数秒の間を置いて再び着信、『子供扱いするなー!』とだけ書かれたメールが届いた。

『お前の日常を報告されても俺にはどうすりゃいいか分からん。どうせなら小学校の帰りに黒の組織に捕まって口封じに新薬を飲まされたらそれからさっぱり背が伸びなくなった事件の顛末でも話してくれ』
『私にそんな過去はありません!というか先輩、今何やってるんですか?』

 凄え勢いで話題を変えやがったなおい。

『特に何をしてるわけでもないが、ゲームしようと思った所に色々とメールが届いてな。その返信で手一杯だ』

 と、そんな文面を打っている間にも新たに一通届いたので、取りあえず送信した後でそちらにも目を通す。

『ああ、幸いな事に中身も全て無事だった。着替えに使った部屋の真ん中に落ちていたそうなのだが、何故その時に誰も気付かなかったのだろうな』

「ふぅむ」

『皆疲れてたんじゃないか?それか暗くてよく見えなかったとか。とにかく無事に戻ったのなら何よりだ』

 それからふと思い付き、最後に文を足す。

『そういえば、帰りはともかく行きに顔を合わせることとか全然無いけど、一体何時に家出てんだ?』

 携帯を置いて、記録されたゲームデータをロードする。ロード画面から切り替わる前に再びの着信。手慣れてるのか、純からの返信は結構早い。

『大変ならメール送るの止めときましょうか?ぶっちゃけゲームする位なら相手してほしいですけど』
『はっはっは、このあまえんぼさんめ。もう9時だからおねむだろ、歯磨いて寝やがれ。つかお前の方こそ何してるんだ?』
『私は一昔前の小学生ですか!12時までなら余裕ですよ!それでまあ、私は映画見てます。8チャンです』

 それに目を通す暇もなく、続けてメールが届いた。

『私はいつも始業の一時間半前に家を出ているが、君はもっと遅いよな? 始業前ギリギリに来る事も多いし、もう少し早起きしたらどうだ』

 ゲーム画面を見ればとっくにロードは終了しており、活発に動き回る村人たちの中で鎧を身に纏った操作キャラが一人ぽつねんと立ち尽くしている。

『12時ってお前、そんなんじゃ徹夜も出来ないだろうが。それよりお前、メール打ちながら映画に集中できんのか?』

 続けて返信画面を開き、かちかちと打ち込んでいく。ああ忙しい、無駄に。

『一時間半前って、大分早くないか?朝練にしては遅いだろうが、その間何してるんだ?』

 キャラを動かして酒場まで移動すると、レートを確認してからクエストを物色して条件の良いものを選択する。
 受注して村を後にすると再びロード画面に切り替わり、そしてメールが届く。

『先輩と違って徹夜する必要のない生活を送ってるから大丈夫です!映画もアクション物なので、少しくらい見逃しても平気です』
『さよか。俺のゲームはアクション出来ずに立ち尽くすばかりだがな』

 送信からすぐに着信音が響いた。純ではありえないし、北瀬にしてもこれまでのペースに比べるとかなり早い。取りあえず開いてみれば、添付された画像と共に一言

『では、これは貴方ではないのですね?』

「…………」

 何を……何を送ったんだ赤岳頼子ッ!?
 言い知れぬ悪い予感を覚えつつ、添付画像にカーソルを合わせて決定ボタンを押す。
 無限とも思える時間の後にディスプレイに表示されたその画像は、先月春休みの間に赤岳さんに連れられて行った居酒屋で酔っ払った俺が隣の部屋で行われていた合コンの中へ突入し、さらに服を次々と脱いでいったその最終段階の写メ。

『何をするだァー!消せ、早くその画像データを消しやがれ!』
『私に無駄な手間を掛けさせた罰よ。なんなら絢音ちゃんにも同じものを送ろうかしら?』
『小賢しい真似をした私が悪うございました。それだけはどうかお許し下さい』

 そんなんが広まったらマジで男女関係なく俺の交遊関係に亀裂が走りかねん。
 送信された画像をどう処理するか悩んでいると、同時に3通のメールが届いた。

『朝は教室で勉強している。いつも私より先に陣堂君がいて、一人で本を読んでいるのだが。授業間の休みにも彼は本を読んでいるし、一体どれだけの本を持っているのだろうか?
 あと、赤岳さんから君の面白い画像があるという話を持ち掛けられたんだがどうすればいい?』
『私ゲームってあまりやらないんですよね。良かったら何か面白そうなの貸してもらえません?PSか64で』
『取りあえずばらまかれたくなければ今度付き合いなさい。今週の土曜でいいわよね? 拒否権は無いから覚悟するように』
「……えーと、どれから突っ込めばいいのやら」

 3人と同時にメールで雑談なんぞしたことないから頭の中がこんがらがってきた。出来ることなら背中に金属製の腕を持ち3丁の十字架型兵器パニッシャーを操る第二の人格にチェンジしてしまいたい。あ、携帯は一個だから無駄か。
 ……おっと、そういえば一人あてになりそうな奴がいた。
 ちゃかちゃかと携帯を操作し、短文を送信する。

『今ヒマか?』

 すると送信とほぼ同時という有り得ない速度でメールが返ってきた。

『今14人とメールしてて忙しい。邪魔すんな』

 って俺の5倍かよ。なんつーやつだ。しかし奴の脳は下半身についてるという俺の仮説に信憑性が出てきたな。

『そのコツを教えてくれ。俺にはメールの才が乏しいらしく非常に困っている』

 普段は無駄な才能としか思えないそれも今はどこか物凄い稀有な能力のようにも感じられるから不思議なものだ。……現金な奴と言われようと知ったことではない。
 うむ、少なくとも今だけは頼りにしてるぞ、亮二。



えーと、これを読んで誰が喜ぶのか謎な話になっちゃいました。
ただまあ思い付いた事をだらだらと綴るだけだったので目茶苦茶書きやすかったですが。これを段ボール執筆法と言います(異物を混入して量を増やす的な意味で)(勿論嘘ですので絶対に使用しないように)

私は並行メールは最高5人まで経験がありますが、結構頭がパニックになりますよね。
「あれ? どうしてこんな話になったんだっけ?」と前のメールを見直してたら新しいメールが届いたり、急いで返信したら訳の分からない顔文字を使ってたり。

取りあえずメールでの雑談は大変なので皆さんPCのチャットを利用してみてはどうでしょうか、というオチでここは一つ。











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