俺はクリーンマン。
俺のさじ加減で「汚い」と思った物や事柄に身体が反応すると。
…なんと変身してしまうという特異体質のエリート戦士だ。
全身緑色で真ん中に「くりん」という文字。
これは「クリーン」という意味だが。
要はあれだ。
映画とかでミュータントが活躍する「X―MEN」とかあるじゃない?
あんな類だと思ってくれれば。
今更ながらこんな説明をいきなりするのも特に理由はないのだけど。
改めてということでなんか喋ってしまったけどね。
てゆーか、こっちの都合なんだけど。
とても久しぶりのように思えてならない。
また俺の活躍が始まるということで。
よろしくなっ。
最近、隣町で洗濯物が汚されるという非常に「汚い」事件が発生してるという。
干している間にドロ団子などを投げつけて汚されるという事件だ。
俺はこの重大な世紀の犯罪を解決しようと立ち上がった。
まずは情報収集だ。この世界では情報が命。情報を知らずして生きていくなど不可能なのだ。
俺は真っ先に携帯番号をプッシュする。
相手は唯一の知人というか、女友達というか・・・。
記者である宮下裕子だ。電話に出た。
「オレ、オレ」
すると宮下裕子は冷静に「オレオレ詐欺か!」と電話を切った。
呆然と立ち尽くす俺。そして今更?・・・という心の声が響いた。
宮下裕子・・・なぜ怒っているのだ?
まさかこの前のことを(クリーンマン3終盤参照)根に持っているのか?
だけどあれは俺が悪いんじゃないぞ。親父が悪いんだからな。
親父のあの一言がなければ・・・。もしかしたら・・・。俺は今頃宮下裕子と夫婦仲だったのかもしれないのだから。
俺は複雑な思いを抱きつつ、隣町へ行こうと動き出した。
車はない。自転車もない。お金もない。徒歩しかない。
俺は徒歩で隣町まで半日かけて行った。
そしたらもう犯人は捕まっていた。
・・・なるほど・・・それは良かった。
俺はまた半日かけて家路についた。
おかげでよく眠れた。
そういえば、仕事しないといけないなと俺はふと思った。
どこかの会社に勤めていたような気がするが、思い出せない。
とにかくお金がなければ生きていけない。
バイトでもなんでもいいから働かなければ。
さっそく飲食店に面接。合格。今日から働くことに。
年齢は関係なく、俺のような新人の最初の仕事といえば、皿洗いである。
お客の食べ残しを見るなり、俺の身体が光り輝く。
全身緑に「くりん」のロゴマーク!
これが!クリーンマン!参上!
…と同時に俺は肩を叩かれ、「クビ」を言い渡された。
過去の失敗で色々思ったのだが。突発的とはいえ、変身をコントロールできないことは問題ではなかろうか。
制御できないということは、感情を抑えることができない最近の若い奴らと同じである。
いいこと言ってる俺。
32歳になってようやくそのことに気づいた俺。さすがだとほくそ笑む。
今日のテーマは変身のコントロールだ。これさえできれば、本当の正義戦士として認められるのではないだろうか。
俺は早速訓練のため町に出た。俺の訓練は至って簡単である。
不細工な女性の顔を見て、突発的な変身を制御すればいいのだ。
・・・・・・。
既に6回目の挑戦になっていた。過去5回は全て変身。
変態呼ばわりされて警官に追いかけられた。どうしても変身してしまう。
考えてみると自分に正直な男なのだ俺は。
よし、次にきた女の前に出るぞ!俺は遠くから女の姿を確認して飛び出した。
ビクッと女の動きが止まった。俺は女の顔を見る。見慣れた顔。
俺が知ってる女はただ一人。宮下裕子だった。
「・・・・な・なにしてんの?」
「いや・変身を・・・」
失言だった。
その後に続く…。「変身してないだろ?」という言葉を聞く間もなく宮下裕子の鉄拳が俺の顔にめり込んだ。
宮下裕子の鉄拳は重く、世界チャンピオンになれるのではないかと思わせる拳で。俺は全治一週間もの重症だった。
その間世間ではまたしても事件が起きていたのだ。道行く人々に泥水をかけるという悪質な事件だ。
これは間違いなく俺の出番だと思う。俺は家を飛び出した。
囮捜査だ。街をウロウロと徘徊する。犯人はいつかこの俺に泥水をかけてくるだろう。
その時が、犯人の最後だ。3・4時間ウロウロしているのだが、何もされない。そんな馬鹿な、ここに格好の的がいるのに。
俺はイライラしてきた。
「きゃああ」
悲鳴が響いた。しまった、あっちか。俺は声の方向へ走った。案の定泥水をかけられた女性が座り込んでいる。
なんと。宮下裕子だった。よく会う女だ。そういえば、他の人間とすれ違った記憶がない。どうでもいいが。彼女もまた犯人を捕まえようとしていたのだ。
「あっちに逃げたわ!早く!」
「よっよし!」
俺は走りながら身体が光輝いていくのを感じた。
怒りと汚い行為に反応したのだ。
クリーンマン!参上!
犯人らしき影が角を曲がった。逃がすものか!
俺は50メートル走、14秒という実力の持ち主。全速力で追いかけた。
この日。俺の記録は。13秒になったという・・。
「うわああ」
しまった!また次なる犠牲者が出たか。俺は急いで角を曲がる。
すると。物凄いハンサムで。背が高く。スマートで。マッチョで。とにかくとてもカッコイイ男が。犯人らしき奴をねじ伏せていた。俺はこのハンサムに先を越されたのだ。
さっきの声は犯人の声だったのか。ハンサムは俺に犯人を引き渡すと、無言でその場を去ろうとした。
俺は「待て!名前を聞かせろ!」と言った。
ハンサムは、「・・・七英雄」・・・と言って立ち去った。
「七英雄・・・」
俺が呆然としていると、宮下裕子が追いついてきて。
「作者の特別出演よ。」と一言いった。
俺は、なんていい加減で無駄話なんだと溜息をついた。
実は、今のままでサボっていたために久しぶりの登場となる。
・・・って誰に言ってるのだ?
それにしても読み返す。・・・いや・・思い返すと、作者の特別出演というありえない展開に苦笑している今日この頃。
このシリーズも、4まできた。今回は変身をなるべくしないというテーマ。しかも全15回。
ネタが続くのかと不安になる。そうこうしている内に既に10回じゃあないか。
そろそろ最強の敵が出てきてもいいものだが。見事ちゃんと終わるのだろうか。心配になる。
この時点で何も考えずに書いている誰かさんを思い浮かべなが・・・・・って俺は何を喋っているのだ?
五味という男が、俺の住む町の市長になった。圧倒的な得票での当選だったそうだ。
『この町に輝くほどの清潔さを』・・・というのが、公約だった。
だが。俺は違和感を覚える。公約にではない。
名前にだ。
五味。ごみ。ゴミ。・・・・ゴミだ。
嫌な予感がする。そんな不安を抱いたまま数日後。
ありえない事例が発表される。なんとこの町を全国からのゴミ捨て場にするのだという。
とうとう本性を現したな。俺は市役所に向かう。
シリーズかつてないシリアスな展開になるだろうとなぜか勝手に思った。
市役所に飛び込んだ俺は止められるのを振り切って市長室に入った。
そこに五味はいた。
「なんだね、チミは」どこの方言だ?と思ってしまうほどの言い回しに怒りを覚える。
「あんだが、ゴミか」
「は?私の名前は『いつあじ』っていう名前ですけど?」
「…」名前を間違えていた俺は照れ隠しに怒鳴った。
「そんなことはどうでもいい!あんたの出した事例に文句がある!」
「文句があるなら相談課へどうぞ」
「はい」
俺は市長室から出て、相談課へ向かった。
相談して、数日後何の返事もなく、そこでようやく「しまった!」と思った。
許さん。許さんぞ!汚い奴め!
俺は怒りで身体が光り輝く。
クリーンマン参上!
俺は再び市役所へ突入した。職員の制止を無視して市長室に飛び込む。
「…またチミか」
「うっさい!今日という今日はホンマ、あんたって奴は…」
「だから何の用なの?」
「あんたの事例だよ!全国のゴミをこの町に集めるっていう…」
「ああ…そのこと」
「ああ…って貴様ぁ!」
「それね、ちゃんと却下しておいたから。安心して」
「…は?」
どうやら、市長の部下のやったことだったらしい。
市長は当然公約通りのことをするために、ちゃんと却下したのだ。
「…ありがとうございます」
俺は礼を言ってその場を後にした。
俺は一つの結論を出した。五味市長って…いい人ですね。
俺は旅に出ようと突然理由もなく思う。いつまでもこんなとこで縮こまる男じゃないんだ。
俺は宮下裕子にそのことを告げた。きっと、「いかないで」とか「私も一緒に行く」とか言うのだろう。でも、それは毅然と断るのだ。それが真の戦士だ。
俺は、かっこよくこう言おう。「黙って俺の帰りを待ってろよ」これで彼女はメロメロさ。
「いってらっしゃい」
彼女はいとも簡単にそう答え力強く電話を切った。
ふん。別に止めてもらおうなんて思ってないもん。
俺は着々と準備を進め、次のシリーズは別の土地で……などとあるのかないのかわからないことに期待を抱きつつ家を後にした。
空港で、「緑怪人、ついに逃亡か?!」という報道陣に囲まれて、少しうざったくも、嬉しくもあり、その場にいた宮下裕子に「気をつけて」・・・とかけられた言葉に感動しつつ、俺はついに旅に出た。
次の話題は海外で謎の怪人出現です。
本日、ニューヨークで、謎の怪人が出現して、世間を騒がせています。
その怪人は男で、全身緑色で胸の真ん中に「くりん」という怪しげな文字が書かれています。
年齢不詳のその男は。
「都会がこんなに汚いとは…」
・・という言葉を残して逃走中です。
しかし、あれだけの目立つ格好ですから。
簡単に見つかってしまい、警官達との鬼ごっこを繰り広げています。
これまでの行動を遡ると彼はどうやら我が国日本の田舎街から出てきたようで問い合わせたところ。
「そんな奴は知らん」
・・という女性の返事がきています。
それにしてもこの緑の怪人…一体何者なんでしょうか。
…各界の研究者達は非常に興味を示し、是非調べたいとの願いもあるそうで…政府としては検討をして…………。
クリーンマン4 完
クリーンマン5 強制的にきっとつづく。
あとがき
どうも。
一気に掲載してしまいました。
クリーンマン4です。
僕の中では、「1」がやはり1番で、きっと他の人もそう思っていると思います。
「2」「3」で多少緩やかにダウンしていくのを自分でも感じていました。
これではマズイと思ったわけです。
それで、原点に戻ろうと、余計な出来もしないテクニックは使うまいと。
結果、個人的にはとても好きなシリーズとなりました。
やはり、真面目小説の「七英雄物語」を書いていたのは無駄じゃなかった。
・・・・む・・・無駄じゃなかった・・・・・はず・・・・。
「5」の構想ですが、全くありません。
違う土地、しかもアメコミの本場海外への進出。
クリーンマンは・・・一体どこへ進むのでしょうか。
てゆーか、「5」・・・・。
あるの?
皆さん、応援よろしくね。 |