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異世界で有意義な生活を 作者:櫻 紅葉

第一章 ~第二節 『紅蓮の塔』~

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まさかの遭遇

「…御空様。」
「んん……もう朝か…」

 御空はまだ半開きの目を擦りながらベットから出て、大きく伸びをする。

「おはよう御座います。準備は整っています。」
「…ん、ありがとう。」

 ロウにお礼を言いつつ、御空はカーペットの上で座禅を組む。

「よし、いつも通りで頼む。」
「はい。」

 ロウの返事を聞き届け御空が目を瞑ると、御空は10cm程宙に浮く。
 現在、御空がしているのは『魔力』の量を増やす為の訓練だ。
 『ステータス』の値は[Lv]を上げるだけでなく、筋トレやランニングなど、日常的なトレーニングでも上がる。勿論、[Lv]上昇の時に比べれば微々たる物だが、塵も積もれば山となる。
 なので、御空は『深層世界』では毎日6刻に起きて半刻間、念属性の【浮遊】という『固有魔法』で身体を浮かせつつ、精神統一をしていた。その後、素振りやランニングも行っていた。
 因みに、準備とは御空が『魔法』を使っていることがバレないように、魔力遮断の結界を張る事だ。
 半刻後…

「御空様。半刻が経過しました。」
「…どうだった?」
「いつも通り、全く乱れは有りませんでした。」
「そうか…次はもう少し高度を上げるか。」

 高度をあげれば、消費する『魔力』も増え、維持が難しくなる。御空はこの訓練で、『魔力』をコントロールする技術も高めていた。

「ロウ。」
「はい。」

 御空に呼び掛けられたロウは、短く返事をして御空に木刀を差し出す。

「ありがとう。」

 御空はそれをロウから受け取り、素振りを始める。
 暫くして…

「ふぅ……」
「御主人様、どうぞ。」
「…ありがとう。」

 素振り終えた御空にマシロがタオルを渡す。それを御空はお礼を言い受け取る。『深層世界』における何時もの光景だった…ここまでは。

「次は、外だな。誰にも出くわさないと良いが--って、あれ…」
「御主人様、気付くのが遅いです。」

 御空は今まで、『深層世界』でいつも通り訓練をしていると思っていたのだ。部屋の大きさもあまり変わらない上に、集中していた為、御空には全く違和感がなく気付かなかったのだ。

「…集中してたしな…ってじゃあなんで、2人共いるんだ?」
「『魔力』の存在しない所でも私達は、実体化出来ますよ?使ってるのは自分の持っている『魔力』ですから。」
「場所によって異なりますが、此方の世界にも『魔力』は存在するので回復もします。」
「そうか…とりあえず外に行くぞ。」

 御空がそう言うと、2人は『精霊石』へ戻っていく。御空が精霊を使える事を隠す為、ランニングの時は2人共実体化を解いていた。
 両親はまだ寝ている為、そっと外に出る御空。
 王城では、訓練施設を気配を消しながら走っていが、此方では近くにそんな施設は無かった為、御空は普通に街中を走る事にした。
 20分程走った後、御空は家に戻った。

「御空?…早起きね、珍しい。」
「そうでもないだろ。」
「そうかしら。まぁ良いわ。」

 母親と軽い会話をした御空は、その後、学校へ行く支度を済ませて待ち合わせの場所へ向かった。
 数分後…

「珍しいーっ、御空が早起きなんて…」
「そうだな…これは明日は槍でも降るか?」
「2人共失礼じゃないか?母さんにも言われたが…」

 茜と青治に会って早々そんな事を言われ、御空は少し傷付いた表情を見せる。

「ごめんねっ。…でも珍しいのはほんとの事。」
「悪かったよ。まぁ俺もいつもより早く目覚めたけどな。…俺達夢見てた訳じゃ無いよな?」
「…ああ。未だに信じがたいけどな。」

 3人共『深層世界』へ行き、帰ってきたという事に実感が湧いていなかった。
 少し不思議な感覚のまま学校へ着いた3人は各クラスに別れる。
 今日は、中学で学んだ事の復習テストで、40分1教科で行っていたのだが…5教科目の社会のテスト中、暇をもて余していた御空は、隣でうとうとしている青治に悪戯を仕掛けた。

(終わってないのに寝るなよ。)
「--っ!?」

 御空からの唐突な念話にビクッとした青治だったが、慌てて口を手で押さえた為、声は出さずに済んだ。
 御空は、その結果に少し残念に思いつつも、真面目に解いているフリをしていたが、口元には悪戯な笑みを浮かべていた。
 そして、15分後全てのテストが終わり今日はこれで帰宅になった。

「さぁて、茜を迎えに行くぞ。」
「おい、何事も無かったかのようにしてんじゃねぇよっ!」
「ん?何の事だ?」

 御空の肩をガシッと掴み、少し声を荒らげた青治に惚ける御空。

「何の事だ?じゃねぇよっ!さっきのお前だろ。てか、お前【念話】なんて使えたのか。」

 〝念話〟の所でボリュームを落とす青治。周りに聞こえたら不審に思われると考えたからだ。

「ああ、念属性使えるからな。」
「…そうだったな…良いなぁ、俺も【念話】使いてぇ…」
「使えるぞ。」
「まじかっ!?」

 御空の答えに声が大きくなった青治を静めて御空はブレスレットを取り出す。

「それは?」
「待ってろ。」

(複製方法が分からないが……出来た。)

 御空が適当に念じるとブレスレットは小さく光を放ち、御空が思い描いた形状に複製された。その事に微妙な思いを抱きつつも、御空は出来たパーツを青治に渡す。

「それは、念話石が埋め込まれた物だ。それがあれば特定の者だけだが【念話】が使える。青治がつけてるネックレスに通せるようにしたから一緒にしておけ。」
「おおーっ、さんきゅーっ!…ってなんでそんな者持ってるんだ?」
「さぁな。『ステータス』が低いから、女神からの慈悲とかじゃないか?…これ、茜に渡しとけ。ペアにしておいたから。」

 青治からの問いを適当に誤魔化す御空。

「おう…ありがと…」
「常に身に付けておけと伝えておけよ。」

 御空はわざわざ複製するときのイメージで2つ合わせてハートになるようにしたのだ。

(センスによるって言ってたが、ここまで装飾できるとはな。)

 御空はそんな事を考えながら、青治を連れて茜を迎えに行った。

「あか--」
「あっ!来た来たっ!2人共此方来てーっ!」

 青治が呼ぼうとしたのを遮って茜は2人が姿を見せた瞬間、手招きをし教室内から呼び掛けてきた。
 2人は疑問を持ちつつも、教室へ入ってく。すると、茜が呼び掛けたこともあってか、男女問わず視線が2人に向けられる。そして、数人の女子から小さく黄色い声が上がった。
 自分達が注目の的になっている事に青治は気付き、受け流していた。御空も気付き、顔を顰めていた。…普段ならば。
 御空は気付いていなかった--というよりは、視線よりも目の前のことに意識を奪われていたのだ。

(…はぁ……)

 御空は顔には出さず、心の中で溜め息を吐く。
 そんな御空を余所に、茜は笑顔で話始める。

「あのねっ、桜と瑠璃も同じ学校だったのっ!」

 そう、これが御空が溜め息を吐いた理由だった。

「まさか、学校が同じなんてね。宜しくね、烏羽君、浅葱君。」
「わ、私も、宜しくお願いします。」

 2人に向かって挨拶をする桜と瑠璃に、青治は「よろしくっ。」と気さくに返し、御空は会釈をした。

「でねっ!これからお昼ご飯も含め、色々話そうと思うんだけど…どう?」
「おおっ!折角の機械だし、俺は賛成だなっ。」
「良いと思うわ。」
「私も、行きたいな。」

 茜の問い掛けに賛成の意を示す3人。

「御空はー?」
「…良いんじゃないか。」

 御空は、本当は面倒だと思っていたが、場の空気を悪くするつもりは無いので賛同した。

「じゃあ決定だね。行こっ!」

 こうして、茜に促され教室を出た5人は、青治の提案により手軽なファミレスに行くことにした。…行き交う人達の視線を集めながら。

(【隠密】…発動してるんだが…[Lv]不足か。)

 御空は密かに闇属性【隠密】の『スキル』を発動していた為、他の4人に比べれば視線は少なかったものの完全には防げていなかった。
 そして、御空にとっては不運な事に、途中で桜が若菜を呼んだ為、6人でファミレスへ向かった。

「同じ学校なんだねぇ。良いなぁ…転校しようかなぁ…」

 桜に呼び出された若菜は来て早々そんな事を言った。若菜は近くの私立校に通っているらしい。
 そんな話をしつつ、ファミレスに着いた6人は、とりあえず食事をしようという事になった為、各自好きなものを頼み食事を済ませた。

「じゃあ…改めて、自己紹介からっ!」

 食事を済ませ、ゆっくりしていた6人だったが、茜の意見でとりあえず自己紹介をしようと言うことになった。

(3人とも知ってるんだけどな…『ステータス』まで。)

 御空は訓練の合間に全員の『ステータス』を【調査】していた。【偽装】の数値を周囲と比べ、違和感のないものにする為に。
 【調査】とは【上級鑑定】の派生で『ステータス』に限らず、(トラップ)や隠し扉なども調べることができる。『深層世界』で休みの日の午後、図書館に通いつめていた御空の努力の結晶だ。…御空自身は、「情報収集のついでに上がった。」としか思っていないのだが。

 閑話休題

 【上級鑑定】では『ステータス』を[MP]や『スキル』等まで見ることが出来るようになった。【調査】では更に『加護』を見ることが出来るようになった。
 御空は更に、情報収集のついで(・・・)に【完全記憶】の『能力』も得ていた。この『能力』を得たとき御空は、やっぱり『能力』は『スキル』より少し(・・)身に付きにくいだけなんだ、と思ったが精霊2人に全否定された。本来は【記憶力上昇】の無属性『スキル』が身に付くそうだ。
 それは兎も角として、その為御空は以前【調査】した内容を全て覚えていた。その為自己紹介は必要なかったのだが…余り力を明かさないようにしていた事に加え、茜と若菜がノリノリだった為、必要ないとは言えなかった。
お読み頂きありがとうございます。
現世でのお話はもう1話続きます。
次回は、ステータスを6人分乗せるつもりです。

作「御空の【完全記憶】欲しいなぁ、どうやったら身に付--」
御「深層世界の情報と能力・称号・スキル・魔法を片っ端から覚えて、魔物の生態に手を付けた辺りで得たな。」
作「…」

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追記:御空の[LUK]を2000から1200に変更します。
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