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【完結絶対保証】ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作:完結】 作者:日比野庵

第一部:異世界転移編

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1-009.昏き底の少女

 (……っ)

 ヒロは目を開けた。

 ヒロは何故か仰向けになって倒れていた。しばらく何が起こったのか分からなかった。ヒロは慎重に上半身を起こして周りを見る。薄暗がりだが見えないわけではない。そこは直径四メートルほどの丸い壁で覆われた空間だった。光は頭上から落ちていた。ヒロが見上げると、小さな穴が空いている。その縁から草が垂れ下がっていた。穴の向こうに木々の梢とその隙間から青空が顔を覗かせている。

 (穴?)

 下を見ると干し草が重ねて積み上げられている。どうやら草がクッションになったようだ。ヒロは段々と状況を理解し始めた。要するに落とし穴に落ちたのだ。

 ヒロは起き上がって、周りの壁の様子を確認した。石を積み上げた壁であるが、表面はそれなりに平らに均されていて、取っ掛かりになりそうなものはない。石と石の間に指を入れて、体重を掛けて押し下げてみる。石はボロリと割れてあっけなく崩れた。穴に落ちる前に拾った石と同じだ。あの石は、ここの石壁の余りか何かだったのかもしれない。

(……よじ登るのは無理そうだな)

 ヒロは上を見上げて穴の深さを目算した。勿論正確な深さは分からないが自分の背丈と頭上に覗く穴の感じから五メートルくらいはあるだろうと見積もった。石壁には出っ張りが殆どなく、足場にはなりそうにもなかった。それに石壁がこんなに脆ければ無理によじ登っても崩れ落ちるだけだ。下手したら生き埋めになるかもしれない。ヒロはどう脱出すればいいのか思いあぐねて嘆息した。

(……まいったな)

 声を出して助けを呼ぶ手もあるが、そもそも、こんなところに人が来てくれるのか。さっきのセフィーリアのような娘が来てくれたら助けて貰えるかもしれない。だが、逆にモンスターを呼んでしまうことだって考えられる。迂闊な行動が危険を呼ぶ可能性は十分にあった。

(さて、どうする?)

 ヒロは何か足場になるものはと見渡すが、消しゴムサイズの小石がぽろぽろとあるばかりでとても役に立ちそうにない。思わずヒロはその場にしゃがみ込んでしまった。

(しょげてばかりいても仕方ない。まずは身の回りの状況確認だ)

切り替えの早い所がヒロのいい所だ。手足を動かして、どこか痛む所がないかチェックした。どこも痛くない。骨折もヒビもなさそうだ。

 持ち物を確認しようとナップサックを探す。直ぐに見つかった。中身を確認するが何も無くなってない。次にポケットを探る。

 ――ない。

 団子の包みがなかった。上着のポケットに突っ込んだのが失敗だったか。辺りを見渡すと、後ろに包みごと落ちていた。団子のいくつかは包みから飛び出して、底に敷かれた枯草や地面に転がっている。

(食えないことはないよな)

 団子の包みを持って今度はナップサックにしまう。こんな状況でぐちゃぐちゃもクソもない。半ばヤケクソ気味にナップサックに押し込む。次いでヒロは、散らばった団子を拾おうと手を伸ばした。

 ――?

 何かおかしい。包みから散らばった団子は四つだったような。それがどうみても三つしかない。

 ヒロはナップサックの中の包みを取り出して数を数えた。ひぃふうみぃ。包みに六つ。セフィーリアに貰ったときは十個残っていた。それから穴に落ちた。包みに六つだから、地面に散らばったのはやっぱり四つの筈だ。

 見落としたのがあったのかなと、ヒロはぐるりと周囲を見渡した。

 ――!

 また異変が起こった。三つあった団子が二つになっている。団子が勝手に消える筈がない。この異世界では、団子が地面落ちると消えるのか。

 ヒロは残った団子を拾うのを止めて、そのまま暫く観察することにした。落とし穴から脱出する術を考えるより、消えた団子の謎が気になった。

 ――にゅ。

「うわっ!」

 思わず声を出してのけぞる。よく見ると、壁の底の一角に横穴らしきものがある。そこから白い手が伸びていた。団子を掴んで、穴の中に引っ込む。

(???)

 幽霊か? それとも本物か?

 少し落ち着きを取り戻したヒロは、さらに様子を伺う。二、三分も経った頃だろうか。またにゅっ、と手が伸びて団子を拾って引っ込む。

 今度は、もう少し観察できた。

 間違いなく人の手だ。指は五本。白魚のように細く、指輪の類はなにもない。親指の向きからみて、右手だった。

(……先客?)

 ヒロは更に観察を続ける。また手が出てきた。だが、もう地面には団子はない。右手は団子を探すかのように右に左に行ってから、引っ込んだ。

 ヒロは、ナップサックから包みを取り出すと、団子を一つ取り出して、手が出てきた横穴の側に置いてみた。多分、また拾いに手が出てくる筈だ。

 ヒロは、そおっと団子に手が届く場所に移動して中腰になって構えた。次に手が出てきたら捕まえる積りだ。

 もしも謎の手の持ち主がモンスターだったらという考えがヒロの頭にちらとよぎった。一瞬怯んだが、さっき見た腕の細さ、手の感じからみて人に違いないと考え直して、覚悟を決めた。

 ――にゅ。

 キター。ヒロは謎の右手の手首をガッと掴む。謎の白い手はびくっと震えたあと、ジタバタした。それほどの力はない。これならいける。ヒロは一気に謎の右手を引っ張り出した。

 白い手に続いて引きずり出されたのは、エンジ色のローブを着た小さな少女だった。
 

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