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【完結絶対保証】ロシアンルーレットで異世界へ行ったら最強の魔法使いになってしまった件【第三部:フォーの迷宮編】 作者:日比野庵

第二部:レーベの秘宝編

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11-080.ところで今日はこれからどうするんだい

 
「おはようございます。ヒロ様」
「ヒロ。早いじゃないか。もう図書館は終わったのか?」

 いつの間にかリムとソラリスが来ていた。彼女達が来るのはまだ先だろうと思っていたヒロは、少しほっとした表情を見せた。

「うん。なんとか一冊借りることが出来たよ」
「よかったですね。ヒロ様」

 リムはにっこりと笑うと、当然の様にヒロの隣に腰掛ける。ロンボクはソラリスのために自分の椅子を少し左にずらして間を開けた。ソラリスはその開いたところに自分の椅子をセットする。

「子供向けの絵本だが、借りれるのがこんなのしかなくてね。といっても今の俺には丁度いい。リム、今晩頼めるかな」

 ヒロは借りた絵本をナップサックから取り出して、リムに渡した。リムは絵本の表紙をしばし眺めると、最初のページからゆっくりと目を通し始めた。

 ソラリスが座る前に隣のロンボクに声を掛ける。

「ロンボク、何か面白いことでもあったか」
「いや。ヒロさんと例の件について話していただけですよ」
「メイデンの野郎のことかい」

 察しがいい。いや冒険者達の間で例の件といったら、今はスティール・メイデンのことしかないか。ヒロは心の中で苦笑した。

「ええ。昨日の夜から、ギルドでもそのことで持ちきりですよ」

 ロンボクが応じる。

「だろうな。全くとんでもねぇ奴がいるもんさ。敵には回したくないもんだね」

 ソラリスが右手首を折り掌を上に向けて、ふん、と鼻を鳴らす。経験豊富なソラリスでもそう思うくらいだ。やはり驚異なのだろうとヒロは改めて思った。

「まぁ、こちらから何もしない限りは大丈夫ですよ。スティール・メイデン(かれら)は、自分達から仕掛けたそうですしね」
「へっ。大方腕試しでもしたかったんだろうよ。それで返り討ちに遭っちゃ世話ねぇぜ」

 半ば呆れたように吐き捨てたソラリスは、思い出したようにヒロに顔を向けた。

「そうだ、ヒロ。忘れねぇ内に言っておかなくちゃな。お前の仕事探しだけどよ、知り合いを少し当たってみたんだが、首尾はよくないね。やはり何処の馬の骨とも分からん奴は雇えないとよ。済まねぇな」
「いや、ありがとう。そうそう簡単に見つかるとは思ってないよ」

 ヒロとソラリスの会話を聞いていたロンボクが口を挟む。

「ヒロさん、仕事を探しているのですか。僕がいうのも筋違いでしょうけど、仕事が見つかるまでは、冒険者クエストで稼ぐのが一番ですよ。出来れば一人よりパーティの方がいい。どこかのパーティに入るか、仲間を募ってパーティを組むか。いずれにせよ、経験を積んで上位クラスに名を連ねれば、個別に指名されてのクエスト依頼も来るようになりますからね。C1くらいにまでなれば、冒険者だけで生活できます。よかったら、メンバーを募集している知り合いのパーティを紹介しますよ」
「ありがとう、ロンボク。でも、今はウオバル(ここ)に来たばかりでまだそこまで考える余裕はないよ。しばらくは、手頃なクエストをやりつつ、今後を考えるさ」
「そうですか。それは残念ですね」

 ロンボクがにこりとする。その顔を横目にソラリスが話題を替える。

「ヒロ、ところで今日はこれからどうするんだい? あの魔法使いの爺ぃのとこにいくか? 何なら、あたいが剣術を教えてやってもいいぜ」
「いや、今日は休養に当てるよ。モルディアスの爺さんには、さっき偶然図書館であったんだ。昼過ぎなら毎日あの家に居るらしいから、明日にしよう。朝から昼までの時間が空くから、そこで剣術を教えてくれると助かる。頼めるかい?」
「そうかいヒロ。いいぜ。そうと決まれば、今日はお開きだな。あたいはちょいと寄るところがあるから先にいく。明日、朝また呼びにいくからよ。それでいいか?」
「うん。そうだな。頼むよ」

 ヒロの答えが終わらぬ内に、ソラリスはロンボクに同じ質問を投げかけた。

「ロンボク、お前は?」
「僕はリーファ神殿に行きますよ。ロッケンの見舞いです。これでも同門なのでね」

 ヒロにとっては少々意外なロンボクの発言だった。初めてスティール・メイデンと遭ったときの一触即発具合からみて、敵対とは言わないまでも、仲は良くないと思っていたのだ。とはいえ、人はそれぞれ事情を抱えているものだ。同門といっても色々あるのかもしれないとヒロは思い直した。

(そういえば、灰の話があったな)

 ヒロは、承認クエストの帰り、スティール・メイデンが掃討した小悪鬼(ゴブリン)を火葬した後の灰にリムが浄化魔法を掛けたものを持ち帰り、ギルドに鑑定をお願いしていた。受付のラルルは専属契約しているリーファ神殿の神官に依頼しておくと言っていた。今日の明日で直ぐ鑑定してもらえるのかどうかは分からなかったが、様子を訊きにいったところで問題にはならないだろう。だがヒロには、それ以上に黒衣の不可触ブラックアンタッチャブルにやられたスティール・メイデンの様子が気になった。

「ロンボク、差支えなければ俺達もリーファ神殿に行っていいかい? 丁度鑑定を依頼している品があるんだ」
「えぇ。勿論ですとも。こちらからもお願いしますよ」

 ロンボクはヒロの申し出に少し吃驚していたが、快く承諾した。

 そんなやり取りをしているヒロの横で、リムは渡された絵本を熱心に読んでいた。
 
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